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『聖地への旅』
マイケル・ブレッカースタジオ・アルバム
リリース 2007年5月16日[1]2007年5月21日[1]2007年5月22日[1]
録音 2006年8月 ニューヨーク ライト・トラック[2]
ジャンル ジャズ
時間 77分48秒
レーベル ヘッズ・アップ・インターナショナルエマーシー・レコード/WAレコード
プロデュース マイケル・ブレッカー、ギル・ゴールドスタインスティーヴ・ロドビーパット・メセニー
専門評論家によるレビュー
All About Jazz link AllMusic link
チャート最高順位
38位(イタリア[3]) 41位(日本[4]) 132位(フランス[5]
マイケル・ブレッカー アルバム 年表
ワイド・アングルズ(2003年)聖地への旅 (2007年)
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聖地への旅』(せいちへのたび、原題:Pilgrimage)は、アメリカ合衆国ジャズサクソフォーン奏者、マイケル・ブレッカーが2006年8月に録音したスタジオ・アルバム。ブレッカーは2007年1月13日に57歳で死去しており、4か月後に遺作として発売された[6]

背景

ブレッカーは骨髄異形成症候群によって健康状態が悪化し、2005年に活動を停止した[6]。しかし、2006年には小康状態となり、JVCジャズ・フェスティバルでハービー・ハンコックのステージにゲスト参加した後、同年8月にハンコック、パット・メセニーブラッド・メルドージョン・パティトゥッチジャック・ディジョネットと共に本作を録音した[6]

全曲ともブレッカーのオリジナル曲で、過去のツアーでも演奏されていた「ルース・スレッズ」以外は、いずれも闘病中に作られた新曲である[7]。「ホエン・キャン・アイ・キス・ユー・アゲイン?」のタイトルは、家族すら接触が禁止されていた時期に、ブレッカーの息子が「いつになったらまたキスできるの?」と問いかけたエピソードに由来している[2][7]

ブレッカーが存命だった時点で、サイドマンとして参加した面々により本作のレコーディングの事実が公言されており、パット・メセニーは2006年9月に「まさにマイクの新時代の夜明けを告げる、啓示のような作品だ」、ハービー・ハンコックは同年12月に「マイケルの新作が、ほぼ完成した」「マイケルは確かに、今弱っている。でもアルバムではそんな状態は微塵も感じさせない、まさしく入魂の一作だ」とコメントしている[7]

反響

母国アメリカでは、総合アルバム・チャートのBillboard 200入りは果たせなかったが、『ビルボード』のジャズ・アルバム・チャートでは3位、インディペンデント・アルバム・チャートでは27位に達した[8]。イタリアのアルバム・チャートでは38位に達し、『ニアネス・オブ・ユー:ザ・バラード・ブック』(2001年)以来6年ぶりに、同国におけるアルバム・チャート入りを果たした[3]。日本のオリコンチャートでは8週トップ300入りし、2007年5月28日に最高41位を記録した[4]

評価

第50回グラミー賞では、本作が最優秀ジャズ・インストゥルメンタル・アルバム賞を受賞し、収録曲「アナグラム」は最優秀ジャズ・インストゥルメンタル・ソロ賞を受賞した[9]

C・マイケル・ベイリーはAll About Jazzにおいて満点の5点を付け「作曲に関しては、彼のキャリアの中でも最高」「ブレッカーとメセニーは全編を通じて、ビル・エヴァンススコット・ラファロのコンビに匹敵するほど感情的に一体化しており、さらに両名は、ハンコックとメルドーの印象主義的なピアノに鼓舞されている」と評している[10]。リック・アンダーソンはオールミュージックにおいて5点満点中4点を付け「ブレッカーは、音楽による自分の墓碑銘となり得る、情感豊かで驚くほど力強いストレート・アヘッド・モダン・ジャズのアルバムを生み出し、彼のことを単なるジャズ・ポップ系のフュージョン・ミュージシャンと切り捨てようとしてきた連中の鼻を明かしてみせた」と評している[2]。ジェフリー・ハイムズは『ジャズタイムズ (JazzTimes)』誌において「ブレッカーの音色は、全盛期の逞しさを失っている。一方、フレージングはこれまでになく先鋭的で、作曲家として見れば、このCDには彼の最高傑作と言える曲も幾つか含まれている」と評している[6]。また、『CDジャーナル』のミニ・レビューでは「甘さを排した楽曲はすべて自作」「コンテンポラリー・ジャズ界の今を切り取る、真摯な内容」と評されている[11]

