「侘しい」の意味や使い方 わかりやすく解説 Weblio辞書 (original) (raw)
別表記:
侘しい
「わびしい」とは・「わびしい」の意味
わびしいとは、寂しく物静か、みすぼらしい様子を意味する言葉である。感情的には悲しい気持となるが、漢字では「侘しい」と書くようにわび・さびの精神が宿るもので、基本的にはネガティブな意味ではあるが、寂しく物静かな趣きなどの慎ましさに美を感じる日本独特の感性がにじみ出るポジティブな面も存在する。「寂しい」と意味は似ているが、寂しいには哀れみの意味があり、わびしいは目に見える情景を表しているのに対して、寂しいは今現在の気持ちを表している。言い換えればわびしいは古典的な言い方、寂しいは現代的な言い方とも捉えることができる。
なお、中国の小説家である魯迅の短編小説、故郷」の文章の中にもわびしいという言葉が使われていて、主人公が変わり果てた故郷を前にして自身の思いを吐露する場面で使用されている。かつては美しく、人々も活気に満ちていたはずの故郷が荒れ果て、住民の心まですさんだ様子を見てわびしい、という言葉が用いられるが、文章が表しているように寂しさや孤独を感じさせる情景を表現する時に使用する言葉である。
また、わびしいは辞書には他にも興覚めやおもしろくない、気力がない、当惑などの意味が述べられていて、使い方によって意味も異なる。古典では「わびし」とも表現され、徒然草の一文にも「興覚め」という意味で「わびし」が使用されている。
「わびしい」の熟語・言い回し
わびしい思いとは
わびしい思いとは、情景を見て寂しい、もの悲しいと人が思うことである。
わびしい食事とは
わびしい食事とは、品数が少なく、またそれぞれの量も少ない食事のことである。ただし、倹約や節約、フードロスなどの観点からわざと慎ましい食事にする人も存在し、人によっては食事の品数や量などは各家庭や個人によって異なるので、人の食事を見て「わびしい食事」と決めつけるのは失礼に当たるので注意が必要だ。そのため、使用する時は時代や個人の環境、背景によって捉え方が違うことを意識して使用することが大切となる。
わびしい村々とは
わびしい村々とは、活気がなく、人口も少ない村、あるいは廃れた印象を与える村のことである。元々栄えていた村が衰退した、たくさんの子供や若者がいた村であった、などの過去に対する表現として用いられることが多く、過去と現在を比較してわびしい、と捉える傾向が強い。あるいは慎ましやかな暮らしをしている村のことも指す言葉で、魯迅の「故郷」にも「わびしい村々」という一節が書かれているが、こちらは前述の意味を持つ言葉として使用されている。
「わびしい」の使い方・例文
わびしいは、一般的にはネガティブな意味で使用されるため、「わびしい気持になって悲しくなってきたのも、この光景のせいだよね」や「このわびしい感じ、私が落胆しているのが分かるかい?」、「この建物も昔は新しくてきれいだったのに、年月が経って痛んできちゃった。わびしいね」や「わびしいからって、気持ちまで落ち込む必要はないよ」などが例文となる。また、「わびしい食事と言うけれど、私はこれくらいの方が体に良いと思うわ」や「わびしい情景を前にして、なんだか涙が出そうになった」、「それらはわびしいという気持ちを人に与え、故郷を顧みずにはいられない思いを抱かせたのだった」や「わびしい感情に負けている場合ではない」なども例文となる。
ポジティブな意味では、「わびしい感じがまた、深い趣きを感じさせるね」や「わびしいけれど惹かれる感じ」、「この景色はわびしいけれど魅力に溢れているね」や「わびしい場所だけれど、静かで落ち着くから私は好きだな」などが例文として挙げられる。また、「わびしいという感情は、人にとって大切なものかもしれない」や「わびしい風景の中にこそ、美しさがあるのではないか」なども例文となる。