読み方:たんじぇんと《原義は、…に接触している、…に接する、の意》三角比・三角関数の一のこと。Weblio国語辞典では「tangent」の意味や使い方、用例、類似表現などを解説しています。">

「tangent」の意味や使い方 わかりやすく解説 Weblio辞書 (original) (raw)

三角関数(さんかくかんすう、: trigonometric function)とは、平面三角法における、角度の大きさと線分の長さの関係を記述する関数、およびそれらを拡張して得られる関数の総称である。鋭角を扱う場合、三角関数の値は対応する直角三角形の二辺の長さの比(三角比)である。三角法に由来する三角関数という呼び名のほかに、単位円を用いた定義に由来する円関数(えんかんすう、circular function)という呼び名がある。

単位円による、6つの三角関数が表す長さ。


正弦 sin 余弦 cos
正接 tan 余接 cot
正割 sec 余割 csc (cosec)

三角関数には以下の6つがある[1]。なお、正弦、余弦、正接の3つのみを指して三角関数と呼ぶ場合もある。

特にsin, cos は幾何学的にも解析学的にも良い性質をもっている[_要追加記述_]ので、様々な分野で用いられる。例えば、信号などは正弦関数と余弦関数とを組み合わせて表現することができる。この事実はフーリエ級数およびフーリエ変換の理論として知られ、音声などの信号の合成や解析の手段として利用されている。ベクトルクロス積内積は正弦関数および余弦関数を用いて表すことができ、ベクトルを図形に対応づけることができる。初等的には、三角関数は実数変数とする1変数関数として定義される。三角関数の変数に対応するものとしては、図形のなす角度や、物体の回転角、波や信号のような周期的なものにおける位相などが挙げられる。

三角関数に用いられる独特な記法として、三角関数の冪乗と逆関数に関するものがある。通常、関数 f(x) の累乗は (f(x))2 = f(x)・f(x) や (f(x))−1 = 1/f(x) のように書くが、三角関数の累乗は sin2_x_ のように書かれることが多い。逆三角関数については通常の記法 (f_−1(x)) と同じく、sin−1_x などと表す(この文脈では、三角関数の逆数は分数を用いて 1/sin x または (sin x)−1 のように表される)。文献または著者によっては、通常の記法と三角関数に対する特殊な記法との混同を避けるため、三角関数の累乗を通常の関数と同様にすることがある。また、三角関数の逆関数として −1 を添え字にする代わりに関数の頭に arc を付けることがある(たとえば sin の逆関数として sin−1 の代わりに arcsin を用いる。Arc を付けて Arcsin と表すこともある)。

三角関数に似た性質をもつ関数として、指数関数双曲線関数ベッセル関数などがある。また、三角関数を利用して定義される関数としてしばしば応用されるものにsinc関数がある。

定義

直角三角形によるもの

∠C を直角とする直角三角形ABC
斜辺AB = h (hypotenuse)
対辺BC = a (opposite side)
底辺AC = b (adjacent side、隣辺)

直角三角形において、1 つの鋭角の大きさが決まれば、三角形内角の和は 180°であることから他の 1 つの鋭角の大きさも決まり、3 辺の比も決まる。ゆえに、角度に対して辺比(三角比)の値を与える関数を考えることができる。

∠C を直角とする直角三角形 ABC において、斜辺AB、∠A の対辺BC、底辺(隣辺)CA の辺の長さをそれぞれ AB = h, BC = a, CA = b と表す(図を参照)。∠A = θ に対して三角形の辺の比 h : a : b が決まることから、

sin ⁡ θ = a h cos ⁡ θ = b h tan ⁡ θ = a b = sin ⁡ θ cos ⁡ θ sec ⁡ θ = h b = 1 cos ⁡ θ cosec ⁡ θ = csc ⁡ θ = h a = 1 sin ⁡ θ cot ⁡ θ = b a = 1 tan ⁡ θ {\displaystyle {\begin{aligned}\sin \theta &={\frac {a}{h}}\\\cos \theta &={\frac {b}{h}}\\\tan \theta &={\frac {a}{b}}={\frac {\sin \theta }{\cos \theta }}\\\sec \theta &={\frac {h}{b}}={\frac {1}{\cos \theta }}\\\operatorname {cosec} \theta &=\csc \theta ={\frac {h}{a}}={\frac {1}{\sin \theta }}\\\cot \theta &={\frac {b}{a}}={\frac {1}{\tan \theta }}\end{aligned}}}

