三刺激値とは何? わかりやすく解説 Weblio辞書 (original) (raw)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/13 06:12 UTC 版)
「CIE 1931 色空間」の記事における「三刺激値」の解説
正常なヒトの目には3種類の錐体細胞があり、波長のピークの感度において、それぞれ短波長 (S, 420 nm–440 nm)、中波長 (M, 530 nm–540 nm)、長波長 (L, 560 nm–580 nm) を感知する錐体細胞に分類される。これらの錐体細胞によって、ヒトの中~高輝度の条件下に於ける色覚が知覚されている(非常に弱い光のもとでは色覚は感じられなくなり、替わって桿体細胞が働くことで、色は感じなくてもモノクロの視覚を感知できる)。この三刺激値はそれぞれ、3種類の異なる刺激レベルをもつ錐体細胞と対応し、原理的にはすべての色を感知することができる。 3種の錐体細胞スペクトル感度におけるスペクトルごとの総和をもとめることで、三刺激値が得られ、この三刺激値で物体の色のスペクトルを表現することができる。このS、M、L三つのパラメータによりLMS色空間と呼ばれる3次元空間を表現できる。LMS色空間はヒトの色覚を表現するために考案された複数の色空間の一つである。 色空間は、物理的に生成された色(混合光、顔料など)を、特に三刺激値のような、目の色覚を表す客観的な表現に置き換えるものである。LMS色空間のように常に錐体細胞のスペクトル感度を直接定義するようなものではない。三刺激値に基づく色空間は、3色による加法混色モデルにおける三原色の総和を概念化したものと関連づけられている。LMS色空間やXYZ色空間のような一部の色空間においては、各々の原色は現実の色としては存在せず、どんなスペクトルの光をつかっても実現させることはできない。 CIE XYZ色空間は、平均的なヒトが知覚することができるすべての色を包含している。 このため三刺激値によるCIE XYZ色空間はデバイス非依存の色表現である 。CIE XYZ色空間を標準として用いて、他の多くの色空間が定義されている。LMS色空間のスペクトル感度曲線のような等色関数を用いて(負の値を持つか持たないかに限らず)、物理的に生成された光のスペクトルを特定の三刺激値に関連付けている。 様々な異なる波長が混合された二つの光源について考える。そのような光源は同じ色として認識されることがある。これを条件等色(英語版)(メタメリズム) という。そのような同じ色と知覚される光源同士においては、光源がそれぞれどんなスペクトル分布であっても、二つの光源ともに同じ三刺激値を持っている。 殆どの波長においては、錐体細胞のスペクトル感度においてS, M, Lそれぞれのカーブが相互に重なっているため、二種類あるいは三種類の錐体細胞が刺激される。このため、一つの三刺激値のみを表すことは物理的に不可能である(例として、LMS三刺激値におけるM成分がゼロでない時、L成分もS成分もゼロにはなり得ない)。さらには、LMS三刺激値において、三原色の加法混色の色空間(例えばRGB色空間)では、単波長の色は少なくとも三色のうち一色は負の値になる。これは、三原色により定義される三角形の外側に色度が位置しているためである。このような負の値をもつRGB値を避けるため、および一つの成分が知覚的明度と一致するために、このような仮想上の原色が定義され、対応する等色関数が定義されている。CIE 1931色空間において、この三刺激値がそれぞれX, Y および ZとしてXYZ色空間上に定義されている。XYZすべての組み合わせにおいては、正の値のみを持つ。X, Y, Zの単色に相当する位置である[1, 0, 0], [0, 1, 0], [0,0,1]に対応するのは、LMS表色系に於いて表現できる色の外側に位置する架空の色であり、これら架空の単色はどの波長分布の色とも一致せず、物理的には存在しない色である。
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