自由を求めてとは - わかりやすく解説 Weblio辞書 (original) (raw)

Defying Gravity」はこの項目へ転送されています。MR. BIGのアルバムについては「ディファイング・グラヴィティ」をご覧ください。
「自由を求めて」
イディナ・メンゼル、クリスティン・チェノウスの楽曲
収録アルバム 『ウィキッド』
英語名 Defying Gravity
リリース 2003年12月16日
録音 2003年11月10日[1]
ジャンル ショー・チューン、オペラティック・ポップ
時間 5:56
レーベル デッカ・ブロードウェイ
作詞・作曲 スティーヴン・シュワルツ

自由を求めて」(じゆうをもとめて)、別名「ディファイング・グラヴィティ」(英語: Defying Gravity)は、スティーヴン・シュワルツ作曲のミュージカルウィキッド』の歌の一つである。『ウィキッド』第1幕最後に歌われ、作中でも最も有名な曲となっている。

2003年11月10日に、初演キャストとしてエルファバ役とグリンダ役をそれぞれ演じたアメリカ合衆国の女優であるイディナ・メンゼルクリスティン・チェノウェスによって初めて録音され、同年12月16日に発売されたオリジナル・キャスト録音盤に収録された。この楽曲は主に主人公エルファバによる独唱で構成されているが、冒頭および中盤にエルファバとグリンダによる短いデュエットが挿入されているほか、終盤ではオズの市民たちが加わる合唱部分が存在する。

この曲は同作、第1幕の最後のナンバーであり、エルファバがオズの魔法使いの真実に気づき、対抗するため「西の悪い魔女」として変貌していくクライマックスを表現するものとなっている。本曲は、『glee/グリー』のキャストや2024年公開の映画『ウィキッド ふたりの魔女』ではシンシア・エリヴォアリアナ・グランデらなど、何度もカバーされ再解釈されている。

背景と場面構成

この曲のクライマックスの特徴はエルファバがステージ上空を高く飛ぶことである。初演での本曲の演出は特殊効果に大きく頼っていた。エルファバを演じる女優は、腰に安全固定具を巻いた状態で小さな舞台装置の上に立つと油圧発射システムにより宙へ持ち上げられた。舞台装置および固定具は女優の衣装と同じ素材で作られた長い偽装用のドレスで隠され、それにより女優が何の上にも立っていないような錯覚が生み出された。エルファバのマントが風になびいて見えるように設計された黒のカーテンと緻密に設計された照明により、舞台装置を持ち上げる油圧アームが見えないように工夫されていた。このシーンではおよそ60基の可動ライト、スモーク、風の効果が大きく寄与しており、エルファバが空を飛んでいるような錯覚を観客に与えていた[2]。このように同作第一幕の終幕には、「誰もが第2幕に関心を寄せるように緻密な構成による工夫が凝らされていた[3]」。

歌詞及び楽曲の分析

この楽曲の核心は、「エルファバが自らの周囲と異なる存在としての立場を通じて力を見いだす」点にあり、このテーマはそのような存在を応援する観客がいるため普遍的な共感を呼び起こす[3]。本曲はエルファバとグリンダの会話から始まり、そのまま歌へと移り変わっていく。2人は現実の口論を思わせるような短く鋭いフレーズで言い争いを続け、この時点で調性は絶えず変化しており、不安定な雰囲気を醸し出している。曲は4/4拍子で書かれているが、2人はしばしば小節線を無視し、シンコペーションを多用して途中から歌い出す。"I’m through with playing by the rules..."の箇所では、"the rules"で11度の音程が使用されている[4]

この曲は、劇中でそれまでに提示されていたライトモティーフを発展させ、エルファバの声域を1オクターブ上げるとともに、舞台上で彼女を空中装置によって宙に持ち上げる演出によって「西の悪い魔女」としての姿を初めて視覚的に示すことで、物語の「緊張を高めている」[5]。 本曲の劇的な終盤では、"bring me down"の「大音量で叫ぶような」クライマックスと、それに続くリフが特徴的である。_Vulture_のジャクソン・マクヘンリーによれば、この部分は歌唱者の声帯を痛める可能性があるという。楽曲の難易度は非常に高く、ごく一部の歌手にしか歌いこなせないため殆どの人は不可能であり、成功した者自身もまた周囲と異なる存在となる、と評されている[3]。最後のエルファバの高音の長い叫びは「戦いの鬨の声」(battle cry、バトルクライ)と呼ばれている[6][7]