6種類の三角関数、単位円、θ = 0.7ラジアンの角度に対する直線の図。直線の色が変わる点3点を考えたとき、1、Sec(θ)、Csc(θ)については原点から各点への線分の長さを表し、Sin(θ)、Tan(θ)、1 は各点のy成分を表す。Cos(θ)、1、Cot(θ)は各点の x 成分を表す。

2 次元ユークリッド空間 R2 における単位円 {x(t)}2 + {y(t)}2 = 1 上の点を A = (x(t), y(t)) とする。反時計回りを正の向きとして、原点と円周を結ぶ線分 OA と x 軸のなす角の大きさ ∠_x_OA を媒介変数 t として選ぶ。このとき実数の変数 t に対する三角関数は以下のように定義される。

sin ⁡ t = y cos ⁡ t = x tan ⁡ t = y x = sin ⁡ t cos ⁡ t {\displaystyle {\begin{aligned}\sin t&=y\\\cos t&=x\\\tan t&={\frac {y}{x}}={\frac {\sin t}{\cos t}}\end{aligned}}}

正円より得られる cos_θ_ と sin_θ_

sin_x_ と cos_x_ のグラフ。これらの関数の周期性が確認できる。

x 軸の正の部分となす角は

t = θ + 2 π n ( 0 ≤ θ < 2 π , n ∈ Z ) {\displaystyle t=\theta +2\pi n\quad (0\leq \theta <2\pi ,\,n\in \mathbb {Z} )}

三角関数のグラフ: Sine(青実線)、 Cosine(緑実線)、 Tangent(赤実線)、 Cosecant(青点線)、 Secant(緑点線)、 Cotangent(赤点線)

相互関係

単位円上の点の座標の関数であることから、三角関数の間には多数の相互関係が存在する。

基本相互関係

三角関数の間に成り立つ最も基本的な恒等式の 1 つとして

sin 2 ⁡ θ + cos 2 ⁡ θ = 1 {\displaystyle \sin ^{2}\theta +\cos ^{2}\theta =1}

PQ(緑の線分の長さ)を求める。

また、ピタゴラスの定理から加法定理を示す方法が挙げられる。この方法では、円周上の任意の 2 点間の距離を 2 通りの座標系について求めることで、両者が等しいことから加法定理を導く。2 点間の距離を求めるのに三平方の定理を用いる。以下では単位円のみを取り扱うが、円の半径によらずこの方法から加法定理を得ることができる。

単位円の周上に 2 点 P = (cos_p_, sin_p_), Q = (cos_q_, sin_q_) を取る。P と Q を結ぶ線分の長さを PQ として、その 2 乗 PQ2 を 2 通りの方法で求めることを考える(右図も参照)。

P と Q の x 座標の差と y 座標の差から、三平方の定理を用いて PQ2 を求める。

P Q 2 = ( cos ⁡ p − cos ⁡ q ) 2 + ( sin ⁡ p − sin ⁡ q ) 2 = ( cos 2 ⁡ p + sin 2 ⁡ p ) + ( cos 2 ⁡ q + sin 2 ⁡ q ) − 2 ( cos ⁡ p cos ⁡ q + sin ⁡ p sin ⁡ q ) = 2 − 2 ( cos ⁡ p cos ⁡ q + sin ⁡ p sin ⁡ q ) . {\displaystyle {\begin{aligned}\mathrm {PQ} ^{2}&=\left(\cos p-\cos q\right)^{2}+\left(\sin p-\sin q\right)^{2}\\&=\left(\cos ^{2}p+\sin ^{2}p\right)+\left(\cos ^{2}q+\sin ^{2}q\right)-2\left(\cos p\cos q+\sin p\sin q\right)\\&=2-2\left(\cos p\cos q+\sin p\sin q\right).\end{aligned}}}

cos(x + iy) の実部のグラフ

球面三角法

球面の三角形 ABC の内角を a, b, c, 各頂点の対辺に関する球の中心角を α, β, γ とするとき、次のような関係が成立する。余弦公式や正弦余弦公式は式の対称性により各記号を入れ替えたものも成立する。

