sons -人名の書き方・読み方 わかりやすく解説 Weblio辞書 (original) (raw)

Sons』(サンズ)(ムーン・ライティング・シリーズ)は三原順漫画作品。『ムーン・ライティングシリーズ』の主人公D・Dとトマスの少年時代を描いた作品。少年の心に映る光と影を、精緻なストーリーと確かな手法で構築し[1]、成長期にある少年たちの揺れ動く心理を、独自の語り口で描き上げ、大きな反響をよんだ[2]

概要

『花ゆめEpo』誌にて1986年から1990年まで連載された。単行本は白泉社ジェッツコミックスより全7巻。1999年以降は白泉社文庫全4巻として刊行されている。

はみだしっ子』が三原順の出世作かつ前期の代表作とすると、大人への階段を登りかけた少年達の、その呼吸をとらえ、生き生きと写し、彼らの過ごした時間を余すところなく描いた[3]本作品は後期の代表作[4]と言える。

ムーン・ライティングシリーズ』の時間軸では一番最初だが、最後に発表された。三原順は第7巻あとがきで本作のきっかけを、「連載開始時は、300頁程度の予定で、「D・Dはいかにして信念を持たない事勿れ主義者になったか」をテーマにしたホーム・ドラマを書くつもりでした。が、(後略)[5]」と、述べている。

『X Day』シリーズとの関係

ダドリーを中心とした家系図:ムーン・ライティング・シリーズとX Day

本作主人公のD.Dこと「ダドリー・デヴィッド・トレバー」は、『X Day』シリーズの「ダドリー・トレバー」と名前は同じであるが、姓が『ムーン・ライティング』シリーズでは、「Traver」、『X Day』では「Travor」、とスペルが異なっているというのが、作者による公式な設定である[6]。家系図的な設定はかなり重なっており、両作品ともダドリーは、ピーターとエレの次男として育てられたが、実際には長男クリントの双子の妹が産んだ私生児で、2人は祖父母、クリントは伯父に当たる(右図参照)。相違点はD・Dの兄クリントの結婚相手のみ(『Sons』では婚約のみで結婚したことまでは述べられていない。)である。

あらすじ

D・Dことダドリー・デヴィッド・トレバーは、寄宿学校でトラブルを起こし退学になって村に帰り、家から通える、ウィリアムの息子のケビンと同じ学校に転校する。ケビンは対抗心をむき出しにするが、同時期に転校してきたトマスと友人になる。それからロージーという女の子にも恋心を抱き、やがて3人で仲良くなる。

D・Dは、母親エレと父親 の息子とされているが、実は彼らの子供で兄クリントの双子の妹ジニーが12歳で産んだ子だった。ジニーは錯乱して死亡し、それは村の人も皆知っている公然の秘密であり、D・Dも知っているが、両親はD・Dが知らないと思っており、愛情深く育てている。 D・Dはもうすぐ100歳になるフォルナ―の婆さんを、幼少時からしばしば訪れ、相談相手にしていた。最近は、しばしば衝動に駆られて、愛犬のロボを連れて夜中に森を走り回る。ある夜森で狼を見てその姿に憧れる。 トマスは、お爺さんが満月の夜になると狼になる狼男だと告白するが、ダドリーは妄想話と聞き流す。 トマスの祖父が事故で亡くなり、その後トマスの父親は、イノシシの変身するが、トマスには内緒にしておく。

ケビンの父親、D・Dのいとこウィリアムの会社が所有する倉庫が火災になるが、ウィリアムは保険で逆に儲ける。 ウィリアムは、嵐の中で池に墜落したセスナ機から生還するほど運が強く、事業欲も旺盛で事業拡大を続けているが、最初の奥さんのマギーは精神を病み、マギーの子供のジュニアとケビンは父親の影響から逃れられずもがいている。後妻のアイダは、正直すぎる言動で街の人の顰蹙を買っており、ウィリアムは子供を隠してアイダと離婚する。 キャンプ中に咳止めを飲んで道を間違え嵐の中で遭難したDDは、トマスの父親が変身したイノシシに救助されるが本人は記憶がない。D・Dはウィリアムから、自分の父親が、ウィリアムの父親違いの弟のスティンだと聞く。