受容と影響

_Vulture_によるランキングでは、この曲が『ウィキッド』中で最も優れた楽曲として挙げられ、「本作の楽譜を飾る王冠の宝石」と称された。一方で、「辛辣なベルティングや滑稽な装飾に満ちている」ことから、揶揄の対象にされやすいとも指摘されている[5]。 同サイトの別の記事では、この曲を「作品の中心をなす力強いベルト唱法の大曲」と評し、「現代ブロードウェイ史上最もばかばかしく、最も感動的で、最も長く愛され続けている楽曲」として、それ以降「複雑で両義的な遺産」を築いたと感じていると述べている[3]

初演では、エルファバを持ち上げる空中装置のコンピュータシステムが作動し、固定具が正しく閉まっていないと検知された場合、装置は作動しなかった。このような場合、あるいは舞台装置自体が何らかの理由で上昇しない場合に備え、演者には「プランB」または「ノーフライ・シークエンス」と呼ばれる代替演出が教えられていた。この場合では、エルファバを演じる女優が舞台前方へ走り出し、他の衛兵や市民を演じる演者が舞台上に倒れ込み、今まさに空中に浮かぶエルファバを見上げているように見せることで、空を飛ぶ演出を模した[3][8]

また、この曲は2010年4月のスペースシャトル・ミッションSTS-131においては、飛行士ドロシー・メトカーフ=リンデンバーガーの船外活動の日を記念し、この曲が搭乗した宇宙飛行士たちの起床音楽として使用された[9]

チャート

認定

世界での録音

「自由を求めて」全公式バージョン
言語 オリジナルキャスト タイトル 意味
グリンダ エルファバ
デンマーク語[15][16] Annette Heick,[17] Johanne Milland Maria Lucia Rosenberg, Nanna Rossen "Mine vinger bærer"[18] "Leve uden tyngdekraft"[19] 「自分の翼が私を運ぶ」 「重力なしで生きる」
オランダ語 Chantal Janzen[20] Willemijn Verkaik[21] "Ik Lach om Zwaartekracht" 「重力を笑い飛ばす」
英語 クリスティン・チェノウス イディナ・メンゼル "Defying Gravity" 「重力に抗って」
フィンランド語[22] Anna-Maija Tuokko Maria Ylipää "Painovoimaa Murtamaan" 「重力を壊して」
ドイツ語[23] Lucy Scherer Willemijn Verkaik "Frei und Schwerelos" 「自由で重荷もなく」
日本語[24] 沼尾みゆき 濱田めぐみ 「自由を求めて」
韓国語 정선아김보경김소현 옥주현박혜나 김선영 "중력을 벗어나" 「重力から逃れる」
ポルトガル語 Fabi Bang Myra Ruiz "Desafiar a Gravidade" 「重力に抗う」
スペイン語[25] Cecilia de la Cueva Danna Paola "En Contra de la Gravedad" 「重力に抗って」
スウェーデン語[26] Anna Salonen Feline Andersson "Spränga gränserna" 「限界を超える」

映画版は含まない。

イディナ・メンゼル版

「Defying Gravity」
イディナ・メンゼル楽曲
録音 2007
ジャンル ポップ
時間 3:46
レーベル ワーナー・レコード
作詞・作曲 スティーヴン・シュワルツ
プロデュース グレン・バラード

エルファバ役を舞台で演じたイディナ・メンゼルは2007年に本局をシングルとしてリリースしている。

フォーマットと曲目

アメリカCDシングル

  1. "Defying Gravity" (Tracy Young's Flying Monkey's Club Mix) – 8:02
  2. "Defying Gravity" (Eddie Baez Club Mix) – 8:42
  3. "Defying Gravity" (Hani Flying So High Club Mix) – 7:04
  4. "Defying Gravity" (Josh Harris Vocal Club Mix) – 7:16
  5. "Defying Gravity" (Funky Junction & Antony Reale Club Mix) – 6:22
  6. "Defying Gravity" (Single version) – 3:48

