bank robberyとは - わかりやすく解説 Weblio辞書 (original) (raw)
銃で銀行員を脅す銀行強盗
銀行強盗(ぎんこうごうとう、英: bank heist、bank robbery)とは、強盗犯罪の一種[1][2]。その名のとおり、銀行や郵便局など金融機関を対象とした犯罪行為[3][4][5]。金融機関強盗とも[6]。古くは銀行破りとも称す[7][8][9]。
概要
金融機関には多額の現金が保管されているため、大量の通貨奪取を求めて犯行が行われる[10][4][11][12]。
路上強盗などの通り魔的な類や、コンビニエンスストアなど店舗類、民家や事務所などを狙った強盗事件に比べ、金融機関施設は防犯ビデオや防犯シャッター、強盗撃退用の武器など、装備が充実している点や、職員も対策訓練がされている場合が多いため、検挙率が高いとされている[13][14][15][16][17][18]。
世界で初めての銀行強盗は1828年9月14日、5人の男性がオーストラリア銀行を襲撃したオーストラリア銀行強盗事件と言われており、米国で最初の銀行強盗は1831年3月にニューヨークで発生した襲撃事件と言われている。世界で初めて銀行強盗に成功したのは、ジェシー・ジェイムズである(1866年2月13日)[19]。
日本での銀行強盗は、現金輸送中の銀行員襲撃や、金庫破りなどが大正時代からたびたび起こっており、日本内地の銀行を白昼襲った事件としては1924年の愛知農商銀行のピストル強盗があるが、行員の反撃により現金を捨てて逃走したため未遂に終わった[20]。
日本国内の銀行を襲って成功した初の銀行強盗は1932年(昭和7年)10月に、日本共産党が東京府東京市大森区(現在の東京都大田区)にあった川崎第百銀行大森支店で起こした赤色ギャング事件である[21]。これを模倣し同年11月には、ハワイ帰りの元外交員が、アメリカ合衆国ハワイ準州で買った拳銃を使って、兵庫県神戸市の五十六銀行駒ケ林支店を襲い、逃走中に住民らに取り押さえられた事件も起こった[22]。
一覧
→詳細は「銀行強盗事件の一覧(英語版)」を参照
対策
対策として以下のものが挙げられる。
- カラーボール - 特殊染料が入った防犯用のボール[23][24]。衝撃が加わると破損して中の液体が漏れ出し、対象に付着するため、防犯装備の一つとして用いられている[25][26][27]。
- ダイパック - 銀行強盗対策用の染料爆弾[28]。主に使われなくなった紙幣(10ドル(英語版)もしくは20ドル(英語版))が使用されており、本物との識別はほぼ不可能[28]。
- GPSトラッカー(英語版)
- ベイトマネー(英語版) - 追跡しやすい工夫が施された現金。
- ドイツではカメラ監視装置の設置と保管現金の減少などの対策によって、被害を抑え、検挙率の向上にも寄与したとされる[29]。
上記以外にも銀行強盗に遭った状況を想定し、通報から逮捕までの一連の対応手順を金融機関と警察が共同して確認し、万が一の事態に備えるための訓練も実施されている[30][31][32][33][34]。
検挙率と統計
日本防災通信協会調べでは、2000年ごろのピーク時の229件に比べ2021年では防犯態勢強化によって1桁台の96%減となっている。また、銀行職員への対応訓練も行われており、警察も経験が豊富であるため検挙率も99.3%と高い水準で逮捕されている[35]。
サリー大学とサセックス大学が共同で行った2005年から2008年までにイギリスで発生した364件の銀行強盗の統計調査では、犯人は1件当たり平均1.6人で、一人当たりの収奪金額は平均1万9900ドルと、コーヒーショップで働くバリスタの年収程度である。銃器や大人数で行えば収奪金額も増えるが、実入りは単独犯より少なくなる傾向があった。総数の約33%は未遂で終わり、約20%は逮捕されている。一方、イタリアのトリノ大学カルロ・アルベルト・カレッジの経済学者Giovanni Mastrobuoniは、英国の銀行強盗事件の被害総額1160万ドルの大半はプロによるものであると指摘している。また、銀行側などの対応を改善すれば、もっと逮捕率などが改善されることが指摘されている[36]。