フォルナ―の婆さんが、100歳の翌日に亡くなり、D・Dは空想にふけるようになる。 婆さんがダドリーが21歳になったら渡して欲しいと言い残していた小箱を巡って、大人たちが揉めているのを見て、 幼い玄孫兄妹は、箱をダドリーに渡してしまう。その箱の中には、フォルナ―の婆さんががダドリーの実の父親スティンと交わしていた手紙が入っていた。D・Dは、トマスにそれを燃やしてくれとお願いする。D.D.は更に空想にふけるようになる。

寄宿舎に入っているウィリアムの長男ジュニアは、素性が良くない友達と付き合い、酒と薬で酔った友人達とケビンを連れて車に乗り、死亡事故を起こす。ウイリアムは新しい女性サラと付き合い、新しい会社の買収も上手くいくが、ジュニアは、精神的に苦しみ、思い詰めて銃を持ってウィリアムの部屋に行くがウィリアムは部屋におらず、その後自分に向けたロシアンルーレットの最初の1発目が実弾で、死亡する。ジュニアの悪い友達達は、金目的でケビンを誘拐、助けに行ったD・Dの前に、トマスの父親が変身したイノシシが現れる。D・Dは、銃撃戦に巻き込まれて九死に一生を得、愛犬のロボが撃たれて怪我する。

ケビンとの関係が落ち着き、町にイノシシの噂が流れトマスの父親は引っ越す事を決める。トマスは、D・Dの父親の手紙を燃やしていなかった。D・Dは、ウィリアムとトマスの協力を得て、街へ両親に内緒で自分の父親に会いに行き、手紙を返す。父親が友人に自分の息子と紹介してくれた事に満たされた夜「これが幸せな子供でいる事を強制されたオレの腹いせ!ザマァミロ!オレは幸せな気分!」「これで誰かを殺したい衝動から逃れられる・・。」と涙を流す。やがてトマスは引っ越しロージーも引っ越していく。時は流れ大人になったD・Dは友人の父親への愚痴を聞いている。D・Dのところに子供のウィリアムとアイダの息子とサラの娘が、家出してやってきて、母親の話を聞きたがる。

登場人物

D・Dとトマスの世界

D・D

ダドリー・デヴィッド・トレバー。少年。11歳。本作品のナレーター。トマスは彼のことを「D」、トマス以外の人は「D・D」とイニシャルで呼ぶ。イニシャルをすべて書くと「D.D.T.」になり、農薬としてかつて使われたDDTと同じになるのは作者三原順のお遊びである。愛犬ロボとしばしば夜中に走りに出かけ、ロボの犬小屋作りが得意。直観で行動しがちで何かと事件に巻き込まれる。親に内緒で実父スティンに会いに行き、スティン由来の精神的葛藤を自分で始末した事を、ウィリアムに認められる。

ピーターエレの次男として暮らしているが、彼らは祖父母でありかつ養父母であり、実親は彼らの娘のジニーと、彼女の従兄妹であるウィリアムの父違いの弟:ジャスティン(現在は改名してクリストファー・ロンバート)である。

トマス

トマス・リブナー。少年。11歳。D・Dと同時期に転入してきてD・Dと友達になる。集団活動を好まず、他人に合わせない。祖父が狼男という秘密を持ち、D・Dに打ち明けるが、D・Dは空想の作り話だと思われる。D・Dに振り回されるが、D・Dの気持ちを気遣い、フォローし、相談相手となる。

幼少時は秘密が十分に守れる年齢になるまで、友達と遊ばせてもらえず、仲の良い友達を作った事がなかった。D・Dは初めてできた友達。本人曰く独占欲が強い。魚釣りが好き。料理が得意。

ロージー

少女、D・Dとトマスの同級生。D・Dの想い人だが、当初の彼女の想い人はトマス。D・Dとトマスと3人で遊ぶ。本の中のジュニアの暗号を最初に見つける。美人の姉と病弱な弟に挟まれたそばかす鼻ペチャ活発で、コンプレックスを持っており、サッカーが好きで負けん気が強い。

フォルナーの婆さん

エリザベス・フォルナー。99歳。D・Dは「ばあちゃん」と呼ぶが、血縁関係はない。近所でも有名な偏屈な老女。幼いD・Dが現在の父母(ピーターとエレ)が実の父母でないことを知っていることを知り、彼の居場所として彼を肯定的に受け止めるD・Dの心の拠り所となった。

100歳まで生きることを公言し、実際に100歳の誕生日に亡くなった。死後、D・Dの実父スティンにD・Dの様子を知らせていたことが(本人の意志より早く)D・Dに知らされた。

