しおかぜ_(放送)とは - わかりやすく解説 Weblio辞書 (original) (raw)

しおかぜShiokaze Sea breeze
種別 短波放送(SW)
放送対象地域 北朝鮮全域を対象にした 世界 日本でも聴取可能)
系列 独立系
略称 JSR
愛称 しおかぜ
コールサイン JSR
開局日 2005年10月30日
運営会社 特定失踪者問題調査会
本社 112-0004東京都文京区後楽2-3-8第6松屋ビル401
演奏所 KDDI八俣送信所茨城県古河市東山田字八俣4428)
親局 / <#放送時間・周波数・内容の変化>を参照 /
公式サイト 北朝鮮向け短波放送「しおかぜ」しおかぜ通信
特記事項:日本語の他、朝鮮語英語中国語でも放送。放送周波数は予告無しに変更される。
テンプレートを表示

しおかぜShiokaze または Radio Sea-Breeze)は、日本民間団体である特定失踪者問題調査会が、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)向けに行っている短波放送である。

概要

この節は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。 出典を追加して記事の信頼性向上にご協力ください。(このテンプレートの使い方)出典検索?: "しおかぜ" 放送ニュース · 書籍 · スカラー · CiNii · J-STAGE · NDL · dlib.jp · ジャパンサーチ · TWL (2013年9月)

2005年(平成17年)10月、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)による日本人拉致被害者への呼び掛けを目的として、ラジオ放送が開始された。当初は、特定失踪者問題調査会(調査会)で製作したラジオ番組コンテンツを、インターネットを利用して、委託先のイギリスの放送配信会社「VTコミュニケーションズ」に送り、イギリスから第三国(モンゴル国など)の短波送信施設を経由して放送する方法を採っていた。放送費用については、月額60万円程度と発表している[1]

2007年(平成19年)3月、日本放送協会(NHK)が国際放送NHKワールド・ラジオ日本)用に使用しているKDDI八俣送信所茨城県古河市)の空中線電力100kWの設備を、NHKの使用時間外に『しおかぜ』が利用することでNHKと調査会が合意し、日本国内からの送信が可能になり[2]、10月までにすべてが八俣送信所からの送信に切り替わった。

しおかぜの電波法令上の無線局の種別は地上基幹放送局ではなく広報業務用の特別業務の局であり、実施するのも地上基幹放送ではなく同報通信[3]である。放送法令上の放送でもない。

聴取する為には、短波が受信できる受信機(短波ラジオ無線機など)が必要である。日本国内でも聴取は可能だが、短波特有のスキップ現象などにより、明瞭に受信することが難しい場合もある。なお、「ラジオNIKKEI専用」ラジオでは、周波数がラジオNIKKEIに固定されている為、受信不能である。

民間人の短波受信が北朝鮮では厳重に規制されている、として効果を疑問視する声はあるが、北朝鮮がジャミングを行っていること自体が、放送の有効性を示している(規制が万全であれば、そもそもジャミングする必要は無い)こと、および2004年(平成16年)まで北朝鮮にいたチャールズ・ジェンキンスが「北朝鮮に居た時にVOAをよく聴いていた」と証言していることから、短波放送の有効性が期待されている。また2008年2月には武蔵村山市議天目石要一郎が、平壌市において短波ラジオ受信機を持ち込み、受信を確認している[4]

開局以来、北朝鮮からのジャミング対策のため、周波数の変更が頻繁に行われている。また、2013年(平成25年)11月に入っても、北朝鮮からジャミングを受け続け、八俣送信所から至近距離の受信でも、混信でしおかぜの受信が抑圧され続けている。

朝鮮半島有事に備えて、24時間生放送を行える態勢も取られている[5]

2015年(平成27年)3月、深夜放送の空中線電力を300kWに増力した。放送経費は月額90万円程度となる[6]。10月、空中線電力を全日300kWとした。放送経費は月額100万円程度となる[7]

2016年(平成28年)3月、23:05-23:35の放送を追加。1日2時間30分の放送となる[8]

同年7月29日より、中波1431kHzでも23:30-24:00の時間限定で、短波と同じ放送を日本語・朝鮮語の二言語で行う予定であったが、送信所のあるモンゴル国の国家安全保障部門より、セキュリティーに関する問題が浮上したという理由から放送が延期となった[9][10][11]

同年9月25日、中波放送が開始される[12]

同年12月31日、中波放送が中断される。

2017年(平成29年)4月1日、中断していた中波放送が再開される。また、この中波での放送時間が従来より30分拡大し、23時30分から0時30分の1時間の放送となる。ただし、資金難等の理由で半年間を目処とした放送となる[13]。その後、中波放送が休止。