デジタルシングル

  1. "Defying Gravity" (Album version) – 3:46

デジタルマキシシングル

  1. "Defying Gravity" (Tracy Young's Flying Monkey's Radio Edit) – 3:45
  2. "Defying Gravity" (Eddie Baez Radio Edit) – 4:54
  3. "Defying Gravity" (Funky Junction & Antony Reale Radio Edit) – 4:36
  4. "Defying Gravity" (Hani Flying So High Short Mix) – 4:55
  5. "Defying Gravity" (Josh Harris Radio Edit) – 3:53

デジタルマキシシングル (DJバージョン)

  1. "Defying Gravity" (Tracy Young's Flying Monkey's Club Mix) – 8:02
  2. "Defying Gravity" (Eddie Baez Club Mix) – 8:42
  3. "Defying Gravity" (Funky Junction & Antony Reale Club Mix) – 6:22
  4. "Defying Gravity" (Hani Flying So High Club Mix) – 7:04
  5. "Defying Gravity" (Josh Harris Vocal Club Mix) – 7:16

公式バージョン

チャート

『グリー』キャストバージョン

「Defying Gravity」
『グリー』キャストの楽曲
収録アルバム 『『グリー 踊る♪合唱部!? 〈シーズン1〉 Volume 1』』
録音 2009
ジャンル ポップ
時間 2:21
レーベル コロンビア
作詞・作曲 スティーヴン・シュワルツ
プロデュース アダム・アンダース、ピアー・アストロム

「自由を求めて」はアメリカ合衆国のテレビシリーズで、2009年から2015年までフォックス放送で放送された『glee/グリー』のキャストにより2回レコーディングされた。2009年に第9話 "Wheels" で、レイチェル(リア・ミシェル)とカート(クリス・コルファー)がリードソロの座をかけてそれぞれ歌う。レイチェルとカートのデュエット版と両方のソロ版が2009年11月11日にダウンロードシングルとしてリリースされ、サウンドトラックアルバムである『グリー 踊る♪合唱部!? 〈シーズン1〉 Volume 1』にも収録された[31]。2014年にこの楽曲は第5シーズン第12話 "100" でも使用されたが、これはシリーズの100話目のエピソードであり、レイチェル、カート、メルセデス(アンバー・ライリー)が歌った。2つめのバージョンは2014年3月18日に Glee: The Music – Celebrating 100 Episodes に収録された[32]

"Wheels" のプロットラインでは、レイチェルとカートが「自由を求めて」を歌って競うが、これはカートを演じた俳優クリス・コルファー自身の逸話にヒントを得たものである。カウンターテナーの声域を持っているため、コルファーは高校時代のタレントショーでこの歌を歌いたかったが、通常は女性アーティストがソロで歌う曲であるため繰り返し拒否された[33][34]ライアン・マーフィは「この番組が何についてのものであるかを一言で表しているので、このことを番組に盛り込むやり方を探りました。つまり、実際の能力がどうであるかとはまったく別のことであるにもかかわらず、その人がどういう存在だと思われているかのせいで、ある人がそんなことはできないと言われてしまうということなんです[35]」と説明している。コルファーはこの曲をとうとう歌える機会を持てたせいで「そんなに長い間夢見ていたことを自分がやっているのを見るのは本当にぞーっとするような体験でした」と語り、他人が作った限界に挑むことを歌うこの曲は、非常に自分が演じる登場人物である「カートらしい」と述べている[35]

「自由を求めて」はニールセン・サウンドスキャンのデータに基づく情報によると2010年10月22日時点で335000回ダウンロードされており、『グリー』史上2番目に売れた曲となった[36]。2015年3月20日時点ではニールセン・ミュージックによると529000回ダウロードされており、『グリー』オリジナルキャストのレコーディングでは5番目にダウンロードされた曲となった[37]

チャート

シンシア・エリヴォ版

「自由を求めて」
シンシア・エリヴォ featuring アリアナ・グランデの楽曲
収録アルバム 『ウィキッド ふたりの魔女 - オリジナル・サウンドトラック』
録音 2023
ジャンル ショー・チューン
時間 7:39 3:33 (edit)
レーベル リパブリック・レコード ヴァーヴ・レコード
作詞・作曲 スティーヴン・シュワルツ
プロデュース グレッグ・ウェルズ スティーヴン・オレマス スティーヴン・シュワルツ

