ブルゴーニュワインとは何? わかりやすく解説 Weblio辞書 (original) (raw)

ブルゴーニュワインの産地

ピュリニー=モンラッシェのブドウ畑

ブルゴーニュワインは、フランス東部ブルゴーニュ地方特産のワインである。

概要

ブルゴーニュワインが造られるブルゴーニュ地域圏は比較的冷涼な大陸性気候であり、昼夜の寒暖差が大きいことがブドウの栽培に好適である[1]。ブドウ畑の総面積は30052ヘクタールであり、フランスのAOCのブドウ畑の4.5%を占める。年間生産量はおよそ1億9400万本であり、これは全世界のワイン生産量の0.5%にあたる[2]

ブルゴーニュのワイン生産地区は、次の6つに大別される[3][4]

地域 行政区画 備考
シャブリ ヨンヌ県 独自の格付けを持つ
コート・ド・ニュイ コート・ドール県 コート・ドールを構成する
コート・ド・ボーヌ コート・ドール県 コート・ドールを構成する
コート・シャロネーズ ソーヌ・エ・ロワール県
マコネ ソーヌ・エ・ロワール県
ボジョレー ソーヌ・エ・ロワール県・ローヌ県 独自の格付けを持つ

コート・ド・ニュイとコート・ド・ボーヌは特に優れたワインを産出することで知られており[5][6]、まとめてコート・ドール(仏:_Cote d'or_、黄金の丘の意)と呼ばれる。コート・ドールは南北に50~60km続く細長い地域であり、日当たりの良い東向きの斜面の中腹にブドウ畑が存在する[7]。ブルゴーニュのなかでも特に銘醸地として知られ、後述する特級畑の多くがコート・ドールに存在する[7][8]

ブルゴーニュの格付けは以下の4段階に分かれる[9]

モレ・サン・ドニ村に存在する特級畑、クロ・ド・ラ・ロッシュのワイン。"GRAND CRU"と記載されている。

格付け 全生産量に対する割合
特級畑(グラン・クリュ) 33 1.4%
一級畑(プルミエ・クリュ) 684 10.1%
村名 44 36.8%
地域名 23 51.7%

畑は分割して所有されていることが多く[9]、例えば面積の広いクロ・ド・ヴージョ[注釈 1]は80ほどの生産者が区画を分けて所有している[10]。全域を単一の生産者が所有している畑を**モノポール**と呼ぶ[11]

シャブリとボジョレーについては、独自の格付けが存在する[4]

ブルゴーニュでは紀元前600年ごろからブドウの栽培がなされており、4世紀ごろにはすでに銘醸地として認識されていた[1]。11世紀には、修道院によりミサ用のワインが生産される過程で、畑により算出されるワインの質に差があることが発見され、特に高品質なワインを産む畑を石垣や塀で囲い「クロ(仏:_Cros_)」と呼ぶようになった[12]。14世紀にはブルゴーニュ公国が成立しした。このころは病害に強く終了の多いガメイがコート・ドールでもが栽培されていたが、品質としては凡庸であったため、1395年にフィリップ豪胆王によりガメイを禁止する勅令が発令されたことで、コート・ドールでの赤ワイン用のブドウはピノ・ノワールに置き換わり、ガメイを主たる品種として栽培する地域はボジョレーだけになった[13][14]。最南に位置するボジョレーのみ花崗岩質の土壌であり[注釈 2]、ガメイとの相性が良いこともこの地で栽培が続いている理由のひとつである[4]

ブルゴーニュワインは、赤ワインはピノ・ノワール、白ワインはシャルドネの単一品種で造られることが一般的である。その他、赤ワインではガメイ、白ワインではアリゴテが使われることもある[2]。ブルゴーニュの赤ワインは、同じくフランスの著名な赤ワインの産地であるボルドーと比較されることがある。ボルドーの赤ワインが深い色調で渋みをもたらすタンニンが豊富な重厚な味わいであるのに対し、ブルゴーニュの赤ワインは明るい色合いを持ち、酸味を強く感じられる優雅で軽やかな味わいとなる[15]

