「FM音源」の意味や使い方 わかりやすく解説 Weblio辞書 (original) (raw)
FM音源(エフエムおんげん)は、周波数変調(frequency modulation, FM)を応用する音色合成方式を用いた音源。ジョン・チャウニングを中心としてスタンフォード大学のCCRMA(Center for Computer Research in Music and Acoustics)で開発されたものを、1973年に日本楽器製造(現・ヤマハ)がライセンスに関して独占契約を結んで実用化した[1]。
基本波形の発振・変調をおこなう合成器(オペレータと呼ばれる)を複数組み合わせて音色を合成する。数学的には発振機構が二重振り子のような非線形演算に基づいているため、演奏に合わせて波形生成のパラメーターを変化させることにより倍音成分が大きく変化し、音色を劇的に変化させることが可能である。しかし、その挙動はカオスであるため、パラメータの変動による倍音変化は予測し難い。
それまでの減算方式のアナログシンセサイザーにはなかった複雑な倍音成分を持つ音色、特にエレクトリックピアノやブラスのほか、非整数次倍音を含むベル系の金属的な音色の再現が特長とされる[1][2]。FM音源が奏でるきらびやかで金属的な響きは1980年代のポピュラー音楽に多く取り入れられ、当時を象徴するサウンドとも評されている[3]。
FM音源の音色の定義に要するパラメーターはせいぜい数十バイト程度であり、メモリーの使用量を筆頭として要求される計算資源が比較的少なく、パーソナルコンピュータ、家庭用ゲーム機、携帯電話などに広く利用されていた(詳しくは後述)。
原理
FM合成器の接続例:モジュレータ(左)の出力でキャリア(右)を周波数変調
位相変調の例:モジュレータ(青)が キャリア(赤)を変調した結果、合成される信号波(緑)を得る。
g ( t ) = π / 2 ∗ sin ( 2 ∗ 2 π t + π / 2 ∗ sin ( 3 ∗ 2 π t ) ) {\displaystyle g(t)=\pi /2*\sin(2*2\pi t+\pi /2*\sin(3*2\pi t))}
FM合成波形