2018年(平成30年)4月1日、日本国政府の平成30年度予算において、しおかぜに対して中波放送での政府メッセージ発信のための業務委託費が計上された[14]。これを受け、休止していた中波放送を再開した[15]

しかし同年5月22日より中波放送が停止、同じ送信所を使用するBBCワールドサービス中継国際放送も停止する事態となった。停波の原因として、北朝鮮側による妨害も考えられる[16]

2019年(平成31年)4月1日より、北朝鮮による妨害電波対策として各時間帯に周波数を5波準備し、その中から同時に2波送信する「二重放送」を開始した[17]

放送の目的

  1. 拉致被害者に日本で救出の努力をしている事を伝える。
  2. 北朝鮮が情報を外部に出すように促進する。
  3. 北朝鮮の体制が崩壊した場合に避難場所等の情報を提供する。
  4. 北朝鮮にミサイルを落とす場合の避難場所等の情報を共有

放送内容

放送内容はたびたび変更されているが、2018年(平成30年)4月現在は以下の番組がランダムに放送されている。

故郷BGMの始まりと共に

日本語、朝鮮語、中国語による拉致及び拉致の可能性がある失踪者名前読み上げ

家族からの手紙「みんながあなたを待っている」

家族の絆(直接の呼びかけ)「きっと助けてあげる」

しおかぜニュース(日本語「日本海にかける橋」、朝鮮語「シオカゼ ソシク」、英語「This is Shiokaze Sea breeze」)

拉致及び拉致の可能性がある失踪者へ呼び掛け(日本語、朝鮮語、英語、中国語)他

情報提供のお願い、北朝鮮脱出の際の注意、脱出してからの日本の対応など

23:05の放送では日本政府の拉致問題対策本部制作の対北放送「ふるさとの風」の番組が放送される。

2005年10月の放送開始時には日本語番組のみで、日本の童謡唱歌などのピアノ独奏をBGMとして、拉致及び拉致の可能性がある失踪者の氏名、生年月日、失踪日時・場所などがアナウンスされた。

放送時間・周波数・内容の変化

2007年より使用しているKDDI八俣送信所(NHKワールド・ラジオ日本と共用)

2024年(令和6年)7月30日現在

放送時間(JST) 周波数
22:00-23:00 5935kHz、5965kHz、5985kHzのいずれかの周波数
23:05-23:35 5935kHz、7325kHz、5985kHzのいずれかの周波数
01:00-02:00 5915kHz、6090kHz、6165kHzのいずれかの周波数

※JST=UTC+9であり、この項の表記は特記無い限りJSTで表す。
※出力は300kW。ただし5985kHzのみ100kw

※ 放送言語は日本語、朝鮮語、中国語、英語

2005年

(30日23:30から放送が開始される予定であったが、予定時刻より1時間遅れて、31日0:30から放送された。)

(10月30日の放送開始時刻遅延の理由としては送信を依頼している配信会社がイギリスであることから、ヨーロッパにおける夏時間終了に伴う手違いとみられる。)

この当時の放送内容は、「拉致被害者と見られる人々の氏名・生年月日、失踪場所・日時」(○○□□さん、昭和○年○月○日生れ、昭和×年×月×日、○○県△△市にて失踪。○○さんは失踪当時○歳、現在△歳)の読み上げであった。

2006年

前者(第一放送)は従来通り、日本語による失踪者の氏名等データの読み上げ等。後者(第二放送)は朝鮮語・英語・中国語での失踪者の氏名等データの読み上げや、日本語・朝鮮語・英語での拉致問題に関するニュースと解説の放送である。また、同時に放送時刻も変更されている。

2007年

2008年

2009年

2010年

2011年

2012年

2013年

2014年

2015年

2016年

2017年

2018年

2019年

北朝鮮による妨害

2007年3月29日の朝と30日朝の2回、しおかぜに対して妨害電波が発信された事が明らかとなり、朝日新聞産経新聞等の各メディアにより報道される。総務省は、妨害電波は平壌付近から発信されたことを確認し、30日、国際電気通信連合(ITU)に対し、この電波がITUの無線通信規則en:ITU Radio Regulations)に違反していると通報した。

違反の内容は、電波には混信源特定のために義務付けられている識別信号(コールサイン)が付加されていない事である。この通報は、混信の排除に向けた手続きの第一歩で、現在は北朝鮮から放送が妨害がされているとしてITU経由にて北朝鮮に混信排除を要請している[35][36]

また、周波数変更を行ったしおかぜに対し、2007年11月2日[37]、2008年4月4日と妨害電波が発せられ[38]、それ以後の度重なる妨害に対しても引き続き同様の措置が取られている。

備考

送信所はKDDI八俣送信所(「NHKワールド・ラジオ日本」と設備共用)

