位相整合とは何? わかりやすく解説 Weblio辞書 (original) (raw)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/06/21 15:19 UTC 版)
強い二次高調波を得るためには入射された光と、発生した二次高調波の位相が媒質中の光路のすべてでそろっていなければならない。このことを位相整合と呼ぶ。位相整合条件は、二つの光の位相速度が一致することであり、その条件は二次高調波の波数をk1、入射光の波数k2とすると次のように書かれる。 k 1 = 2 k 2 ( 2 ) {\displaystyle k_{1}=2k_{2}\qquad (2)} 光の波数kは真空での波長λ0と屈折率nを用いればk=2πn/λ0で表される。二次高調波では(1/2)λ20=λ10なので、位相整合条件は屈折率を用いてつぎのようになる。 n 1 = n 2 ( 3 ) {\displaystyle n_{1}=n_{2}\qquad (3)} 一般に、媒体の屈折率は波長依存性をもつので、等方的な媒体(たとえば、気体や等方性結晶などの複屈折がおこらない媒体)では二次高調波は発生しない。一方、異方性を持った媒体(光学軸をもった結晶)では複屈折により、媒体内に通常光線 (ordinary ray) と異常光線 (extraordinary ray) の2つの異なる偏光の光が発生する。この2つの光線は異なる屈折率を持つ。入射光の光学軸に対する角を変えることで、2つの波長での屈折率を位相整合条件に一致させることができる。 通常光線と異常光線はそれぞれ屈折率が異なるので真空の波長が同じでも波数が異なる。(2)式を書き直せば、 k 1 = k 2 o + k 2 e ( 4 a ) {\displaystyle k_{1}=k_{2o}+k_{2e}\qquad (4a)} n 1 λ 1 0 = n 2 o λ 2 0 + n 2 e λ 2 0 ( 4 b ) {\displaystyle {\frac {n_{1}}{\lambda _{1}^{0}}}={\frac {n_{2o}}{\lambda _{2}^{0}}}+{\frac {n_{2e}}{\lambda _{2}^{0}}}\qquad (4b)} といった位相整合条件も存在する。同一光線の入射光(つまり同じ偏光)から入射光とは異なる偏光の二次高調波を発生させるのをTypeIと呼び、異なった光線(すなわち直交する異なる偏光)の入射光から二次高調波を発生させることをType IIと呼ぶ。
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