「同軸ケーブル」の意味や使い方 わかりやすく解説 Weblio辞書 (original) (raw)
同軸ケーブル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/07 13:35 UTC 版)
漏洩同軸ケーブル
漏洩(ろうえい)同軸ケーブル (LCX (Leaky Coaxial cable)) は、外部導体に使用周波数帯に応じた形状の穴を開けたもので、電気信号を伝送するとともに、送受信アンテナとしても働く[3][4][5]。
通常のアンテナの利用では電波が伝わりにくいような鉄道線路・トンネル・地下街等に沿って敷設し、列車無線などの業務無線・FM放送・携帯電話・無線LAN・トンネル内ラジオ再放送設備などを利用できるようにするために用いられる[3][4][5]。
漏洩給電線(フィーダー線)についてはLeaky feeder(英語版)も参照。
セミリジッドケーブル
UHF帯やSHF帯を利用する機器内の接続には、外部導体を小径の銅パイプとし、絶縁体をフッ素樹脂とした「セミリジッドケーブル」と呼ばれる同軸線が使われる場合がある。自由に曲げることはできないが、遮蔽特性、インピーダンス特性、挿入損失、耐振動安定性が優れている。
同軸管
高電力の通信用・放送用送信機の出力用には、外部導体を銅パイプやアルミパイプとし、絶縁体を空気とした同軸管を使用する。JEITAの規格(EIAJ TT-3004)には、50Ω同軸管として、 WX-12D、WX-20D、WX-39D、WX-77D、WX-120D、WX-152D等が規定されている。 型番中の12, 20, 39等の数字は、外導体の内径を表す。
規格
代表的な同軸ケーブル
- インピーダンス50Ω(D型) - JIS C 3501・C 3502準拠
- 3D-2V, 5D-2V, 8D-2V:無線機のアンテナ給電線に使われる。
- 5D-FB, 8D-FB, 10D-FB:無線機のアンテナ給電線に使われる。アマチュア無線で使われることが多い。絶縁体に発泡ポリエチレンを用い外部導体はアルミ箔と編組線を重ねたものが使われており、低損失である。
- インピーダンス53.5Ω(RG型) - MIL-C-17準拠
- RG-58/U, RG-58B/U:アマチュア無線で使われることが多い。RG-58A/U・RG-58C/Uは、インピーダンスが50Ω、内部導体が撚り線。
- インピーダンス73Ω (RG型) - MIL-C-17準拠
- RG-6/U(英語版):芯線にはAWG18を使用。RG-6A/Uはインピーダンス75Ω。外部導体までの直径は4.75mmで、4C-2Vと5C-2Vの中間サイズ。ケーブルテレビやアメリカでは、テレビ受像機のアンテナ給電線としてよく使われる。
- インピーダンス75Ω (C型) - JIS C 3501・C 3502準拠
- 4C-2V, 5C-2V:日本のテレビ受像機のアンテナ給電線に使われる。4C-2VはRG-6A, SYV-75-4(中華人民共和国国家標準BG T14864-93)相当、5C-2VはSYV-75-5相当、7C-2VはRG-11・SYV-75-7相当。
- 3C-FV, 5C-FV, 7CーFV:日本のテレビ受像機のアンテナ給電線に使われる、BS放送に対応した低損失タイプ。テレビ局やプロダクションのベースバンド伝送(BB, VBS, S-Bus信号)にも使用される。
- S-4C-FB, S-5C-HFB, S-7C-HFB:日本のテレビ受像機のアンテナ給電線に使われる。CS放送に対応した超低損失タイプ。
その他の同軸ケーブル
- 3C-2VS、5C-2VS、1.5C-2VS:2Vケーブルとほぼ同じものだが芯線が単線ではなく多数の銅線のスクエア構造になっている。柔軟性が高く、屈曲の多い箇所の使用に使われる。移動仮設用(テレビ中継、イベント映像など)のケーブルとして優れている。
- 2.8C-HD、3C-HD、4C-HD、5CHD、6C-HD、7C-HD、8C-HD : 3G/HD-SDI伝送用ケーブル。7CではFBケーブルの1.3倍の伝送距離になる。絶縁体が3層構造となっている。価格はかなり高価である。
- 3C-FWS、4C-FWS、5C-FWS:FBケーブルでは仮設で使用する場合、外部のアルペットテープにダメージが発生し、減衰特性の劣化が発生する。それを改善したタイプケーブル。編組シールドが二重化してあるため、ケーブルストリッパーは使用不可。また、中心導体は可動用途に適した撚線導体を使うのが一般的。