脚注

[脚注の使い方]

  1. ^ しおかぜだより(戦略情報研究所株式会社)2007.3.22を参照
  2. ^ NHK、「しおかぜ」に国際短波放送用の施設使用認めるアサヒコム2007年3月13日付
  3. ^ 電波法施行規則第2条第1項第20号 「同報通信方式」とは、特定の二以上の受信設備に対し、同時に同一内容の通報の送信のみを行なう通信方式をいう。(送り仮名の表記は原文ママ)
  4. ^ a b 天目石要一郎 (2008年2月17日). “平壌にて、短波放送しおかぜ傍受をついに成功!(北朝鮮旅行2日目)”. 2017年2月18日閲覧。
  5. ^ “北朝鮮有事に備え「24時間生放送」準備 ラジオ「しおかぜ」北の妨害は低調も「資金難」に”. 産経ニュース. (2017年8月18日). https://www.sankei.com/article/20170818-YPDS2RV4LJOTPNVNRZFGLHAPIU/ 2018年4月27日閲覧。
  6. ^ a b しおかぜだより(戦略情報研究所株式会社)2015.3.27を参照
  7. ^ a b c しおかぜだより(同上)2015.10.23を参照
  8. ^ a b しおかぜだより(同上)2016.3.25を参照
  9. ^ 荒木和博BLOG『「しおかぜ」中波送信開始 【調査会NEWS2248】(28.7.13)』 Archived 2016年7月16日, at the Wayback Machine.
  10. ^ a b 特定失踪者調査会 対北ラジオ、29日にも中波も開始 拉致解決へ対応強化 - 産経ニュース 2016年7月13日
  11. ^ a b 荒木和博BLOG『中波放送「しおかぜ」昨日送信出来ず - archive.today(2016年8月3日アーカイブ分)
  12. ^ a b 荒木和博BLOG『北朝鮮向け中波放送「しおかぜ」送信開始 【調査会NEWS2302】(28.9.27)』
  13. ^ a b c 荒木和博BLOG『中波放送再開決定 【調査会NEWS2425】(29.3.27)』
  14. ^ “北朝鮮にいる拉致被害者向け中波ラジオ 菅義偉官房長官「支援していく」”. 産経ニュース. (2018年1月6日). https://www.sankei.com/article/20180106-TTEAQDS4PNKUXASLIXB4TPWDOA/ 2018年4月27日閲覧。
  15. ^ a b 荒木和博BLOG『記者会見での発表文 【調査会NEWS2696】(30.3.29)』、2018年4月27日閲覧。
  16. ^ a b 荒木和博BLOG『中波の送信が停止! 【調査会NEWS2740】(30.5.23)』
  17. ^ 荒木和博BLOG『二重放送4月1日より開始【調査会NEWS2954】(31.3.28)』、2019年4月8日閲覧。
  18. ^ 北朝鮮向け 短波放送「しおかぜ」放送サンプル 戦略情報研究所株式会社
  19. ^ “北朝鮮向け周波数確保 政府が短波しおかぜ支援”. 47NEWS. 共同通信. (2007年3月19日). オリジナルの2009年5月1日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20090501193141/http://www.47news.jp/CN/200703/CN2007031901000909.html 2022年10月1日閲覧。
  20. ^ 「しおかぜ」に対する無線局免許の交付について 関東総合通信局報道資料 平成19年3月22日(国立国会図書館のアーカイブ:2007年8月8日収集)
  21. ^ “北朝鮮が「しおかぜ」に妨害電波”. MSN産経ニュース. (2007年11月2日). オリジナルの2007年11月4日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20071104105836/http://sankei.jp.msn.com/world/korea/071102/kor0711021823000-n1.htm 2022年10月1日閲覧。
  22. ^ “短波「しおかぜ」に 北朝鮮また妨害電波”. MSN産経ニュース. (2008年4月4日). オリジナルの2008年4月21日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20080421111459/http://sankei.jp.msn.com/world/korea/080404/kor0804042000001-n1.htm 2022年10月1日閲覧。
  23. ^ 猫の目作戦--「しおかぜ」周波数再度変更 調査会NEWS 627
  24. ^ 特別業務の局の免許の有効期限は原則として5年以内の一定の11月30日までとされている。
  25. ^ しおかぜだより(戦略情報研究所株式会社)2013.5.15を参照
  26. ^ しおかぜだより(同上)2014.4.8を参照
  27. ^ しおかぜだより(同上)2014.12.26を参照
  28. ^ しおかぜだより(同上)2015.3.30を参照
  29. ^ 荒木和博BLOG『短波放送「JSRしおかぜ」周波数改編 【調査会NEWS2324】(28.10.31) 』
  30. ^ 荒木和博BLOG『中波放送「しおかぜ」停波 【調査会NEWS2359】(28.12.27)』
  31. ^ 荒木和博BLOG『中波放送しおかぜ停波 【調査会NEWS2549】(29.9.16)』、2017年10月1日閲覧
  32. ^ 荒木和博BLOG『妨害電波、異例の早さ!【調査会NEWS2580】(29.10.31)』
  33. ^ 総務省 電波利用ホームページ | 無線局免許状等情報 - 特定失踪者問題調査会2019年5月15日閲覧。
  34. ^北向けラジオ「しおかぜ」周波数増 妨害回避へ政府も支援検討”. 産経新聞 (2019年3月30日). 2019年3月31日閲覧。
  35. ^ 日本と北朝鮮との国交が無い為に、北朝鮮も加盟しているITU経由での要請となる。
  36. ^ 「しおかぜ」への影響が懸念される電波への対応 総務省 報道資料 平成19年3月30日(国立国会図書館のアーカイブ:2009年7月22日収集)
  37. ^ 「しおかぜ」への影響が懸念される電波への対応 総務省 報道資料 平成19年11月2日(同上)
  38. ^ 「しおかぜ」への影響が懸念される電波への対応 総務省 報道資料 平成20年4月4日(同上)