2001年度のアメリカでは、窓口が多くなったことから銀行行員に抵抗しないよう教育が行われ銀行強盗の標的となりやすかったが、発生件数は10,150件で、5000ドル未満の少額が多く、拳銃所持は多いものの暴力事件になるのは4%、死者が出た事件は1%未満であった[37]。同年の検挙率は57.7%であり、それなりに高い検挙率で得られる金額が少額となっており、懲役も長く警備も厳しい刑務所となるためリスクに見合わない犯罪であるとしている[38]。
脚注
- ^ 『朝日新聞』1984年8月8日 夕刊 1社11頁「兵庫の銀行強盗元警部補に懲役5年 大阪地裁判決」(朝日新聞東京本社)
- ^ 『朝日新聞』1996年12月3日 朝刊 1社31頁「警察の訓練装い銀行強盗、8分後に逮捕 熊本(青鉛筆)【西部】」(朝日新聞西部本社)
- ^ 『朝日新聞』1984年11月8日 夕刊 1社19頁「白昼の群馬で郵便局強盗、日本刀?で脅し250万円奪う」(朝日新聞東京本社)
- ^ a b 『読売新聞』1994年8月5日 全国版 東京夕刊 夕一面1頁「輸送車の5億4000万円強奪 神戸の福徳銀行で2人組が短銃突き付け」(読売新聞東京本社)
- ^ 「9人縛り4500万円強奪、拉致行員脅し侵入…埼玉」『読売新聞』読売新聞社、2005年3月4日。オリジナルの2005年3月6日時点におけるアーカイブ。2025年8月9日閲覧。
- ^ 『朝日新聞』2001年11月7日 朝刊 広島1 20頁「わかっててもドキッ 広島市の信金で金融機関強盗想定の訓練 /広島」(朝日新聞大阪本社)
- ^ 『読売新聞』1913年7月29日 全国版 朝刊 3頁「紅葉屋銀行破り犯人送られる 犯人の妻自殺を企つ」(読売新聞社)
- ^ 『読売新聞』1950年4月25日 全国版 夕刊 2頁「銀行破り200万円 静銀東京支店 犯人内部に精通/東京都中央区」(読売新聞社)
- ^ 『読売新聞』2008年11月21日 全国版 東京夕刊 芸能A 13頁「[映画] 「バンク・ジョブ]=英 「小説より奇なり」の妙」(読売新聞東京本社)
- ^ 『朝日新聞』1990年5月8日 朝刊 1社23頁「銀行強盗1000万円奪う 爆発物?で脅す 鳥栖の佐賀銀 【西部】」(朝日新聞西部本社)
- ^ 「埼玉の銀行強盗犯、逃走車捨て駅までヒッチハイク」『読売新聞』読売新聞社、2005年3月11日。オリジナルの2005年3月11日時点におけるアーカイブ。2025年8月11日閲覧。
- ^ 「横浜の銀行に強盗、ナイフで脅迫 警官発砲し命中」『朝日新聞』朝日新聞社、2006年8月11日。オリジナルの2006年8月11日時点におけるアーカイブ。2025年8月11日閲覧。
- ^ 『朝日新聞』1991年9月26日 朝刊 2社30頁「2発撃って1550万円奪う 市川の銀行強盗の容疑者逮捕」(朝日新聞東京本社)
- ^ 「岩手大生が銀行強盗、現行犯逮捕」『読売新聞』読売新聞社、2005年1月4日。オリジナルの2005年1月4日時点におけるアーカイブ。2025年8月11日閲覧。
- ^ 「13年前の銀行強盗で時効成立の男、信金職員襲い逮捕」『読売新聞』読売新聞社、2007年2月9日。オリジナルの2007年2月11日時点におけるアーカイブ。2024年12月15日閲覧。
- ^ 『読売新聞』2014年11月22日 全国版 東京朝刊 社会39頁「銀行から1500万円強奪 容疑の男を緊急逮捕 三重・鈴鹿」(読売新聞東京本社)
- ^ 『朝日新聞』2023年10月12日 朝刊 愛媛全県・1地方23頁「強盗未遂の疑い、81歳現行犯逮捕 新居浜 /愛媛県」(朝日新聞大阪本社)
- ^ “昭和56年版 犯罪白書 第2編/第2章/第2節/2 公的研究から見た特質”. 法務省. 2025年8月11日閲覧。