ウィリアムとその家族と関係者

ウィリアム

ウィリアム・ジョンソン。男性。36歳。D・Dの「従兄」とされているが、実は「伯父」であり「祖母の甥」。父親の小さな靴屋を引き継いで、革製品一般を扱う企業に成長させ、村に工場をつくり数多くの村の人を雇っている村の名士。工場が火事で焼け落ちるとその保険金で委任状争奪(プロキシーファイト)によるM&Aに乗り出す。

家族関係では不幸とトラブルが多い。父親は泥酔して凍死、母親は階段から足を滑らせて事故死、妻のマギーは精神のバランスを崩した後離別、長男のジュニアはピストル自殺で失う。2度目の妻アイダは自ら離別し、その後も2回結婚と離婚を繰り返す。可愛がった異父弟スティンは資産家の父親の養子となり、対抗心を燃やす。スティンの息子であるD・Dに興味を持ち、父親を明かしたら、D・Dが父親を言い訳に生きる人間になるのかどうか、賭けを申し出る。

スティン

ジャスティン・ジョンソン。男性、24歳。現在は改名してクリストファー・ロンバート。ウィリアムの父違いの弟。幼少期はウィリアムとともにジョンソン家で暮らすが、養父(ウィリアムの父)に虐待され、トレーバー家にしばしば避難してジニーと仲良くなる。実父の養子となる際に、町との絆を断つ条件を叶えるべく母の企みで余命わずかな病に罹ったと噂を広められ、自身もそれを信じ込んで絶望し、ジニーと子を作る。ロンバート家に養子に入った後、ウィリアムから聞かされてジニーの死とD・Dが生まれたことを知り、フォルナーの婆さんと文通をして、D・Dを遠くの寄宿舎に入れてもらって、こっそりD・Dを見ていた。独身主義者。

ジュニア

ウィリアム・ジョンソン・ジュニア。少年、14歳。ウィリアムの長男。6歳のときに祖母の死を目撃し、父が殺害したとの疑いを持ち心に傷を負う。克服するために作家になろうとしたり、街の不良と付き合って父の枠から外れようとしたが、酒と薬をやった友人達と乗った車が死傷事故を起こす。裁判後も精神的に苦しみ、ロシアンルーレットで拳銃自殺。D・Dに借りた本に暗号めいた方法で日記をつけていた。

ケビン

ケビン・ジョンソン。少年、ウィリアムの次男。D・Dと同い年(11歳)。父と同等、あるいはそれを越えようと努力している。自分が勝たなければ気が済まない少年。特別な相手以外を、その他大勢と見做す性格で、周囲との軋轢を生む。ジュニアとジュニアの友人達の事故を起こした車に同乗しており、ジュニアの無実を証言する。そのためにジュニアの仲間達に誘拐された。

ダニエル

ダニエル・ジョンソン。ウィリアムの三男。Sonsの作中では赤ん坊だったが、最後(時間軸的にはムーン・ライティングでの一連の騒ぎの後)ウィリアムと喧嘩して、妹・シャーリーと共にD・Dを訪ねてくる。

マギー

ウィリアムの前妻。ジュニアとケビンの母。ウィリアムの母の死亡事故を目撃し、心のバランスを崩す。離別後に回復するが、ジュニアの自殺を目撃して再び入院。

アイダ

ウィリアムの2番目の妻。ウィリアムの三男ダニエルを産む。自分に正直で思ったことはすぐに口にするため、町の人たちと齟齬を生んだ。ウィリアムがM&Aに乗り出す際に離別され、ダニエルを奪われる。

サラ

ウィリアムの秘書で3番目の妻。ウィリアムのM&Aを手伝い、ウィリアムの子を妊娠した。ウィリアムの功利主義的性格のため一度は堕胎を決心するが、心を変えウィリアムの長女シャーリーを産む。

ロジャー

ウィリアムの顧問弁護士。ウィリアムのM&Aおよびアイダとの離婚協議を担当。D・Dは好いている。

リチャード

リチャード・ジョンソン。ウィリアムの父。本人によれば靴職人として「腕はいい」のだが、大恐慌のために職を失い、小さな町の小さな店で終わった。アルコール依存症であり、妻が余所の男と作ったスティンを虐待する。最期は酔ったまま雪の中で寝込み、凍死。

