物的損害とは何? わかりやすく解説 Weblio辞書 (original) (raw)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/02 22:45 UTC 版)
建築物および装備品の損害 本件火災によって損害を受けた千日デパートビルの延焼範囲は、同ビル2階から4階までで、床面積合計1万899平方メートルのうち8,763平方メートル(80.4パーセント)が焼損し、延床面積2万7,514.64平方メートルに対する割合では31.8パーセントに及んだ。延焼階ごとの焼損割合は2階が床面積3,714平方メートルのうち3,192平方メートル(86パーセント)、3階が床面積3,665平方メートルのうち3,218平方メートル(88パーセント)、4階が床面積3,520平方メートルのうち2,353平方メートル(66.8パーセント)である。延焼階より上の各階は階段、空調ダクト、電気配管、エレベーターシャフトからの煙や熱気の流入によってフロア全体と商品および装備品などに多量の煤煙がかかる損害を受けた。5階の一部フロアでは、空調ダクトの隙間から流入した熱気の影響で、天井板が崩落した。6階と7階ではフロアの一部で限定的な焼損がみられ、5月15日未明に6階ボウリング場改装工事現場(千日劇場跡)で小火が発生し、床の一部が焼損した。また7階プレイタウンでは、事務所前の空調ダクトから熱気を伴った多量の煙が店内に流入し、ダクト吸入口周辺の天井、壁、事務所ドアなどの焦損、または廊下に積み上げられていたビールケースおよびビール瓶などの一部を熔解させる損害を出した。この他にも煙の排出や救助のため、窓ガラスが割られた箇所があった。延焼階より下の各階では、消火活動に使われた多量の消防用水が上階から流れ込み、その影響により地下1階と1階で商品や装備品などが冠水し損害を受けた。千日デパートビル以外のおもな損害としては、千日前商店街アーケードのプラスチック製屋根が7階からの飛び降りによって天板に穴が開き、その一部が破損した。地下街「虹のまち」(現・なんばウォーク)では、消火作業に使われた消防用水が地上の出入口から侵入し、千日デパートを起点に地下30メートルの範囲を水浸しにした。放水が始まってから地下街関係者が出入口シャッターを閉鎖したが、水は地下街へ流れてきた。さらに階段付近に土嚢約200個を積み上げて対処したが、それでも浸水は収まらなかったため、地下マンホールへ水を排出するために地下街保安員や当直員が対応した。浸水の影響は翌日の午前中まで続き、立ち入り規制の影響を受けた地下街店舗や利用客が不利益を被った。 損害額 大阪市消防局が公表した罹災者提出の申告書によると、火災焼失による被害額は建物で19億5,000万円、収容物で16億7,937万7,000円、合計36億2,937万7,000円である。収容物の損害額内訳は、商品12億2,395万2,000円、什器備品(装備品)3億695万3,000円、その他1億4,847万2,000円である。また千日デパートビルの所有者である日本ドリーム観光によれば、右同社が被った損害額は、建物と付属設備関係を併せて8億2,000万円、ビル解体費用3億円、テナント賃料未収損失分8億7,000万円で、営業的な損失も加えれば、その額は計23億5,000万円にのぼるという。日本ドリーム観光は建物などに火災保険を掛けていた。その額は建物に9億円、直営店舗の商品や什器品に5,000万円であった。7階プレイタウンを経営する千土地観光は日本ドリーム観光の子会社なので、保険の補償範囲は右同店も含まれた。しかしながら日本ドリーム観光は、客や従業員に対する「傷害・損害保険」などには加入しておらず、人的な損害に対しては保険金で補償することはできなかった。ニチイ千日前店も火災保険を掛けていて、商品に3億円、内装(家具などの造作品を含む)や什器品に1億円であったが、造作品の損害が2億円に達したために保険金で補償される範囲を超えた。その他のテナントについては、何らかの損害保険を掛けていた店舗は、170店舗の中で約40パーセントの69店舗で、その総額は約16億円だった。残りの100店舗余りは保険未加入で、損害をそのまま被った形となった。
※この「物的損害」の解説は、「千日デパート火災」の解説の一部です。
「物的損害」を含む「千日デパート火災」の記事については、「千日デパート火災」の概要を参照ください。