JIS規格の型番付与規則(S-5C-FBの例) | S | - | 5 | C | - | F | B | - | | | ----------------------------------------------------- | ------------------------------------------------------------------------------------------------------------- | ----------------------- | --------------------------------------- | ---------------------------------------------------------------------------------------------------------- | ----------------------- | -------------------------------------------------------- | -- | | | 衛星放送対応 なし:地上波放送(770MHz以下)のみ対応 S:地上波・BS・CS放送(2.6GHz)対応 | 外部導体までの直径 4: 4mm(ケーブル外径6.0±0.5mm) 5: 5mm(ケーブル外径7.7±0.5mm) 7: 7mm(ケーブル外径10.2±0.5mm) 10: 10mm(ケーブル外径12.7±0.6mm) | 特性インピーダンス C: 75Ω D: 50Ω | 絶縁体 2: ポリエチレン F: 発泡ポリエチレン HF: 高発泡プラスチック | 外部導体・シース V: 一重導体編組、ビニールシース W: 二重導体編組、ビニールシース T: 三重導体編組、ビニールシース B: アルミ箔付きプラスチックテープと導体編組、ビニールシース L: ラミネートシース | 内部導体 なし・CS: 銅覆鋼線 S: 撚り線 | ラミネートシースの支持形態 SSS: 巻付け自己支持形 SSF: ラッシング自己支持形 SSD: 8字自己支持形 | | |
※目安としては、○C-2Vは地デジには適するが、BS・CS・4K放送・8K放送には不向き。○C-FV・S-○C-FVは地デジ・BS放送には適するが、CS・4K・8K放送には不向き。S-○C-FBは地デジ・BS・CS放送に適する。またFB(2.6GHz)以上は規定されていないため、製品によってはFBでも4K・8K放送(3.2GHz)にも対応している。
米国MIL規格の型番付与規則(RG-58A/Uの例)
RG | - | 58 | A | / | U |
---|---|---|---|---|---|
Radio Guide | 形式番号(制定順) | 付加記号(規格改定)なし: 初版 A: 改訂A版 B: 改訂B版 C: 改訂C版 | 用途U: 一般用途(Universal) |
メーカー
以下は、同軸ケーブルの主要な製造および販売会社である。記載されている販売会社の一部は他社からのOEM供給を受けている。
- フジクラ : 旧・藤倉電線
- SWCC:旧・昭和電線電纜
- 住友電気工業
- 三菱電線工業
- プロテリアル:旧・日立電線→日立金属
- 四国電線
- OCC : 旧社名は日本大洋海底電線(日海、NIKKAI)
- 小柳出電気商会
- 日本アンテナ
- マスプロ電工 (OEM)
- DXアンテナ
- パナソニック
- ベルデン
- コムスコープ(米国)
- 八木アンテナ
- 東京特殊電線 : マイクロ波用同軸ケーブル(110GHz対応のコネクタ付きケーブルを製造)
脚注
- ^ ダグラス・E. カマー『コンピュータネットワークとインターネット 第6版』翔泳社、2015年、111頁
- ^ “シールド線 ‐ 通信用語の基礎知識”. www.wdic.org. 2020年2月22日閲覧。
- ^ a b “移動体通信・防災無線システム用漏洩同軸ケーブル” (PDF). 昭和電線. 2014年1月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年1月30日閲覧。
- ^ a b “地下街・地下鉄・ビル地下防災無線システム” (PDF). 三菱電線工業 (2004年11月23日). 2013年3月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年1月30日閲覧。
- ^ a b 松下尚弘; 杉山智則; 柳沼 順 (2003年11月18日). “漏洩同軸ケーブル方式無線 LAN” (PDF). 東芝. 2014年1月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年1月30日閲覧。
関連項目
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