ドナ

ドナ・ジョンソン。ウィリアムの母。酒乱気味の夫リチャードを嫌い度々家出する。家出中に出会った富裕なロンバートの子を身ごもり、ジョンソン家に戻ってからスティンを出産。夫の死後、子がもうけられなかったロンバート家が、スティンを養子にする条件として出した出身の町と縁を切る事を叶えるために、スティンが死病に罹り死んだことにする。真実を知ったウィリアムがスティンにジニーの死とD・Dの出生を知らせようと出発するのを阻止すべく猟銃を持ち出したが、ウィリアムに猟銃を取り上げられたはずみに、階段から落ち死亡。

ジェニファー

ジェニファー・パケット 少女。ジュニアの彼女。飲酒と薬をやって事故に起こした車に同乗して、事故で右腕が麻痺し顔にも傷が残った。事故車はジュニアが運転していたと言い張る。トラブルメーカーで親族から嫌われている。ジュニアを振り回したが実はジュニアを本気で愛していて、ジュニアがロシアンルーレットで亡くなった後、自分とケビンのどちらが原因だったかを確かめるために、金を強請ると仲間をだましてケビン誘拐を引き起こし、ケビンと自分とでロシアンルーレットをしようとした。銃撃戦で死亡。

D・Dの家族

エレ

エレ・トレーバー。D・Dの「母」であるが実際には祖母。D・Dからの呼び名は「お母ちゃん」。可哀想な子は放っておけない。どんなことに対しても相手に同情し受け入れる。

ピーター

ピーター・トレーバー。D・Dの「父」あるが実際には祖父。D・Dからの呼び名は「お父ちゃん」。農夫であり自宅に同居しているジムとともに農業を営む。

クリント

クリント・トレーバー。24歳。D・Dの「兄」であるが実際には伯父。D・Dからの呼び名は「兄貴」。双子の妹ジニーが妊娠し後に死亡したことが心の傷となり、残されたD・Dに対して厳しく躾ける。海洋調査会社に務め、実家からは離れて暮らしている。物語中盤でヘレン・カーターという女性と婚約。

ジニー

ジニー・トレーバー。ピーターとエレの娘でクリントの双子の妹。D・Dの実母。13歳でスティンの子を身ごもり、D.を出産。スティンに会うためにジョンソン家を尋ね、ウィリアムの母に罵倒されて、錯乱。D・Dを森の中で殺しかけ、川にはまって死亡。

トマスの家族

トマスの祖父

ジョセフ・リブナー。満月の夜に狼に変身する狼男。ただ、一般的なイメージの狼男とは違い、変身した際には完璧に狼の形状をとり4足歩行する。新月の日に友人宅を訪れた際にガス爆発事故に巻き込まれて死亡した(遺体は行方不明)。

トマスの父

アレックス・リブナー。父親(トマスの祖父)の死後、半月の夜に猪に変身するようになった。これも完璧に猪の形状をとり4足歩行するため、外見的には野生の猪と区別が着かない。川に落ちたD・Dを救い、さらわれたケビン救出中のD・Dの前にも現れ、混乱したD・Dが、瀕死のジェニファーに銃を撃つのを阻止する。

「狼男の物語」キャラクター

「狼男の物語」は『Sons』中においてD・Dが中盤〜終盤にかけて創作していくファンタジーの劇中劇である。『Sons』の進行に伴って受けるD・Dの心理が反映されて劇が展開しており、D・Dは『Sons』中における内包された作者としてSonsの物語を再構成している。

狼男

全編にわたってこの物語の主人公。いわゆる一般に想像されている狼男の風貌(2足歩行する狼顔+毛むくじゃらの獣人体)であるが、少女漫画的にかわいらしく描かれている。常時獣人体で、最初の設定では「好きな時に人間形態に戻れる」だったが、後に「満月のときだけ人間形態になる」に変更された。「狼男の物語」においてD.D.が自己を投影する自身の分身である。物語においてはトリックスター的な役割を担う。はじめは驚異的な身体能力をもって「一人でも生きていける」ことを象徴する役割であったが、案山子に難題を突き付けられ、アーニィに飼い慣らされ文明化した。最後には狼男の風貌を失い、人間の子供の形態でアーニィに手を引かれる。

アーニィ

海に沈められていた狼男をつり上げた富裕な資産家。禿にサングラスが特徴。狼男物語では文明側の象徴とも言え、狼男とともに暮らすことで彼を野生の世界から切り離して「飼い慣らした」。最後には現実社会の文明の体現者ウィリアムと同一視されるようになった。

