「なあて」の意味や使い方 わかりやすく解説 Weblio辞書 (original) (raw)
『煙草と悪魔』(芥川龍之介) 天文年間(1532~55)、日本に渡った悪魔が、畑で煙草の栽培を始めた。悪魔は牛商人に、「この植物の名を当てられなければ、あなたの身体と魂をもらう」と告げる。牛商人は一策を案じ出し、夜、牛を畑に放す。悪魔は「この畜生。何だって、おれの煙草畑を荒らすのだ」と叫ぶ。翌日、牛商人は「畑に植わっているのは『煙草』」と言い当て、畑の煙草を全部自分のものにした。
★2.立ち聞きすることによって、鬼などの秘密の名前を言い当てる。
『大工と鬼六』(昔話) 「川に橋を架けた代償に、お前の目玉をよこせ」と鬼が大工に迫り、「それがいやなら俺の名を当ててみろ」と言う。鬼の子が「早く鬼六が目玉を持ってくるように」と歌うのを聞いた大工が、「鬼六」というと鬼は消える(岩手県胆沢郡)。
『トム・ティット・トット』(イギリスの昔話) 小鬼が王妃の糸つむぎを手伝い、「俺の名を当てられなければ、お前をもらって行く」と言う。王が狩りをしに森へ行き、穴の中で小鬼が「俺の名はトム・ティット・トット」と歌うのを聞いて、王妃に教える。
『ルムペルシュティルツヒェン(がたがたの竹馬小僧)』(グリム)KHM55 小人が王妃の産んだ子を要求し、自分の名を当てたら許してやろうという。山の家で小人が「俺の名が『がたがたの竹馬小僧』とは誰も知らない」と歌うのを王妃の家来が聞き、王妃に教える。
『ジャータカ』第380話 王が1人の娘に心奪われ、彼女を得たいと願う。娘を育てた苦行者が「名前を当てることができたら与えよう」と言う。3年かかっても王は名前がわからず、「私はすべてを失った。私自身も息絶えるかと気がかりだ」と詩を唱える。娘は「その『気がかり』こそ私の名前です」と言い、王と娘は結婚する→〔誕生〕1。
★4.秘密の名前を言い当てることができない人に、正答を教える。
『トゥーランドット』(プッチーニ) 求婚者の王子カラフは、王女トゥーランドットが出した3つの謎を解いた後(*→〔難題〕1b)、「明日の夜明けまでに、私の名前を言い当てよ」との課題を、トゥーランドットに与える。トゥーランドットは、王子の父や女奴隷を拷問して名前を知ろうとするが、成功しない。王子はトゥーランドットに接吻して、「我が名はカラフ」と教える。トゥーランドットは「このお方の名は『愛』」と群集に告げ、2人は抱き合う。