V-MAXとは何? わかりやすく解説 Weblio辞書 (original) (raw)

VMAX(ブイマックス)とは、ヤマハ発動機が製造販売するオートバイ大型自動二輪車)。1985年に発売された1200 ccクラスの第1世代と、2008年に発売された1700 ccクラスの第2世代の二つのモデルがある。

モデル一覧

VMAX1200

初代モデル
2001年式カナダ仕様(2LT)
基本情報
排気量クラス 大型自動二輪車
車体型式 1FK, 2WE, 3UFほか
エンジン 1FK, 2WE, 3UFほか型 1,198 cm3 4ストローク水冷DOHC4バルブV型4気筒
内径×行程 / 圧縮比 76.0 mm × 66.0 mm / 10.5:1
最高出力 145 PS / 9,000 rpm
最大トルク 12.4 kgf·m / 7,500 rpm
詳細情報 製造国 日本 製造期間 1985年-2007年 タイプ クルーザー 設計統括 デザイン GKダイナミックス フレーム 鋼管ダブルクレードル 全長×全幅×全高 2,300 mm × 795 mm × 1,160 mm ホイールベース 1590 mm 最低地上高 145 mm シート高 765 mm 燃料供給装置 4連ダウンドラフトキャブレター (ミクニ・BDS35) 始動方式 セルフスターター 潤滑方式 強制圧送ウェットサンプ 駆動方式 シャフトドライブ 変速機 常時噛合式5速リターン サスペンション テレスコピック コイルスプリング+オイルダンパ併用式コンベンションタイプ キャスター / トレール 29°00° / 119 mm ブレーキ 前油圧式ダブルベンチレーテッドディスク後油圧式シングルベンチレーテッドディスク タイヤサイズ 前110/90-18 61V TL後150/90-15 74V TL 最高速度 乗車定員 2人 燃料タンク容量 15 L 燃費 カラーバリエーション 年式及び仕向地により異なる 本体価格 備考 先代 後継 VMax1700 姉妹車 / OEM (日本国内)FZX750 同クラスの車 ホンダ・X4
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150/90-15というサイズのためリアタイヤの選択肢は少ない

メーター周り

エンジン

正式呼称はVMX12である。車体種別はネイキッドタイプともアメリカンタイプともとれない独特なもの。エンジンはヤマハ・ベンチャーロイヤル水冷4ストローク70°V型4気筒DOHC1,198 ccをベースに、新機構Vブーストシステムが組み込まれた。**GKダイナミックス**によるマッチョなフォルムからドラッグレース、アメリカンなモータースポーツに参加する競技車両を彷彿させる。大容量エアクリーナーが内蔵されたタンクカバー(燃料タンクはシートの下)や、両サイドに張り出したエアダクト(実際にはダミー)からキャブレターを通りシリンダーへと流れていくように感じられるエンジンを中心としたデザインやレイアウトがこれまでのバイクと一線を画している。そのアグレッシブなシルエットに負けない当時世界最強のエンジンによって、ドラッグレース(ゼロヨン)10秒台と言うポテンシャルを誇ったモンスター・バイクでもある。 発売からすでに30年以上経ったものの、海外は元より日本の大型オートバイ市場の中でも現在なお根強い人気を保っている。

Vブーストシステム

この車両最大の特徴は、Vブーストシステムと呼ばれる装置を搭載していたことであった。エンジンの回転数が6,000回転を超えた辺りからキャブレター下部にある、インテークマニホールドの前後を繋ぐバタフライバルブが開き始めて8,500回転で全開となり、1気筒当たりツインキャブ(2つのキャブレターが連結された状態)に変化し、高回転時のみ大口径キャブレターを装着した状態を作り出し、多量の混合気をシリンダー内に積極導入する仕組みである。最大145 PS / 9000 rpm、12.4 kgf·m / 7500 rpmを発生し、「重量級の車体と驚異の加速力、Vブースト」がVMAXを表す言葉としてピッタリなものとなった。実際、6,500回転あたりから豹変する強烈な吹け上がりは当時の量産市販車世界最強の馬力を実感させるに十分なものであったが、アメリカンとしてホールドの効かないポジションと車体剛性の低さ、またシャフトドライブ車特有の癖もあり、実際にフルパワー加速を行うのはライダーの度胸も必要であった。あまりの強烈な加速力に、テストライダーがフル加速をすることが出来なかったという逸話もある。

日本国外仕様

1985年より輸出車として製造されていたが、日本仕様の発売まで逆輸入車として販売され、バブル期の好景気も相まって相当数の個体が日本に出戻っている。多数を占めるカナダ仕様の他、アメリカ仕様、ブローバイガス還元装置の付いたカリフォルニア仕様、ヨーロッパ仕様、高年式車では南アフリカ仕様がある。カラーリング変更や細かな部分の年次改良は多岐にわたる。

日本国内仕様

1990年式 日本仕様(3UF)

1997年式 日本仕様(3UF)