- ^ 「2月13日 世界で初めての銀行強盗があった日」『きょうの蔵出しNHK』日本放送協会。2025年8月11日閲覧。
- ^ 白昼銀行にピストル強盗・支店長大格闘を演じ遂に逮捕す『銀行犯罪史』 (銀行問題研究会, 1936)
- ^ 一年間の検挙者、シンパ含め七千人『東京日日新聞』昭和8年1月18日号外(『昭和ニュース事典第4巻 昭和8年-昭和9年』本編p349 昭和ニュース事典編纂委員会 毎日コミュニケーションズ刊 1994年)
- ^ 銀行ギャング『捜査と防犯 : 明治大正昭和探偵秘話』兵庫県防犯研究会、1937
- ^ 『読売新聞』1997年12月4日 全国版 西部朝刊 社会31頁「郵便局強盗52万円奪う 局長は防犯研修中/福岡・久留米」(読売新聞西部本社)
- ^ 『読売新聞』1999年7月17日 滋賀 大阪朝刊 セ滋賀31頁「銀行強盗逃げきれず 車にカラーボール命中 大津の滋賀銀大石出張所」(読売新聞大阪本社)
- ^ 『朝日新聞』2008年11月16日 朝刊 鹿児島全県・1地方35頁「霧島の強盗、容疑者逮捕「借金返済のため」 /鹿児島県」(朝日新聞西部本社)
- ^ 『朝日新聞』2010年1月14日 朝刊 京都市内・1地方22頁「銀行強盗の逮捕、協力者に感謝状 伏見署 /京都府」(朝日新聞大阪本社)
- ^ 『朝日新聞』2014年12月5日 朝刊 三重全県・1地方23頁「強盗容疑者逮捕に協力、感謝状 第三銀行住吉支店の事件で鈴鹿署 /三重県」(朝日新聞名古屋本社)
- ^ a b “I've heard of bank robbers being foiled by a 'dye pack' put in their money stash. What is a 'dye pack'?” (英語). How Stuff Works. 2012年5月21日閲覧。
- ^ “第2節 諸外国における動向(昭和56年版 犯罪白書 第2編)”. hakusyo1.moj.go.jp. 法務省. 2026年1月3日閲覧。
- ^ 『朝日新聞』2011年12月3日 朝刊 和歌山全県・2地方34頁「歳末、強盗に備え警察と合同訓練 ゆうちょ銀行和歌山店 /和歌山県」(朝日新聞大阪本社)
- ^ 『朝日新聞』2015年2月7日 朝刊 鹿児島全県・2地方22頁「迫真の演技、銀行強盗訓練 湧水 /鹿児島県」(朝日新聞西部本社)
- ^ 『朝日新聞』2021年12月10日 朝刊 熊本全県・1地方21頁「強盗対応の訓練 県警、年末向け金融機関など /熊本県」(朝日新聞西部本社)
- ^ 『朝日新聞』2022年12月20日 朝刊 千葉全県・地域総合22頁「銀行強盗、日頃から備える 通報など手順確認 匝瑳署・JA /千葉県」(朝日新聞東京本社)
- ^ 『朝日新聞』2023年1月23日 朝刊 横浜・1地方19頁「銀行強盗、対応を確認 栄署と横浜銀、通報手順などを訓練 /神奈川県」(朝日新聞東京本社)
- ^ “金融機関の強盗事件、21年はピーク比96%減 防犯態勢強化で | ニッキンONLINE”. ニッキンONLINE | 日本金融通信社. 2026年1月3日閲覧。
- ^ “割に合わない銀行強盗”. Nature Digest 9 (10): 6–6. (2012-10). doi:10.1038/ndigest.2012.121006b. ISSN 1880-0556. https://www.nature.com/doifinder/10.1038/ndigest.2012.121006b.
- ^ Times, FOX BUTTERFIELD New York. “Rate of Serious Crime Held Largely Steady Last Year” (英語). The Tuscaloosa News. 2026年1月3日閲覧。
- ^ “Bank Robbery in the United States”. FBI. 2026年1月3日閲覧。 p19