「弱アルカリ性(じゃくあるかりせい)」の意味や使い方 わかりやすく解説 Weblio辞書 (original) (raw)

pHの値と、よく知られている溶液の関係の例(イラスト。ただし文字は英語表記)。下部がpH=0に相当し強酸性で、上部がpH=14前後に相当し強アルカリ性。

水素イオン指数(すいそイオンしすう、: hydrogen ion exponent[1]: Wasserstoffionenexponent[2])とは、溶液酸と塩基の程度を表す物理量で、記号pH(ピーエッチ、ピーエイチ、ペーハー)で表す。水素イオン濃度指数[3]または水素指数[4]とも呼ばれる。1909年にデンマークの生化学者セーレン・セーレンセンが提案した[5]。希薄溶液のpHは、水素イオンモル濃度をmol/L単位で表した数値の逆数常用対数にほぼ等しい。

p H ≒ − log 10 ⁡ [ H + ] m o l / L {\displaystyle \mathrm {{pH}\fallingdotseq -\log _{10}{\frac {[{H^{+}}]}{mol/L}}} }

リトマス紙

水溶液の大まかな液性は、リトマス試験紙(リトマス紙)で調べることができる。青色のリトマス紙で試験すると、酸性か否かがわかる (赤色を示せば酸性)。赤色のリトマス紙で試験すると、アルカリ性か否かがわかる (青色を示せばアルカリ性)。青色と赤色の両方のリトマス紙を用いれば、酸性・中性・アルカリ性のいずれであるかを判定することができる。

リトマス紙では、pHの数値まではわからない。pH試験紙を用いると、pHの数値を知ることができる。pHメーターを用いて計測すると、さらに詳しい数値を知ることができる。

変域

市販されているpHメーターで測定ができるpH範囲は、通常は、0から14までか、それよりも狭い範囲に限られる。しかしpHに下限や上限は特には存在せず、負の値や14を超える値も取り得る。日本の高等学校の教科書などでは、pHはmol/L単位で表した [H+] の数値の逆数の常用対数として定義されている。そして1気圧・25 °CでのpHの値が0 – 14の範囲で図表が掲げられ、水溶液のpHはほぼその範囲で変化すると記述されている[38]。この定義の下で、例えば3.16 M, 10.0 Mの塩酸が完全電離すると仮定すればpHはそれぞれ−0.5, −1.0と負の値となる。一方、水は分子量が凡そ18 g/molで密度が1 g/mL程度なので純水のモル濃度[H2O] は約55.6 Mとなり、仮にこの密度のまま全てのH2O分子がH3O+となった場合でもpHが−1.75超、逆に全てのH2O分子がOH−となった場合のpHでも15.75未満と計算される。

実際に鉛蓄電池電解液のpHは負の値であり、アルカリ乾電池の電解液のpHは14を超える。ただし、酸や塩基のモル濃度が 1 mol/L を超える水溶液のpHは、推測することも計測することも難しい。このような濃厚水溶液の酸性やアルカリ性の強さは、酸度関数によって表現するのが一般的である。

モル濃度が数モル毎リットル (mol/L)以上の濃厚水溶液では、水素イオンのモル濃度 [H+] からpHを計算しても、意味のある数値は得られない。例えば、アメリカ地質調査所の研究者は、ある廃鉱山から採取した試料水のひとつが pH = −3.6 であったと報告している[39][40]。この試料水の水素イオン濃度を 公式 [H+] = 10−pH mol/L からあえて計算すると、4000 mol/L というありえない値が得られる。このような強酸性の液体のpHを [H+] から推定するのは、不可能である。

また水溶液のガラス電極によるpH測定において、信頼性の高い値が得られるのはpHがおよそ1 – 12の範囲内、イオン強度は0.1以下である。まず濃厚な酸の水溶液をガラス電極により測定する場合、ガラス電極表面の膨潤および陰イオンの吸着などが影響し、酸誤差が生じる。次に濃厚な塩基水溶液の場合はガラス電極表面への陽イオンの吸着などの影響によりアルカリ誤差を生じ、これは陽イオンのイオン半径が小さいほど大きい傾向がある[15]

水のpH

純水

水をどれだけ精製しても、水中から水素イオンを取り除くことはできない。たとえ超純水であっても、水の自己解離のため、1気圧・25 °Cの水中には水分子5億5千万個につき1個の水素イオンが含まれている。水素イオンのモル濃度で表すと 1.00×10−7 mol/L であり、この数値の逆数の常用対数がpHであるから、純水のpHは

p H = log 10 ⁡ ( 1.00 × 10 7 ) = 7.00 {\displaystyle {\rm {pH=\log _{10}(1.00\times 10^{7})=7.00}}}

pHインジケーター。普及しているテープ状の紙のタイプ。テープを引き出し、ちぎり、調べたい溶液にひたして変化後の色と、ケース上の環の各色を見比べ、一致する色をみつけ、その色の中に書かれている数値をpHとして読み取る。

液タイプとテープ(紙帯)タイプがある。

液タイプ

必要に応じ、試験管などに分取した液に指示薬を加え、判定する。通常、指示薬の一覧にあるような色素が用いられ、市販されており、それぞれ色が異なる。複数試すことで、液のpHがおおむねいくつかを判断することができる。

pH試験紙

一般的には指示薬を紙(紙の帯)に染み込ませ乾燥させたものが販売されている。調べたい液にインジケーターの紙を浸す。すると液の水素イオン濃度に応じて色が変化し、変化後の色と参照表上の様々な色を見比べてほぼ一致する色をみつけ、その色に対応する数値を読み取る。一般的には一種類の紙で済ますが、なかには複数(2 – 4種類程度)の小さな試験紙によるものもあり、このタイプではそれぞれの色の組み合わせによりpHを読み取ることができる仕組みになっている。

水素電極

水素電極(白金黒水素電極など)は白金板の表面が微粒子の白金黒で覆われたもので、圧力 _p_H2 ∼ _p_° = 105 Pa の純粋な水素ガスを通じながら使用する。

その電極反応は以下の通り。

2 H + ( aq ) + 2 e − = H 2 ( gas ) {\displaystyle {\ce {2{H+(aq)}+2e^{-}=\ H2(gas)}}}