1990年に750 ccを超えるオートバイの販売が解禁され、その運輸省型式指定第1号である日本国内仕様が販売開始。当時、上限100馬力の自主規制がなされた事からVブーストシステムは搭載されず、98 PS / 11.3 kgf·mにデチューンされ販売が開始された。外観上はラジエターカバーのサイドリフレクターの省略、タンデムバーのリアデフレクターの大きさ、マフラーの穴が小さいことなどから輸出仕様と区別することができる。数値上はパワーダウンされてはいるものの、キャブレターファイナルギア比などに低中速域での加速を重視したセッティングがなされている。ストップ&ゴーの多い日本の道路事情では、6000 rpmからしか作動しないVブーストシステム搭載モデルよりもむしろ使い勝手が良かった。さらに国内仕様にVブーストシステムが搭載できるカスタムキットや、本来バルブで開閉するバイパス部分を常時開いたままにさせるフルタイムVブーストシステムなどがリリースされ、日本仕様を日本国外仕様以上に仕上げることも可能となった。

VMAX (RP22J)

2代目モデル (RP22J)
Paris - Salon de la moto 2011
基本情報
排気量クラス 大型自動二輪車
車体型式 EBL-RP22J
エンジン P626E型 1,679 cm3 4ストローク水冷DOHC4バルブV型4気筒
内径×行程 / 圧縮比 90.0 mm × 66.0 mm / 11.3:1
最高出力 147.2 kW (200 PS) / 9,000 rpm
最大トルク 166.8 N·m (17.0 kgf·m) / 6,500 rpm
詳細情報 製造国 日本 製造期間 2009年-2017年 タイプ クルーザー 設計統括 デザイン GK Dynamics フレーム ダイヤモンド 全長×全幅×全高 2,395 mm × 820 mm × 1,190 mm ホイールベース 1,700 mm 最低地上高 140 mm シート高 775 mm 燃料供給装置 燃料噴射装置 始動方式 セルフ式 潤滑方式 ウェットサンプ 駆動方式 シャフトドライブ 変速機 サスペンション テレスコピック式 スイングアーム式 キャスター / トレール ブレーキ 前⌀320 油圧式ダブルディスク後⌀298 油圧式シングルディスク タイヤサイズ 前120/70 R18M/C (59V)後200/50 R18M/C (76V) 最高速度 乗車定員 2人 燃料タンク容量 15 L 燃費 カラーバリエーション 本体価格 備考 スペックは欧州仕様2011年モデル[1] 先代 後継 姉妹車 / OEM 同クラスの車
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2008年6月5日に23年ぶりのフルモデルチェンジとなる新型のVMAX(日本国外仕様)が発表された。

新型VMAXは完全新設計で、車体やエンジンの構造などは同社のスーパースポーツであるYZF-R1の技術を応用して設計されている。エンジンは初代と同じV4ながら65°に変更され、排気量は先代の1200 ccから1700 ccへと大幅に増大されており、フューエルインジェクションが装備されたため最大の特徴であったVブーストシステムは廃止になったが、その替わりとして吸気系統の部品であるファンネルの長さを可変させる YCC-I を搭載させ、出力は200 PS (147 kW) と大幅に増強された。

初代の弱点とされた車体構造も見直され、オールアルミフレームに52 mmフロントフォークを装備させ、ブレーキもABS仕様となっている。ただし剛性確保のため車両重量は310 kgとさらに増え、新車価格も2,376,000円と非常に高額なバイクとなった。

ヤマハ発動機は日本国内規制に適応する仕様も開発し、2009年4月20日に、19年ぶりに発売。車体構成は日本国外仕様とほぼ同じだが、自動車排出ガス規制と加速騒音規制に対応すべく、エンジン出力を低減したほか、サイレンサーの口径も小さくさせ、二重パイプを採用した。これらの事から日本国内仕様の出力は、日本国外仕様の最大値である200 PSより低下したものの、初代の日本国外仕様を上回る151 PSを確保し馬力規制撤廃後のオートバイにおいて最大の出力となる数値となった。なお、日本国内仕様は、180 km/h以上の速度を出せない仕様となっている。

国内仕様の新車販売は、車両の取り扱いなどに関するメーカーの研修を受けた者(VMAXアドバイザーと呼ばれる)が在籍し、なおかつ諸々の条件(店舗の面積、清潔感、整備施設、立地条件、過去のヤマハ車取り扱い実績、など)をクリアしたVMAX取扱店(ほぼ正規販売店のYSPのみ)に限られている。また、販売契約の成立を条件にメーカーから出荷されるため、VMAX取扱店であっても新車が在庫として店舗に並ぶことはない。これは販売店の判断で極端な値引きを行う、新古車として販売されるなど、ブランドイメージの低下を防ぐためである。このため、実車に触れる機会を提供するべく、メーカーおよび販売会社主催で試乗会や展示会が開かれることがある。また、購入後3年間は定期点検、油脂類の交換やロードサービスが無料で受けられる、1年間の盗難保険が付帯する等、最高級車種としての差別化が図られている。