案山子

狼男に「地球に帰る帰り方」を教えるかわりに「なぜおれはここに立ち続けなければならないのか」と問う、物語においてスフィンクス的援助者の役割を担う。「立ち続ける」ことは「前に進めない」ことの象徴である(参照:案山子)。物語後半で、D・Dの日記に書かれたジュニアの日記からジュニアに仮託されてその問いがD・Dの中で問い直されていたが、最後ではD・D自身の現状を象徴するものとして示された。

解説

舞台はアメリカであり物語記述者(ナレーター)は一部を除いて基本的にD・Dであるが、5人の息子(Sons)と1人の空想世界の物語が交差している。

一人目の息子(Son)は、D・D自身の物語である。望まれない子として産まれてきた自分が、本来は「祖父母-孫」の関係である父母の「息子」として生活するが、皆が存在を知っていながら口に出来ない実母の存在と、フォルナーの婆さんの死によって実父を明かされたことにより心理的バランスを崩し、家族の中での自分の位置に悩む様を描く。

二人目の息子(Son)は、トマスの物語である。狼男だった祖父が死に、父親がその死後狼男になったと信じて(実際には猪男になっていた)、狼男の「息子」として将来自分も狼男になれると自尊心を築く話であり、ムーン・ライティングにおける主人公トマスの性格の基盤形成を描く。

三人目と四人目の息子(Sons)は、ウィリアムの「息子」達の物語である。文明社会における絶対的な勝利者であるウィリアムに認められようとするケビンと絶対的な存在から逃れようとするジュニアが、その努力ゆえに逆に泥沼にはまってしまい周囲を問題に巻き込んでしまう過程と結果(ジュニアの拳銃自殺とケビンの誘拐)を描く。この物語に対してD.D.は前半では傍観者としての立場をとり、後半では事件に巻き込まれることで直接的に心理的影響を受ける。

五人目の息子(Son)は、ウィリアムの物語である。自分の「息子」達との軋轢とともに、資本主義社会の失敗者であった父の「息子」として、父親が異なる弟が資産家の養子になったことへの対抗心から、経済的成功を目論んで行動する。

また、心理バランスを崩したD・Dが自己を補完するものとして空想する「狼男」の物語が、同時進行している物語がD・Dに与えている心理的影響を反映したファンタジーになっている。野生の世界では王者である狼男が、案山子の「なぜわたしは立ち続けていなければならないのか」という問いに答えるために孤軍奮闘するが答えがでず、はまっていたところをアーニィという男に助けられて、彼に飼い慣らされてしまう過程を描く。

更にD・Dの父親であるスティン(クリス(ジャスティン・ジョンソン)改名してクリス(クリストファー・ロンバート)も、義理の父親からは嫌われ、生育環境から切り離され実父親に逃げ出さないよう監禁されて育てられた息子(Son)としての物語がある。

変身について

トマスの父方の家族はなどに変身する狼男の系譜である。このことはD・Dに「狼男の物語」を空想させる動機の一つであり、かつ猪男に変身したトマスの父は各所で活躍するが、『Sons』作中ではトマスの空想として大部分の登場人物に扱われており、本編は狼男が活躍するファンタジーというよりも現実に直面することによっD・Dなどが成長するビルドゥングスロマンとしての色彩の方が強い。『Sons』も含む『ムーン・ライティング・シリーズ』における狼男の設定はムーン・ライティングの解説を参照。

書誌情報

舞台化

2001年10月 劇団Studio Life公演

2001年10月3日~14日 18公演 会場:シアターサンモール [7]

脚注

  1. ^ 三原順『Sons』第6巻、白泉社、1990年6月初版、表紙カバー裏
  2. ^ 三原順『Sons』第3巻、白泉社、1988年3月、表紙カバー裏
  3. ^ 三原順『Sons』第7巻 白泉社 1990年12月、表紙カバー裏
  4. ^白泉社文庫 三原順特設ページ PROFILE 三原順紹介より”. 白泉社. 2025年11月21日閲覧。
  5. ^ 三原順『Sons』第7巻 白泉社 1990年12月、ご挨拶 169頁
  6. ^ 三原順『ムーン・ライティング2』 あとがき 白泉社 1986年5月 ISBN 978-4592130871
  7. ^ スタジオライフ 「Sons」

外部リンク