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劉慈欣(りゅう じきん)
誕生 (1963-06-23) 1963年6月23日(61歳) 中国北京市
職業 小説家
言語 中国語
国籍 中国
ジャンル SF小説
代表作 三体
主な受賞歴 ヒューゴー賞(2015年) 星雲賞(海外短編部門)(2019年・2023年) 星雲賞(海外長編部門)(2020年・2021年)
ウィキポータル 文学
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劉慈欣
出身地: 中国 山西省陽泉
各種表記
繁体字 劉慈欣
簡体字 刘慈欣
拼音 Liú Cíxīn
和名表記: りゅう じきん / リウ・ツーシン
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劉慈欣(りゅう じきん、リウ・ツーシン[1]1963年6月23日 - )は、中華人民共和国SF作家北京で生まれ、3歳の時に山西省の炭鉱の町、陽泉に移り住んだ[2]。かつての本業はコンピュータ管理を担当する、火力発電所のシステムエンジニアだった[2][3]

中学生のころから創作を開始[2]。1999年、中国のSF雑誌『科幻世界(中国語版)』に掲載された短編『鯨歌』でデビュー[2]。同じ年に短編『彼女の眼を連れて』が中国のSF文学賞・銀河賞に輝き、2006年まで8年連続で同賞を受賞した[2]。2010年、第1回中国星雲賞(世界華人SF協会主催)で作家賞を受賞(韓松と同時受賞)。2012年に勤務していた発電所の閉鎖に伴い、SF作家専業となる[2]。2015年、『三体』でアジア人初のヒューゴー賞受賞者となった[4][5]。2017年にもシリーズ第三作『三体III 死神永生』で再びヒューゴー賞にノミネートされた[6]。2019年には短編『流浪地球中国語版)』(さまよえる地球)を映画化した『流転の地球』が、中国で史上初の本格的なSF大作としてヒットを記録した[2][7]

SFに興味を持つきっかけになったのはジュール・ヴェルヌ地底旅行』で、その後アーサー・C・クラークの『2001年宇宙の旅』『宇宙のランデブー』で本格的にSFにのめり込むようになった[2][3]ジョージ・オーウェルの『1984年』も好きな作品に挙げている[3]

主な受賞歴

(「さまよえる地球」、「円」以外は原題)

作品リスト

※★印は既に日本語訳されている作品。

長編

中・短編

映像化

特記のない作品は中国製作。

日本語訳作品

長編

短編集

アンソロジー、雑誌等収録短編

絵本

人物

小松左京作品を愛読している。『日本沈没』が最も印象に残っていて[16]、『三体』を執筆するにあたり影響を受けたと語り[2][7]、生前の小松に会えなかったことが悔やまれると話す[17]

銀河英雄伝説』は全て読んでいて[16]、作者の田中芳樹とは2018年に北京で対談も果たしている[18]

星新一の短編小説や手塚治虫作品にも触れて、日本の好きなSF映画に『日本沈没』『復活の日』を挙げる[7]アニメでは『攻殻機動隊』『王立宇宙軍 オネアミスの翼』『銀河鉄道999[16][3]新世紀エヴァンゲリオン』『銀河英雄伝説』、そして全て見たという宮崎駿作品などに触発された[2][7]。近年では『秒速5センチメートル』をお気に入りに挙げている[19][3]。小松のような重量級の作家は現れなくなったものの、アニメに着目しているといい日本の作品には、宮崎駿監督の映画のように、欧米のSFにはないロマンチックで詩的な感じがあると説明する[3]

自分の作品を2次元SFと評する一方、韓松の作品を3次元SFと評する[20]