トラック・リスト

全曲ともマイケル・ブレッカー作曲。

# タイトル 作詞 作曲・編曲 時間
1. 「ザ・ミーン・タイム - The Mean Time」 6:57
2. 「ファイヴ・マンツ・フロム・ミッドナイト - Five Months from Midnight」 7:41
3. 「アナグラム - Anagram」 10:11
4. 「タンブルウィード - Tumbleweed」 9:39
5. 「ホエン・キャン・アイ・キス・ユー・アゲイン? - When Can I Kiss You Again?」 9:45
6. 「カーディナル・ルール - Cardinal Rule」 7:33
7. 「ハーフ・ムーン・レーン - Half Moon Lane」 7:18
8. 「ルース・スレッズ - Loose Threads」 8:36
9. 「聖地への旅 - Pilgrimage」 10:02

パーソネル

脚注

  1. ^ a b cマイケル・ブレッカーの遺作がリリースに”. CDJournal. 音楽出版社 (2007年4月11日). 2020年5月16日閲覧。
  2. ^ a b c Anderson, Rick. “Pilgrimage - Michael Brecker”. AllMusic. 2020年5月16日閲覧。
  3. ^ a b italiancharts.com - Michael Brecker - Pilgrimage
  4. ^ a b聖地への旅 - マイケル・ブレッカー”. オリコン. 2020年5月16日閲覧。
  5. ^ lescharts.com - Michael Brecker - Pilgrimage
  6. ^ a b c d Himes, Geoffrey (2007年6月1日). “Michael Brecker: Pilgrimage”. JazzTimes. 2020年5月16日閲覧。
  7. ^ a b c 日本盤CD (UCCM-1116)ライナーノーツ(中川ヨウ、2007年3月)
  8. ^Michael Brecker - Awards”. AllMusic. 2016年6月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年5月16日閲覧。
  9. ^Michael Brecker - Artist”. GRAMMY.com. Recording Academy. 2020年5月16日閲覧。
  10. ^ Bailey, C. Michael (2007年5月24日). “Michael Brecker: Pilgrimage”. All About Jazz. 2020年5月16日閲覧。
  11. ^マイケル・ブレッカー/聖地への旅”. CDJournal. 音楽出版社. 2020年5月16日閲覧。
マイケル・ブレッカー
リーダー・アルバム シティスケイプ(with クラウス・オガーマンマイケル・ブレッカー ドント・トライ・ジス・アット・ホーム ナウ・ユー・シー・イット テイルズ・フロム・ザ・ハドソン トゥー・ブロックス・フロム・ジ・エッジ タイム・イズ・オブ・ジ・エッセンス ニアネス・オブ・ユー:ザ・バラード・ブック ディレクションズ・イン・ミュージック〜マイルス&コルトレーン・トリビュート(with ハービー・ハンコックロイ・ハーグローヴワイド・アングルズ 聖地への旅
ステップス・アヘッド スモーキン・イン・ザ・ピット(ステップス名義) ステップ・バイ・ステップ(ステップス名義) パラドックス(ステップス名義) ステップス・アヘッド モダン・タイムズ マグネティック
ブレッカー・ブラザーズ ザ・ブレッカー・ブラザーズ バック・トゥ・バック ドント・ストップ・ザ・ミュージック ヘヴィ・メタル・ビ・バップ デタント ストラップハンギン リターン・オブ・ザ・ブレッカー・ブラザーズ アウト・オブ・ザ・ループ サム・スカンク・ファンク(ランディ・ブレッカー・ウィズ・マイケル・ブレッカー名義)
関連項目 ドリームス