「エム・ブイ・ピー」の意味や使い方 わかりやすく解説 Weblio辞書 (original) (raw)
別表記:エム・ブイ・ピー
「MVP」とは・「MVP」の意味
MVPには、主に野球などのスポーツで使われる「最優秀選手(Most Valuable Player)」と、ビジネスにおいて使われる「実用最低限の機能を備えた製品(Minimum Viable Product)」という、二つの意味がある。
スポーツ用語として使われる場合は、一つの大会もしくはシーズン中に最も優秀な成績を残し、チームに貢献した選手に与えられる賞である。チームスポーツで使われているもので、特に、プロ野球で使われることが多い。「Most」は最も、「Valuable」は価値のある、そして「Player」は選手という意味を持つ単語だ。つまり、「Most Valuable Player」は最も価値のある選手、最も優秀な選手のことを指している。また、日本語に訳す場合は、「最高勲章選手」とされる場合もある。大会もしくはシーズン中という、ある一定の期間中に活躍した選手が選ばれるもののため、基本的に優勝チームから選ばれる傾向がある。その他には、「月間新人MVP」や「週間MVP」など、それぞれのテーマを決めて、その期間に最も活躍した選手を表彰する場合もある。
なお、スポーツ界では、「MVP」と似た言葉として「mom」や「mip」などがある。「mom」とは、「Man of the Match」の略称で、ある特定の試合において、最も活躍した選手を指す。大会やシーズンなど、一定の期間という単位の中で選手がフューチャーされる「MVP」に対し、「mom」は試合単位で表彰されるのである。一方、「mip」は「Most Impressive Player」の略称で、こちらはある特定の試合で最も印象に残った選手に対して贈られるものだ。「Impressive」は、印象的なという意味を持つ言葉である。勝負の結果はあまり関係なく、素晴らしいプレーをした選手などが選ばれる傾向がある。そのため、それまで全く無名だった選手が選ばれるケースも少なくない。
ビジネス用語として使われる場合は、スポーツ用語とは全く異なる意味を持つ。「Minimum Viable Product」の略称で、顧客にその価値を提供できる、実用最低限の機能を備えた製品やサービスのことを指しているのだ。「Minimum」は最小限、「Viable」は実行可能なという意味を持つ言葉である。MVPはもともと、2001年にフランク・ロビンソンによって考えられ、定義されたものだ。その後、アメリカの企業家である、スティーブ・プランクと、エリック・リースによって、この言葉がビジネス界で広く知られるようになった。エリック・リースによる著書「リーンスタートアップ」の中で、MVPは市場の反応を試すために重要なものとして、紹介されている。リーンスタートアップ(Lean Startup)とは、リスクをできるだけ抑えながらビジネスの成長を目指すモデルのことだ。主に、シリコンバレーにおいて成功する企業の特長を分析したものである。
ビジネスを成功させるためには、市場に出したプロダクトが、顧客に受け入れられる必要がある。しかし一方で、市場に出すまでに、その判断をすることは難しい。つまり、顧客のニーズとマッチしていないリスクも潜んでいるのだ。さらに、最初から完璧な状態を目指す場合、長い期間とコストを要してしまう。リーンスタートアップは、そのようなリスクを最低限に抑える方法である。ビジネスを成功させるためには、この方法では、まず新しいビジネスアイデアを実用最小限のプロダクトとして具現化し、それを実際に市場で検証し、そしてそこで得たフィードバックを改良に役立てていくプロセスが重要としている。そこで欠かせないのが、MVPである。MVPは、「市場で検証するために使うもの」として位置づけられているのだ。このアプローチ方法は、スタートアップだけでなく、新しいサービスの開発や新規事業を立ち上げる際にも、注目を集めている。
MVPを導入すると、次のようなメリットが挙げられる。
・仮説の検証がスピーディに行える
・最初から完成品を目指す方法よりも、無駄なコストの削減につながりやすい
・ニーズやウォンツを的確に把握できる
・上記メリットがあるため、新たな市場に参入しやすい
なお、システム開発をするための手法として、しばしばアジャイル開発という言葉が挙げられることがある。アジャイル開発は、ソフトウェア開発の分野で使われているビジネス用語だ。MVPと似たような意味を持っているが、その性質は異なるため、注意が必要である。アジャイル開発では、小さな機能ごとに分類し、一つ一つの機能に対して実装やテストを繰り返し行っていく。短い開発工程を何度も繰り返すことで、開発スピードの向上を狙っているのだ。PDCAをスピーディに繰り返し、改善を重ねていくMVPとは、開発の進め方に少し違いがある。
「MVP」の読み方
「MVP」の読み方は、「エム・ブイ・ピー」である。
「MVP」の熟語・言い回し
「MVP」を使ったフレーズには、次のようなものが挙げられる。
MVP開発とは
「MVP開発」という言い回しは、ビジネス用語として使われている。Minimum Viable Productを使った開発方法という意味で、リーンスタートアップというマネジメント手法のひとつ。従来の、最初から完璧を目指し、細部までこだわりながら開発を進めていく方法とは全く異なるものである。「最短」「最小」という観点から開発を行い、顧客からのフィードバックを元に改善するというサイクルを繰り返し、リリースに向けてその精度を上げていくのだ。
MVP開発はPDCAサイクルを高速で何回も繰り返し行っていくため、複雑でボリュームのあるものよりも、比較的短期間で開発可能な規模を持つものに向いていると言われている。また、開発のプロセスには有益なフィードバックが欠かせないため、ユーザーと良好な関係を保つことも欠かせない。
今日のMVPとは
一般的には、「最優秀選手」という意味合いで使われるMVPだが、スポーツ以外の場面で使われることもある。「今日のMVP」は、「今日一番頑張った人」という意味合いで使われている言い回しだ。「今日のキラリさん」などと言われることもある。学校の帰りの会などで、一日の振り返りをするためのプログラムだ。「今日のMVPは○○さん」などのように、その日、クラスの中で最も頑張っていた人を発表する時に使われる。表彰された後は、みんなで拍手をしてその人を称えることも多い。今日のMVPでは、「掃除を一番頑張った」や「困っている友だちを助けた」など、スポーツに限らず様々な場面における行動が対象となる。クラスメイトの前で褒められることで自信につながったり、友だちのよいところを見つけようとする気持ちが育つと言われているのだ。また、今日一番おいしかった食べ物や、よかったものなど、人以外のものに対して使われることもある。
「MVP」の使い方・例文
・君は○○がMVPだと予想したが、私の見立てでは、今シーズンのMVPは彼になると思う。
・MVPとmip、momの違いを明確に説明できる人は、この中にいるだろうか。
・MVPの価値は、プロ野球が好きな人であれば分かっているはずだ。
・息子が過去にMVPに選出されたことは、今でも彼女の中で誇りとなっている。
・MVPの話をしていたので、てっきり最優秀選手のことかと思ったが、ビジネスにおける内容のものだった。
・MVP開発を導入したいのだが、従来の手法を好む経営層から反発を受けている。
・ユーザーの意見を取り入れすぎて、MVPの本来の目的を見失ってしまった。
・彼の会社は、MVP開発を上手に取り入れて成功することができた。
・MVP開発は必要最低限の機能を持ったプロダクトを開発するところからスタートするため、早い段階で開発者のスキルを確認することができる。
・MVPのリリースは、今週末を予定しているので、それに合わせてミーティングを行いたい。