脚注

  1. ^「人類には、未来に向けて養っておくべき能力がある」:劉慈欣『三体Ⅲ 死神永生』発売インタヴュー”. WIRED.jp. 2021年12月14日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j 西村大輔 (2023年1月28日). “「三体」劉慈欣さん 発電所技術者からSF作家へ、神秘の宇宙を愛し続けて”. 朝日新聞GLOBE+ (朝日新聞社). https://globe.asahi.com/article/14797324 2023年3月22日閲覧。
  3. ^ a b c d e f 劉慈欣(インタビュアー:延与光貞)「中国SF「三体」日本でもヒット 著者は発電所のエンジニアだった」『朝日新聞GLOBE+』、朝日新聞社、2019年8月10日。https://globe.asahi.com/article/12590075。2025年2月12日閲覧。
  4. ^ “アジア人初の快挙!中国人SF作家、劉慈欣氏がヒューゴー賞を受賞―香港メディア”. Record China. (2015年8月25日). https://www.recordchina.co.jp/b117320-s0-c30-d0063.html 2019年3月13日閲覧。
  5. ^ a b JK (2015年8月25日). “中国の作家が小説「三体」でアジア人初のヒューゴー賞に輝く”. 人民網日本語版. http://j.people.com.cn/n/2015/0825/c206603-8941201.html 2025年2月14日閲覧。
  6. ^ TK (2017年4月7日). “劉慈欣氏の「三体III: 死神永生」が二度目のヒューゴー賞ノミネート”. 人民網日本語版. http://j.people.com.cn/n3/2017/0407/c206603-9200106.html 2025年2月14日閲覧。
  7. ^ a b c d 劉慈欣; 古市雅子; 西村大輔 (2022年9月28日). “中国SF小説「流浪地球」の劉慈欣氏、宮崎駿監督や「エヴァ」「銀河英雄伝説」から影響”. 朝日新聞GLOBE+ (朝日新聞社). https://globe.asahi.com/article/14723406 2025年2月11日閲覧。
  8. ^2019年 第50回星雲賞”. 日本SFファングループ連合会議 (2019年). 2025年2月14日閲覧。
  9. ^2020年 第51回星雲賞”. 日本SFファングループ連合会議 (2020年). 2025年2月14日閲覧。
  10. ^2021年 第52回星雲賞”. 日本SFファングループ連合会議 (2021年). 2025年2月14日閲覧。
  11. ^2023年 第54回星雲賞”. 日本SFファングループ連合会議 (2023年). 2025年2月14日閲覧。
  12. ^中国SF「三体」、日本での大ヒットが中国で話題に”. AFP (2019年10月11日). 2019年10月11日閲覧。
  13. ^ a b劉慈欣入門にはコレを読め! 『円 劉慈欣短篇集』訳者・大森望氏解説”. Hayakawa Books & Magazines(β). 早川書房 (2021年11月2日). 2021年12月16日閲覧。
  14. ^ 銀河賞公式サイト 受賞作一覧参照(2010年7月9日分のアーカイブ)
  15. ^小説「三体」の著者・劉慈欣作品、日本初コミック化!「神様の介護係」2022年6月19日より連載開始”. PR TIMES (2022年6月15日). 2023年2月9日閲覧。
  16. ^ a b c 延与光貞 (2019年7月15日). “中国SF「三体」異例のヒット 小松左京を愛読した著者”. 朝日新聞デジタル (朝日新聞社). オリジナルの2019年7月15日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20190715104512/https://www.asahi.com/articles/ASM7D666VM7DUCLV00C.html 2019年10月26日閲覧。
  17. ^ 劉慈欣(インタビュアー:矢内裕子)「「小松左京に大きな影響を受けた」 世界的ヒットの中国SF小説『三体』著者・劉慈欣さんインタビュー」『AERA dot.』、朝日新聞出版、2020年2月25日。https://dot.asahi.com/articles/-/130036?page=1。2025年2月11日閲覧。「AERA 2020年2月24日号」
  18. ^ “劉慈欣氏と田中芳樹氏、中日のSF作家が北京で対談”. 人民網日本語版. (2018年5月28日). http://j.people.com.cn/n3/2018/0528/c94473-9464917.html 2025年2月12日閲覧。
  19. ^ 好書好日「中国発の本格SF「三体」劉慈欣さんインタビュー 科学の力、人類の英知を信じて執筆」
  20. ^作家 韩松和他的“驱魔”世界”. 2020年3月16日閲覧。

参考文献

外部リンク

劉慈欣
地球往事三部作(中国語版 三体 (2008) 三体II 黒暗森林 (2008) 三体III 死神永生 (2010)
その他の作品 宇宙塌縮 (1985) 中国2185 (1989) 光栄と夢想 (1998) 吞食者 (1998) 鯨歌 (1999) 地火 (2000) 流転の地球(中国語版) (2000) 郷村教師 (2001) 西洋 (2002) 朝聞道 (2002) 天使時代 (2002) 詩雲 (2003) 思想者 (2003) 超新星紀元 (2003) 带上她的眼睛 (2004) 球状閃電 (小説)(中国語版) (2004) 鏡子 (2004) 贍養上帝 (2005) 贍養人類 (2005) (2006) 魔鬼積木 (2008) 太原の恋 (2009) 全頻帯阻塞干擾 (2009) 白亜紀往事 (2010) 地球大砲 (2014) 時間移民 (2014) [_要曖昧さ回避_] (2014) 中国太陽 (2016) 黄金原野 (2018)
映像化作品 流転の地球 (2019) 瘋狂的外星人(中国語版) (2019) 末日拯救 (2021) 流転の地球 -太陽系脱出計画- (2023) 流転の地球3 (2027)
スピンオフ・同人 三体X 観想の宙 (2011) (作者:宝樹)