「Marketing」の意味や使い方 わかりやすく解説 Weblio辞書 (original) (raw)
マーケティング(英語: marketing)は、価値あるプロダクトを提供するための活動・仕組みである[1]。
概要
マーケティングとは価値あるプロダクトを提供するための活動・仕組みである。様々な定義が提唱されており、一例として「顧客・クライアント・パートナー・社会にとって価値あるものを、創り伝え届け交換するための、様々な活動・プロセス・組織」と定義される[1](<#定義>)。
具体的にはマーケティングリサーチ・市場調査・分析から、新商品・サービスの企画・開発・設計、ブランディング、その価格設定(値付け(英語版))、広告・宣伝・広報・コミュニケーション、販売促進、流通、マーチャンダイジング、店舗・施設の設計・設置、営業、集客、接客、販売後に顧客と直接やりとりするコールセンターの業務の質の顧客価値から見た評価・分析、顧客情報の管理や分析 等に至る広い範囲がマーケティングに含まれる。また、直接顧客と関係しない製造ライン、研究、経理、人事などの部門は、一見マーケティング活動とは距離があるが、顧客価値を生むという視点ではこれらの部門や組織もマーケティングと有機的に結び付いて機能する必要がある。
マーケティングは営利企業・NPO・自治体など様々な主体が取り組むものであり、様々な分野で取り組まれている(<#種類>)。
マーケティングには100年を超える歴史があり(<#歴史>)、様々な手法が開発されている(<#手法>)。また学術的にも探求されている(<#研究>)。
定義
アメリカマーケティング協会(英語版)は2007年にマーケティングを次のように定義している[注 1]。
Marketing is the activity, set of institutions, and processes for creating, communicating, delivering, and exchanging offerings that have value for customers, clients, partners, and society at large.
(日本語訳) マーケティングは活動・制度・プロセスであって、顧客・依頼人・パートナー・社会全体にとって価値のある提供物を創造・伝達・配達・交換するためのものである。 — American Marketing Association アメリカマーケティング協会
日本マーケティング協会は2024年にマーケティングを次のように定義している[2]。
(マーケティングとは)顧客や社会と共に価値を創造し、その価値を広く浸透させることによって、ステークホルダーとの関係性を醸成し、より豊かで持続可能な社会を実現するための構想でありプロセスである。 — 日本マーケティング協会
フィリップ・コトラーはマーケティングを「製品と価値を生み出して他者と交換することによって、個人や団体が必要なものや欲しいものを手に入れるために利用する社会上・経営上のプロセス」と定義する[3]。
社会経済学やマクロ経済学の立場からは、「消費者と供給者の間の交換」であるとか、「社会に対する生活水準向上活動」といった定義も行われている[_要出典_]。
類義語
売れる仕組み
マーケティング概念を日本語で平易に言い換えた売れる仕組みという表現が存在する。この言葉は、次のような意味がある。
売れる
商品・サービスが「売れる」ようになるためには、特定のターゲット顧客のニーズを知り、ニーズを満たす商品を開発し、顧客がその商品の存在を知り、特徴を理解し、手に入る場所に商品が置かれ、入手できる適切な価格で提供されている必要がある。これらの一連のプロセスが「売れる」という言葉に集約されている。
仕組み
また、これら顧客を意識した一連のプロセスは、企業内で意識して統合・調整しないと成し得ず、長期的な収益貢献が見込めないため、「仕組み」と表現されている。マーケティング意識がまだ十分に醸成していない組織のためには、しばしば「売れる仕組みづくり」と組織の変容を促す表現で使用される。
セールス
マーケティングとセールスとは混同される場合があるが、それは誤解である。マーケティングとは冒頭記述のように経営戦略とならぶ企業活動の中核にあたる一連の行為であり、セールスとはコミュニケーションの結果で購入を検討している顧客候補に対してクロージング(買う決断を手助けする、つまり売る)をするという「マーケティングのほんの一部にあたる行為」である。マーケティングの意義としてピーター・ドラッカーは「セリング(単純なる販売活動)をなくす」という考え方を述べている。