関連項目

外部リンク

関東地方ラジオ放送局
NHKNHKラジオ 東京 横浜 さいたま 千葉 前橋 宇都宮 水戸
FM補完放送を行うAMラジオ TBSラジオ 文化放送 ニッポン放送 RFラジオ日本 LuckyFM CRT栃木放送
FMラジオ局 TOKYO FM J-WAVE interfm FMヨコハマ NACK5 BAYFM FM GUNMA RADIO BERRY
短波ラジオ局 ラジオNIKKEI
コミュニティFM 関東総合通信局管内のコミュニティ放送局一覧
放送終了 放送大学(FM)
関連項目 AFN Tokyo FM FUJI三つ峠八俣送信所NHKワールド・ラジオ日本 / しおかぜ) 日本FEBC
備考 FM補完放送を行うAMラジオ局・AMラジオ局・FMラジオ局・短波ラジオ局の欄の網掛の凡例■…JRN系、■…NRN系、■…JFN系、■…JFL系、■…MegaNet系、■…独立ラジオ局
日系人または在外日本人
関連記事 日系で始まる記事の一覧 日本人移民 日本から外国への出稼ぎ 日本人街 日本人墓地 日本人会 在外教育施設 日本人学校 補習授業校 教科用図書の在外邦人への無償配布 帰国子女 日本で実施される選挙の在外選挙 日本国籍の喪失要件 日系人の強制収容 日系アメリカ人の歴史 排日移民法 日系アメリカ人市民同盟 収容所所在地 第442連隊戦闘団 アメリカ陸軍情報部 写真花嫁
出身地 広島県
アジア 東アジア 韓国 北朝鮮(英語版在日朝鮮人の帰還事業 中華人民共和国 中国残留日本人 香港 上海(英語版) 台湾(中国語版湾生 その他 アラブ首長国連邦 インドネシア(英語版) インド(英語版シンガポール スリランカ(英語版) タイ(英語版) ネパール(英語版) パキスタン(英語版フィリピン ベトナム(英語版) マレーシア(英語版
北米 アメリカ合衆国 ハワイ シアトル ポートランド サンフランシスコ ロサンゼルス ヒューストン デトロイト 他都市 日系アメリカ人の一覧 広島原爆で被爆したアメリカ人 カナダ トロント モントリオール キューバ コスタリカ ドミニカ共和国 メキシコ メキシコシティ(英語版
南米 アルゼンチン ウルグアイ コロンビア チリ パラグアイ ブラジル サンパウロ(英語版ベネズエラ ペルー ボリビア
ヨーロッパ イギリス ロンドン(英語版オランダ スウェーデン スペイン ドイツ デュッセルドルフ トルコ(英語版フランス パリ ロシア サハリン州(中国語版) ベルギー ブリュッセル(英語版
オセアニア オーストラリア メルボルン キリバス ソロモン諸島 ニューカレドニア ニュージーランド パプアニューギニア パラオ マーシャル諸島 ミクロネシア連邦
アフリカ アルジェリア エジプト(英語版南アフリカ
世代 (日系人) 一世 二世 三世 四世 五世(英語版シンプル英語版
海外渡航手続き 在留届(海外に3か月以上滞在で提出義務あり) たびレジ(3か月未満の旅行や出張など)
メディア NHKワールド JAPAN NHKワールド・ラジオ日本 NHKワールド・プレミアム NHKワールドTV しおかぜ ふるさとの風 邦字新聞
カテゴリ 日系人 在外日本人