力くらべとは何? わかりやすく解説 Weblio辞書 (original) (raw)
『首引』(狂言) 鎮西八郎為朝と姫鬼とが、互いの首に綱をかけて引き合う。姫鬼が弱いので仲間の鬼たちが加勢する。為朝が首から綱をはずして放すと、鬼たちは仰向けに倒れる。
**『今昔物語集』巻23-22 相撲人恒世の足に大蛇が尾を巻きつけ、川中へ引き込もうとする。恒世が土に5~6寸も足をめりこませて踏ん張ると、大蛇の胴体はちぎれ、川に血が浮かぶ〔*『宇治拾遺物語』**巻14-3に類話〕。
『曽我物語』巻6「弁財天の御事」 朝比奈三郎が曽我五郎の鎧の草摺を掴み、酒宴の席に引き入れようとする。五郎が足を踏ん張ると、草摺がちぎれて朝比奈は後ろに倒れる。五郎は微動だにせず立っていた。
**『日本霊異記』**上-3 元興寺の道場法師がまだ童子の頃、毎夜鐘堂に鬼が来て、人を殺した。童子は待ち受けて、鬼の髪を捕らえて引いた。鬼は外に逃げようとし、童子は内から引く。夜明け方に鬼は髪をすっかり引き抜かれ、血を流して逃げ去った。
**『平家物語』**巻11「弓流」 屋島の合戦の時、逃げる三穂屋(三保谷)十郎の兜の錣(しころ)を、悪七兵衛景清が追いかけて掴んだ。2人が引き合ううち錣が切れ、三穂屋は逃げ去った。景清はちぎれた錣を差し上げ、「これこそ上総の悪七兵衛景清よ」と名乗りをあげた。
*河童と馬の引っ張り合い→〔河童〕2の『遠野物語』(柳田国男)58。
★2.女どうしの力くらべ。
**『日本霊異記』中-4 美濃の狐と呼ばれる女が、力の強いのをよいことに、往還の商人たちを苦しめていた。尾張国愛智郡の女(道場法師の孫娘)が力くらべを挑み、鞭で美濃の狐を打ちこらした〔*『今昔物語集』**巻23-17に類話〕。
『古事記』上巻 タケミカヅチが高天原から出雲に降下し、オホクニヌシに国譲りを要求する。オホクニヌシの子タケミナカタが力くらべを挑み、タケミカヅチの手を取ると、それは氷柱や剣の刃のごとくであった。タケミカヅチはタケミナカタの手を、若い葦のごとくに掴みひしぎ、タケミナカタは信濃の諏訪湖まで逃げた。
『播磨国風土記』神前郡ハニ岡 大汝命と小比古尼命が、屎をせずに遠く行くのと、粘土をかついで遠く行くのと、どちらが長く我慢できるか、争った。数日後、大汝は堪えきれず屎をし、小比古尼も粘土を岡にほうり投げた。
『信用ある製品』(星新一『ようこそ地球さん』) 宇宙人セールスマンが地球を訪れ、「宇宙最高の攻撃兵器」と「宇宙最高の防御装置」を高額で売りつけて、「お客様から苦情が出たことはありません」と保証する。地球人たちは、「宇宙最高の攻撃兵器」を「宇宙最高の防御装置」に向けて、発射実験を行なう。両者の激突で生じた衝撃波によって、一瞬のうちに全人類は死滅した。これでは苦情の出ようがない。
*最強の矛で最強の盾を突く→〔難題〕10の『韓非子』「難一」第36。
*豪傑朝比奈三郎義秀と閻魔大王の力くらべ→〔地獄〕5の『朝比奈』(狂言)。