広告・宣伝
広告・宣伝、集客や販促活動はマーケティング手法の一種である。マーケティングの同義語だという理解は誤解である[4]。ただしマーケティング概念の成立よりも広告の歴史は長い。
歴史
スティーブ・ジョブズのマーケティングスキルは、アップル社を復活させ、世界トップの企業に変えたと高く評価されている。[5][6]
→詳細は「マーケティングの歴史(英語版)」を参照
概要
マーケティングという言葉の初出は1902年のアメリカ合衆国、ミシガン大学の学報においてである。それ以前のアメリカでは"trade"や"commerce"が商業活動を示す言葉として使われていた。日本では戦後にマーケティングという概念が流入する前までは「商品学」、「商業学」、「配給論」という言葉が使われていた[7]。
1950年代にマネジリアル・マーケティングが現代マーケティングの始まりであるとも解される。 その後、1960年代にマーケティング・マイオピア (marketing myopia)(セオドア・レビットの提唱)、マーケティングの拡張論、戦略的マーケティングなどの概念が提唱され、1970年代にソーシャル・マーケティングが誕生し、サービス・マーケティング、マクロ・マーケティングなど、マーケティング概念の拡張化が進んだ。
1980年代にはグローバル・マーケティングやローカル・マーケティング、メガマーケティング、リレーションシップ・マーケティング、インターナル・マーケティングが誕生し、1990年代には経験価値マーケティング、2000年代にはソーシャル・メディア・マーケティング、社会的責任マーケティング(CSRマーケティング)などが誕生している。現時点ではマーケティングの適用範囲は営利企業にとどまらず自治体やNPOにも広がっている。
アメリカでのマーケティングの歴史は、農産物の流通問題の解決から始まった。また、1870年代に登場したカタログ販売による小売業の発展とその訴訟もマーケティングの歴史の一つで、最も有名なのはシアーズ・ローバック社の欠陥商品をめぐる裁判で、マーケティングの誕生は、騙し売りの訴訟も語られることは少ないものの、歴史の一つになっている。
またマーケティングはモノの生産・販売から産まれた概念だが、その適用範囲はサービスにも広がった。セオドア・レビット(英語版)はすべての企業は顧客にとってサービス業であるという顧客志向の認識に立ち、あらゆる企業がサービス的要素を持つと指摘した。ラッシュとヴァーゴによれば、従来のモノ中心のマーケティングをGDL(Goods Dominant Logic)といい、顧客は単に購入者として捉えられていたが、SDL(Service Dominant Logic)では、モノに限らず経済活動は全てサービスであり、顧客は購入者ではなくサービスの利用者であるという考え方を提唱した[8][9]。
マーケティング学説史の研究は、ロバート・バーテルズ、堀田一善、武井寿、戸田裕美子らの著書を参照。
年表
- 1902年 ミシガン大学の学報においてマーケティングという単語が初出。
- 1905年 ペンシルベニア大学で「The Marketing of Product(ザ・マーケティング・オブ・プロダクト)」の科目が開講
- 1909年 ピッツバーグ大学で「The Marketing of Product」の科目が開講
- 1910年 ウィスコンシン大学で、「Marketing Method(マーケティング・メソッド)」の科目が開講
- 1915年 アーク・ウィルキンソン・ショーのSome Problems in Market Distribution(サム・プロブレムズ・イン・マーケット・ディストリビューション)が出版される。
- 1935年 アメリカ・マーケティング協会(AMA)の前身の一つ、全国マーケティング教師協会がマーケティングの定義を行う。
- 1937年 AMAの結成
- 1948年 AMAがマーケティングの定義を行う。
- 1950年 ジョエル・ディーンによって、製品ライフサイクル(プロダクト・ライフサイクル)が提唱される。
- 1956年 ウェンデル・スミスによって、製品差別化と市場細分化が提唱される。
- 1957年 ジョン・A・ハワードが著書「Marketing Management(マーケティング・マネージメント)」を出版する。
- 1960年 エドモンド・ジェローム・マッカーシーが著書「Basic Marketing(ベーシック・マーケティング)」で、4Pを提唱する。