生産は、自社で畑を所有しブドウ栽培から醸造までを行うドメーヌ(仏:_Domaine_)と、農家や他生産者からブドウやワインを購入し、醸造や瓶詰めを行うネゴシアン(仏:_Négociant_)の2形態がある。なかには自社畑を持つとともにネゴシアンとして購入したブドウでの醸造を行う生産者もいる[16]。ブルゴーニュには3900程度のドメーヌと300程度のネゴシアンが存在している[17]

地域

ブルゴーニュの葡萄畑(シャブリ地区)

シャブリとオーセロワ地区(ヨンヌ県)

コート・ドール地区

注釈無しは村名、その後にその村に属する有名な一部の畑を記載(面積は実際の作付面積)

シャンベルタン・クロ・ド・ベーズのブドウ畑。ジュヴレ=シャンベルタン村に存在する特級畑である。

コート・ド・ニュイ

南西から見たコルトンの丘。ブドウ畑が広がる。

コート・ド・ボーヌ

ブルゴーニュ・オート・コート・ド・ニュイ

ブルゴーニュ・オート・コート・ド・ボーヌ

コート・シャロネーズ地区

マコネ

クリュ・ボージョレーのひとつ、ブルイィのワイン

ボジョレー地区

出典

  1. ^ a b一番わかるブルゴーニュワインの教科書|ボルドーと比較しながら詳しく解説”. Oh my Wine!. 2022年12月30日閲覧。
  2. ^ a bブルゴーニュへの旅”. ブルゴーニュワイン委員会. 2022年12月30日閲覧。
  3. ^BOURGOGNE…フランスワイン事典”. 2022年12月30日閲覧。
  4. ^ a b cブルゴーニュ”. RSVP. 2022年12月30日閲覧。
  5. ^ 加藤敦志 (2019年2月27日). “【要点がわかる】コート・ド・ボーヌ地区のワイン特徴と主要AOC”. wine-no-susume.com. 2025年1月7日閲覧。
  6. ^ ぶるぴの. “コート・ド・ボーヌとは?ワインの特徴と各村の解説 - WBSワインブックススクール”. 2025年1月7日閲覧。
  7. ^ a bコートドールとは?特徴とブドウ品種”. Winebooks. 2022年12月30日閲覧。
  8. ^コート・ドール”. Winelink. 2024年2月18日閲覧。
  9. ^ a bグランクリュとは?ブルゴーニュの特級畑”. 葡萄畑ココス. 2022年12月30日閲覧。
  10. ^クロ・ド・ヴージョとは”. ENOTECA online. 2022年12月30日閲覧。
  11. ^ブルゴーニュ地方で多く見られるワインにおけるモノポールとは”. ワインショップソムリエ. 2022年12月30日閲覧。
  12. ^2000年以上にわたる長いブルゴーニュワインの歴史”. Home & Kitchen. 2022年12月30日閲覧。
  13. ^ボジョレーのワイン”. ワインショップドラジェ. 2022年12月30日閲覧。
  14. ^ガメイとは?ボジョレー・ヌーヴォーにとどまらない魅力を徹底解説!”. アカデミー・デュ・ヴァン. 2022年12月30日閲覧。
  15. ^ 『ワインの女王 ボルドー ―クラシック・ワインの真髄を探る』早川書房、2005年7月21日、10-13頁。
  16. ^ブルゴーニュ地方の「ドメーヌ」と「ネゴシアン」とは?”. Wine noble. 2022年12月30日閲覧。
  17. ^ブルゴーニュワイン 〜 ドメーヌとネゴシアンの違いとは”. LiquorPage. 2022年12月30日閲覧。

注釈

  1. ^ ヴージョ村に存在する約50ヘクタールの特級畑であり、ブルゴーニュの畑のなかでは最も広い
  2. ^ ボジョレー以外の地域の土壌は泥灰土と石灰質土壌により構成されている。シャブリについてはキンメリジャンと呼ばれる石灰質土壌が発達している。

関連項目

外部リンク