イギリスの女優シンシア・エリヴォとアメリカの歌手・女優であるアリアナ・グランデユニバーサル・ピクチャーズの2部からなる『ウィキッド』の映画化翻案の第1部『ウィキッド ふたりの魔女』でエルファバとグリンダとして「自由を求めて」を披露しており、本作は2024年11月22日に公開された[44]。同日にこのバージョンがリパブリック・レコードヴァーヴ・レコードにより『ウィキッド ふたりの魔女 - オリジナル・サウンドトラック』に収録されて発売された[45]。「自由を求めて」はアメリカ合衆国のコンテンポラリー・ヒット・ラジオで2024年12月3日に公開された[46]

構成

このバージョンは映画の最後の曲であり、クリフハンガーの結末を機能させるべく楽曲も場面も引き延ばされている。曲のクライマックスとなるショットではエルファバが朝日を背景に空中に浮かび上がり、マントを広げて風にひるがえし、舞台版ミュージカルの「空中浮遊」の特殊効果を思わせる様子でこの役柄を象徴する「鬨の声」をあげる。ラジオ版のようにエルファバの最後の歌詞で終わるのではなく、編集担当のマイロン・カースタインの示唆により、映画が突然終わった印象を与えないよう、リヒャルト・シュトラウスの(『2001年宇宙の旅』で有名になった)「ツァラトゥストラはこう語った」の「日の出」の部分をヒントにしたファンファーレで終わる[47][48]。映画の予告編のひとつではこの曲にメトロ・ゴールドウィン・メイヤーの1939年の映画『オズの魔法使』より、ハーバート・ストサートの有名な「悪い魔女/ミス・ガルチ」のモチーフがリミックスされた[49]

この歌が使われる場面の撮影は2023年SAG-AFTRAストライキのため6ヶ月遅れ、撮影開始1年ほどたってから撮られた[50]。エリヴォはこの歌を「大いなる旅」と考えており、歌の間中キャラクターの声が伸びていくようにしたかったと述べた[51]。場面の終わりの鬨の声について、「あらゆるものがここにつながっていくんだから、いつもこの瞬間を待ちわびていたんです。[エルファバが]自分自身になれる究極の瞬間なので、体も脳も考えも、心が本当にその最後の1音を解放できるように望んでいるんです」と話している[52]

カースタインのこの場面の編集を分析する14分間の動画が2024年12月23日に公開されたが、これはAvid Media Composerを使って行われたクリエイティブチョイスのカースタイン自身による分析も含んでいた。カースタインは2025年4月5日に2025年度NABショーで、自身と撮影監督のアリス・ブルックスの対談の中でこのデモを対面で再現した[53][54]

評価

ビルボード』の記事でスティーヴン・ドーはこの「自由を求めて」をサウンドトラックアルバム最高の楽曲だと述べ、エリヴォ版を「この評者が今まで聴いた中で唯一最良のミュージカル映画楽曲の歌唱であり、既に桁外れであった期待をしのぐ以上のもの」だと称賛した[55]。同様に『バラエティ』のクリス・ウィルマンはエリヴォの完璧な歌唱を高く評価した[56]。『ルーパー』のリサ・レイマンはこの場面を2024年最高の映画の場面のひとつとして挙げた[57]

大衆文化への影響

2024年11月21日に、ジャーナリストのトレイシー・E・ギルクリストがエリヴォとグランデに対して「自由を求めて」の歌詞がネット上で大きな人気を博したため視聴者が「スペースを作っている」(holding spaces) と述べた動画のクリップが公開されたが、これは心理学の用語をあまり正確ではない意味で使用したものであり、ここから複数のインターネットミームが発生した[58][59]。ギルクリストは後で自分が言いたかったことを説明すべく、"holding spaces" とは「何かに対して完全にオープンになり、シニカルにならないこと[60]」のつもりだったと述べている。2024年12月にユニバーサル・ピクチャーズは2025年のローズ・パレードで "Defying Gravity" という名前の映画にもとづくフロート車を発注した[61]。2024年の大晦日、ファンの間では2025年1月1日0時、新年の訪れとともにエルファバの鬨の声が響くよう、アメリカ合衆国の東部標準時午後11時53分からこの曲をかけようという動きがあった [62][63]

ライヴパフォーマンス

第97回アカデミー賞授賞式で『ウィキッド』『オズの魔法使い』『ウィズ』の楽曲メドレーの一部としてシンシア・エリヴォとアリアナ・グランデがこの曲を披露した[64][65][66]

受賞

チャート

認定

リリース歴

脚注

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外部リンク