なお逆輸入車については、初代モデルより日本国内販売を行なってきた販売店のプレストコーポレーションが「平成20年9月から適用された排出ガス基準強化規制と騒音規制の可否確認が取れない」という理由で逆輸入を行わないことを公表したが、のちに他の並行輸入業者(http://www.lirica.co.jp/) が日本国外仕様車両でも日本国内における規制への適合が行えることを確認したため[_要出典_]、新型VMAXの逆輸入車も日本国内で販売されることになった。

2017年2月20日、最終受注上限120台を最後に、2017年8月に生産終了とする発表が行われた[2][3]

脚注

  1. ^ YAMAHA・EU VMAX(2011年11月7日時点のアーカイブ
  2. ^ 2017年VMAX生産終了についてご案内 2017年VMAX生産終了についてご案内
  3. ^ “今夏で販売終了、ヤマハのロングセラーモデル VMAX が残り120台!”. Response. (株式会社イード). (2017年2月21日). http://response.jp/article/2017/02/21/290979.html 2017年4月9日閲覧。

関連項目

外部リンク

ヤマハオートバイ車種
50 cc BJ BW'S DT50 FT50 GR50 GT50ミニトレ MR50 RD50 RX50 RZ50 TDR50 TY50 TZM50R TZR50 VOX YB50/YB-1FOUR YSR50 アクシス50/プロフット アクティブ エクセル ギア キャロット キュート ジョグ/Deluxe/ZR/プチ リモコンJOG/ZRエボリューション スーパーJOG/Z/ZR サリアン ジッピィ50 タウニィ チャピィ50 チャンプ/RS/CX トライ パッソル/パッソルII パッソーラ ビーノ/モルフェ フォーゲル ベルーガ50 ボクスン ポッケ ポップギャル ボビィ50 ミント メイト50/タウンメイト50 マリック リリック
51 - 125 cc AG100 AX125 BW'S125 DT125 GT80 HS1/HS90 HX90 IT125 MR80 MT-125 NMAX125 RD125 RD90 RS90ターゲット RX80 RZ125 SR125/B TDR80/125 TY80/125 TZR125 XSR125 XTZ125 YA-1 YB90/125 YBR125 YD125/S YSR80 YZF-R125 アクシス90/プロフット/グランドアクシス100/アクシス トリート/アクシスZ シグナス/D/Si/SV/X/X-SR ジッピィ80 ジョグ80/90 チャピィ80 チャンプ80 ドラッグスター125 トリシティ125 CZ125トレーシィ ビーノ125 ベルーガ80 ボビィ80 マックススター125 マジェスティ125/S125 メイト80/タウンメイト80/90 QBIX XMAX125
126 - 250 cc AG175/200 BW200 CS-1E CT175 CZ150R DT200R DT230ランツァ/DT250/DT-1 FZ250フェーザー FZR250 FZX250ジール GX250 IT175/200/250 MT-25 NMAX155 R1-Z RD250 RZ250 SC-1 SDR SR250 SRV250 ルネッサ SRX250 TDR250 TT250R/Raid TW200/225E TY175 TY250J TY250スコティシュ/Z-スコティシュ TZR250 V-star250 WR250R/X WR250F XS250 XSR155 XT200 XT250T XT250X YBR250 YC-1 YD-1・YDS-1/2/3 YD250/S YZF-R15 YZF-R25 シグナスGT/XC180 グランドマジェスティ セロー225/250 テオス125/150 ドラッグスター250 トリシティ155 トリッカー ビラーゴ250Vスター250ブロンコ マグザム マジェスティ/グランドマジェスティ/マジェスティS マックススター150 XMAX250/XMAX
251 - 400 cc DT360 DT400 FZ400 FZ400R FZR400 GX400 IT400 MT-03(RH07J) RD350 RD400 RT1 RT360 RZ350 SR400 SRX400 TY350R V-star XJ400/D XJ400Sディバージョン XJR400 XS400 XT400 XT400Eアルテシア XZ400/D YZF-R3 グランドマジェスティ400 ビラーゴ400 ドラッグスター400/クラシック 350R1 トリシティ300 XMAX300 XMAX400
401 - 600 cc FZ6 Faser S/S2 FZ6R FZR600(英語版IT425/465/490 RZV500R SR500 SRX600 TMAX/530 TT500 TT600 TT600R XJ6ディバージョン/F XJ6N XJ600N XT500 XT550 XZ550D XT600/E XT600Zテネレ YX600ラディアン YZF600Rサンダーキャット YZF-R6
601 - 1000 cc FZ750 FZ8/FAZER8 FZR750/R(OW01) FZX750 GX750 MT-03(660cc) MT-07/トレーサー MT-09 MT-09 TRACER/TRACER900/TRACER9 MT-10 SCR950 SZR660 TDM850/900 TRX850 TX650 TX750 XJ650スペシャル XJ750E XJ900Sディバージョン XS-1/650 XS650スペシャル XSR700 XSR900 XT660R/X XT660Zテネレ(英語版テネレ700 XTZ750スーパーテネレ XV750E XV750スペシャル XVS950Aミッドナイトスター YZF750R YZF750SP YZF-R1 YZF-R7 ドラッグスター650Vスタービラーゴ750 ボルト/R/C NIKEN
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