- 1969年 フィリップ・コトラーとS.J.レビィによって、マーケティング拡張論が提唱された。
- 1985年 AMAがマーケティングの定義を改定する。
- 1991年 デイヴィッド・アーカーがブランド・エクイティ戦略を提唱する。
- 1993年 シュルツ等のIMC理論の位置づけとしてロータボーンが消費者サイドからみたマーケティングミックスの4Cを提唱。
- 2004年 AMAがマーケティングの定義を再改定する。
- 2007年 AMAが2004年に定めたマーケティングの定義を修正・改定する。
- 2010年 フィリップ・コトラーらによって企業と消費者が共に生きる「マーケティング3.0」が提唱される。
マーケティングの発展段階
マーケティングは米国で産まれ、モノを中心にした「マスマーケティング」(マーケティング1.0)から始まった。次に「生活者(顧客)志向のマーケティング」(マーケティング2.0)に進化したとコトラーは定義している。更にグローバル化とIT化が加速し、「価値主導のマーケティング」(マーケティング3.0)の領域に高度化しており、単なる収益向上のための手段ではなく、企業や組織が世界を良くするための事業・活動を展開するための戦略に昇華している。
手法
種類
研究
関連項目
- マーケティング手法の一覧
- マーケティング研究者の一覧
- Category:マーケティングの種類
- 消費者行動分析
- 行動心理学
- データサイエンス
- 流通
- 商品開発
- ステルスマーケティング
- 商学部
- 経営学部
- 日本経営学会
- マーケティングジャーナル
脚注
出典
- ^ a b “Definitions of Marketing” (英語). American Marketing Association. 2026年1月1日閲覧。
- ^ 日本マーケティング協会 ... は、34年振りにマーケティングの定義を刷新した日本マーケティング協会『公益社団法人日本マーケティング協会が34年振りにマーケティングの定義を刷新』(プレスリリース)PR TIMES、2024年1月25日。https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000122632.html。
- ^ Kotler, P. et al., 2006. Marketing, 7th ed. Pearson Education Australia, p.7.
- ^ “隔月誌「Mi」2006年10月号中小企業診断士 根本寛”. 2019年6月6日閲覧。
- ^ Siltanen, Rob (2011年12月14日). “The Real Story Behind Apple's 'Think different' Campaign”. Forbes. 2019年3月16日閲覧。
- ^ “Searching for Magic in India and Silicon Valley: An Interview with Daniel Kottke, Apple Employee #12”. Boing Boing. (2012年8月9日). オリジナルの2014年1月11日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20140111073600/http://boingboing.net/2012/08/09/kottke.html 2012年8月30日閲覧。
- ^ 『マーケティング戦略 第5版 (有斐閣アルマ)』有斐閣、2016年12月12日、25頁。ISBN 978-4641220782。
- ^ 酒井光雄編著(2013)『成功事例に学ぶマーケティング戦略の教科書』、p.180-184
- ^ “yahoo Insight for D 「【解説】サービス・ドミナント・ロジック(SDL)」”. 2019年6月7日閲覧。
注釈
外部リンク
- 日本マーケティング協会(JMA)
- アメリカ・マーケティング協会(AMA)
- マーケティング実践レポート(井出剛)
- 国際実務マーケティング協会 (マーケティング・ビジネス実務検定)
- 日本マーケティング・リサーチ協会
- ESOMAR(European Society for Opinion and Marketing Research)
- 日本商業学会
- 日本マーケティング学会
- 日本マーケティング・サイエンス学会
- 日本消費者行動研究学会
- 日本広告学会
- 日本ダイレクトマーケティング学会
- 丸の内ブランドフォーラム
- デジプロ