イヌ型亜目とは - わかりやすく解説 Weblio辞書 (original) (raw)

イヌ型亜目
生息年代: 43–0 Ma PreЄ Є O S D C P T J K Pg N
上:イヌ科アメリカアカオオカミ。主に平原棲)中:クマ科ヒグマの親子。主に森林棲)下:鰭脚類ワモンアザラシ。水棲)
地質時代
約4,200万年前- 現世(新生代古第三紀始新世前期後半ルテシアン - 第四紀完新世サブアトランティック[ja])
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota : 動物界 Animalia : 脊索動物門 Chordata 亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata : 哺乳綱 Mammalia : 食肉目 Carnivora 亜目 : イヌ型亜目 Caniformia
学名
Caniformia Kretzoi, 1938[1]
和名
イヌ型亜目[2]
英名
Dog-like suborder
下位分類群(下目、ほか)
本文を参照 *

イヌ型亜目(Caniformia)は、食肉目を構成する2亜目のうちの一つで、ネコ型亜目姉妹群である。イヌ亜目[3]イヌ様亜目とも称す[4]

イヌ下目(化石種・現生種ともイヌ科のみ)のイヌ科、および、クマ下目に属する複数の動物群(イタチ上科クマ科鰭脚類)が現生する。

呼称

学名 Caniformiaラテン語: canis 「犬」+ forma 「型」に由来する合成語。

日本語では、学名の直訳に近い「犬形類(けんけいるい、いぬけいるい)」や「犬形獣類(けんけいじゅうるい、いぬけいじゅうるい)」といった呼称があり、亜目 (subordo) の名としては「犬形亜目」および「犬形獣亜目」があるほか、一般的に最もよく用いられる「イヌ亜目」、そして、「犬亜目(けんあもく)」がある[_要出典_]。

特徴

ネコ型亜目との特筆すべき差異は、中耳を覆う骨化した鼓胞が主に内鼓室骨で構成されている点である。ネコ型亜目では基盤的哺乳類において鼓膜を支持していた輪状の骨である外鼓室骨で主に構成されている一方、イヌ型亜目の内鼓室骨はイヌ亜目において初めて獲得された骨である[5]

進化史

イヌ型亜目の下位分類群であるイヌ科アンフィキオン科クマ科イタチ上科の最古の化石記録は古第三紀の後期始新世まで遡ることができる。イヌ科は北アメリカ大陸を中心に進化し、特にイヌ亜科鮮新世以降に本格的に他の大陸へ進出した。そのころには既に食肉目も衰退しており、北半球で繁栄したアンフィキオン科も中新世に多様化を遂げた。イタチ科が多様化したのも中新世以降である[5]

イタチ類と共にイタチ小目をなす鰭脚類の起源は明確に判明していないが、後期漸新世と考えられている。前期始新世ごろにアンブロケトゥスなど初期のクジラ類の占めていた沿岸域の動物食性動物のニッチ(生態的地位)が漸新世には空白となっていたため、その空白を埋めるように進化した[5]

なお、後期始新世の北アメリカからはバリクティス(アンフィキノドン亜科)が発見されているが、アンフィキノドン亜科をクマ科に含めない見解もあり、その場合にはクマ科の最古の化石記録は前期漸新世のケファロガレ(ヘミキオン亜科)となる。報告されているクマ科の他の属種は前期中新世以降のものであり、クマ科はイヌ亜目の中でも新しいグループになる[5]

系統分類

ウィキスピーシーズに**イヌ型亜目**に関する情報があります。

ウィキメディア・コモンズには、**イヌ型亜目**に関連するカテゴリがあります。

上位分類

下位分類

アンフィキオン属en)に代表される絶滅したアンフィキオン科は、イヌ下目 (Cynoidea) とクマ下目 (Arctoidea) に先行する原始的グループであり、進化上重要な分岐位置にある分類群。クマ下目に分類される場合もある。

イヌ下目の下位分類には、現在のところ、イヌ科のみが置かれている(※よって、「イヌ下目」の該当項目は省略されている)。

系統図

イヌ亜目の下位分類群の進化系統を示す。 は「絶滅」の意。

脚注

  1. ^ W. Christopher Wozencraft, “Order Carnivora,” In Don E. Wilson & DeeAnn M. Reeder (eds.), Mammal Species of the World: A Taxonomic and Geographic Reference (3rd ed.), Johns Hopkins University Press, 2005, Pages 532-628.
  2. ^ 川田伸一郎・岩佐真宏・福井大・新宅勇太・天野雅男・下稲葉さやか・樽創・姉崎智子・横畑泰志 「世界哺乳類標準和名目録」『哺乳類科学』第58巻 別冊、日本哺乳類学会、2018年、1-53頁。
  3. ^ 遠藤秀紀・佐々木基樹「哺乳類分類における高次群の和名について」『日本野生動物医学会誌』6巻 2号、2001年、45-53頁。
  4. ^ 佐藤淳・Mieczyslaw Wolsan「レッサーパンダ(_Ailurus fulgens_)の進化的由来」『哺乳類科学』52巻 1号、日本哺乳類学会、2012年、23-40頁。
  5. ^ a b c d 冨田幸光、伊藤丙雄、岡本泰子『新版 絶滅哺乳類図鑑』丸善出版、2011年1月30日、108-117,149頁。ISBN 978-4-621-08290-4

出典