「多連装ロケット砲(たれんそうロケットほう)」の意味や使い方 わかりやすく解説 Weblio辞書 (original) (raw)

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ロシア陸軍BM-21

多連装ロケット砲(たれんそうロケットほう)は、複数のロケット弾を一斉発射することを目的としたロケット砲である。多連装ロケットランチャー多連装ロケット弾発射機放射砲[1]などとも表現される。英語では multiple rocket launcher(マルチプルロケットランチャー), MRL あるいは multiple launch rocket system(マルチプルランチロケットシステム)[注 1]MLRSなどと表現される。

個々の命中精度が通常の大砲に比べて低くなる傾向にある[2][3]ロケット弾を、同時に多数発射することで効果的に運用しようという思想の兵器である。

歴史

武経総要の多連装発射装置

朝鮮の火車の一部である神機箭。

歴史上、最初の多連装発射兵器が使用されたのは中国の時代である。これは複数の火矢を一斉発射する装置であった。李氏朝鮮時代の朝鮮においても同様の兵器である火車文禄・慶長の役幸州山城の戦いにおいて効果をあげたとされる[4]

第二次世界大戦において実用化された、最初の(そして最も著名な)現代的な多連装ロケット砲はカチューシャである。これは当時のソ連赤軍によって開発された、軍用トラックの後部に発射レールを並べたシンプルな構造のもので、友好国への輸出も行われた。

アメリカ軍ではT34 カリオペが開発された。これはM4中戦車砲塔上にパイプ状のロケット弾発射機を複数配置したもので、発射機の角度変更は主砲の俯仰角に連動する構造となっていた。

ドイツ国防軍ではネーベルヴェルファーと呼ばれる多連装ロケット砲を開発した。これは6本あるいは5本のパイプ状の発射機を持ち、37mmPak36対戦車砲と同等の牽引用架台に載せられた比較的コンパクトなものであった。後に、10本のパイプ状発射機を車載型とした自走砲型のパンツァーヴェルファーも開発された。

第二次大戦後、ソ連や中国から友好国・勢力への輸出が盛んに行われた。特に中国製の63式107mmロケット砲は世界で最も拡散している多連装ロケット砲の1つとされる[5]

現代においても多連装ロケット砲は、すでに混乱しているもしくは統率の取れていない敵部隊の士気を劇的に低下させる効果のある兵器として、評価されている。また、敵に対してより強固な掩体壕や防護陣地を敷設する負担を掛けさせることもできるほか、発射するロケット弾に誘導装置などを搭載し、精密射撃(地対地、地対艦など)を行う装備もある。

紛争地帯などでは民兵が武装車両(テクニカル)に搭載している例も見られる[6]

多連装ロケット砲の例

第二次世界大戦

ソ連

BM-13-16 "カチューシャ"

ドイツ

15cm ネーベルヴェルファー41型

アメリカ

T34 カリオペ ロケットランチャー

イギリス

ランドマットレス(英語版) (手前側)
21cm ネーベルヴェルファー42型(英語版) (奥側、ドイツ製)

日本

戦後・現用

アメリカ

M142 HIMARS

イスラエル

PULS(オランダ陸軍採用モデル)

ウクライナ

韓国

北朝鮮

台灣

雷霆2000 MK-15モジュール

雷霆2000 MK-30モジュール

雷霆2000 MK-45モジュール

MK-15モジュール- 60連装

口径:117mm

長さ:1.9m

重量:42kg

最大射程:15km

弾頭:6.4mm 子弾×6400個

MK-30モジュール- 27連装

口径:182mm

長さ:3.9m

重量:186kg

最大射程:30km

弾頭:8mm 子弾×18300個またM77 DPICM 子弾×267個

MK-45モジュール- 12連装

口径:230mm

長さ:4.21m

重量:305kg

最大射程:45km

弾頭:8mm 子弾×25000個またM77 DPICM 子弾×518個

海巡署600トン級巡防救難艦艦載「鎮海火箭彈系統」

口径:70mm (ハイドラ70ロケット弾)

射程:5000-10000m

チェコスロバキア

中国

WS-22(バングラデシュ陸軍採用モデル)

ブラジル

ASTROS(インドネシア陸軍採用モデル)

ポーランド

南アフリカ

ルーマニア

LAROM

ロシア(旧ソ連)

脚注

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注釈

  1. ^ Multiple Launch Rocket Systemと大文字表記した場合には、M270 MLRSを特に指す固有名詞として使用される。

出典

  1. ^ “北朝鮮、放射砲発射か 韓国軍”. 時事通信. (2022年6月12日). https://web.archive.org/web/20220612131441/https://www.jiji.com/jc/article?k=2022061200352&g=int 2022年6月12日閲覧。
  2. ^研究紹介 2001.2 No.239”. www.isas.jaxa.jp. 2022年10月27日閲覧。
  3. ^「カチューシャ」から「HIMARS」へ 当たらぬゆえ多連装だったはずのロケット砲の系譜(乗りものニュース)”. Yahoo!ニュース. 2022年10月27日閲覧。
  4. ^ Time-Life Books, ed (1998-10-01) (英語). In the Land of the Dragon: Imperial China Ad 960-1368 (What Life Was Like) (First ed.). Time Life Education. ISBN 978-0783554587
  5. ^Type 63” (英語). Weaponsystems.net. 2021年2月21日閲覧。
  6. ^Improvised Employment of S-5 Air-to-Surface Rockets in Land Warfare: A brief history and technical appraisal” (PDF) (英語). ARES (2014年). 2021年2月21日閲覧。

関連項目

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