速度ポテンシャルとは何? わかりやすく解説 Weblio辞書 (original) (raw)
速度ポテンシャル(そくどポテンシャル、英: Velocity potential)[1][2]は、流体力学において、渦なし流れの解析に用いられる。速度ポテンシャルを持つ流れをポテンシャル流と呼ぶ。
速度ポテンシャルΦは次式を満たすようなスカラー場である。
u = grad Φ {\displaystyle {\boldsymbol {u}}=\operatorname {grad} \Phi }
ただし、_u_ は流体の速度であり、渦なし、つまり
rot u = ∇ × u = 0 {\displaystyle \operatorname {rot} {\boldsymbol {u}}=\nabla \times {\boldsymbol {u}}={\boldsymbol {0}}}
を満たす。これはベクトル解析における
rot ( grad Φ ) = 0 {\displaystyle \operatorname {rot} (\operatorname {grad} \Phi )={\boldsymbol {0}}}
の性質を用いている(ナブラ#二階微分を参照)。
一般のポテンシャルと異なり、速度ポテンシャルの定義には負号がつかないことに注意。
性質
- 領域が単連結であれば速度ポテンシャルΦは一価関数、多重連結であれば多価関数である。
- 速度_u_ および流線は速度ポテンシャルΦの等値面(等ポテンシャル面)に直交し、速度ポテンシャルの法線方向_n_ の微分が速度を与える:
∂ Φ ∂ n = n ⋅ grad Φ = n ⋅ u = u {\displaystyle {\frac {\partial \Phi }{\partial n}}={\boldsymbol {n}}\cdot \operatorname {grad} \Phi ={\boldsymbol {n}}\cdot {\boldsymbol {u}}=u} - 非圧縮性流体の渦なし流に対しては、速度ポテンシャルΦは調和関数となる。
参考文献
- ^ 巽友正 『流体力学』培風館、1982年。ISBN 4-563-02421-X。
- ^ 今井功 『流体力学(前編)』裳華房、1997年。ISBN 4-7853-2314-0。