正弦公式

sin_a_ : sin_b_ : sin_c_ = sin_α_ : sin_β_ : sin_γ_

余弦公式

cos_a_ = −cos_b_ cos_c_ + sin_b_ sin_c_ cos_α_

余弦公式

cos_α_ = cos_β_ cos_γ_ + sin_β_ sinγ cos_a_

正弦余弦公式

sin_a_ cos_β_ = cos_b_ sin_c_ − sin_b_ cos_c_ cos_α_

語源

三角関数の英語の名称の語源について記す。

sineはもとはchord-half(半弦)を意味するサンスクリット jya ̄-ardha起源であり、省略形ji ̄va ̄がアラビア語に音訳されてjibaとなった。だが1145年にチェスターのロバートフワーリズミーのヒサーブ・アル=ジャブル・ワル=ムカーバラ(英語版)をラテン語に翻訳する際に、jaibと混同した事で胸、湾の意味のsinusと翻訳された[18][19]

tangentは”touching”を意味するラテン語tangens由来で、secantは”cutting”を意味するラテン語secans由来である[20]

cosine、cotangent、cosecantはそれぞれ接頭辞のco-がついた形であり、co-はcofunction(英語版)と共通し、これはcompliment angle(英語版)(直角三角形直角でないもう一つの角、余角)に対するsine、tangent、secantという意味である。cosine、cotangentが初めて書かれた形で確認されるのは1620年のエドマンド・ガンターによる”Canon triangulorum”の中である。ラテン語のcosinusとして登場し、これはsinus complementiの略である[21]

日本語の正弦、余弦に関しては、徐光啓らが編纂した『崇禎暦書』の中で、羅雅谷(英語版)が1631年に著した『測量全義』の八線のうちに見られる[22][23]。「正」の漢字には、「真向かいの」「主となるもの」という意味がある[24]

脚注

注釈

  1. ^ 三角関数、円周率、曲線の長さ等の定義の仕方は、複数の流儀がある。

出典

  1. ^ Бронштейн, Илья Николаевич、Семендяев, Константин Адольфович『Справочник по математике [数学ハンドブック]』矢野健太郎(監修)、宮本敏雄(訳編)、森北出版、1985年11月、83–85頁。ISBN 978-4-627-05080-8
  2. ^ a b 山口格「三角関数の研究」『教授学の探究』第7号、北海道大学教育学部教育方法学研究室、1989年3月、1–23頁、ISSN 0288-3511NAID 120000962860
  3. ^ 内藤, 久資 (1999年). “1999年度後期「Fourier 変換とその応用 "403 Forbidden"” (PDF). 2014年10月17日閲覧。[_リンク切れ_]
  4. ^ 黒田成俊 2002, pp. 176–183.
  5. ^ 高木貞治 2010, pp. 202–206.
  6. ^ 小平邦彦 2003, pp. 95–105.
  7. ^ 幡谷泰史; 廣澤史彦. “三角関数と円周率” (PDF). 2023年9月20日閲覧。
  8. ^ 瓜生, 等. “三角関数のさまざまな定義” (PDF). 2014年10月8日閲覧。[_リンク切れ_]
  9. ^ Leff, Lawrence S. (2005). PreCalculus the Easy Way (7th ed.). Barron's Educational Series. p. 296. ISBN 0-7641-2892-2. https://books.google.co.jp/books?id=y_7yrqrHTb4C&pg=PA296&redir_esc=y&hl=ja
  10. ^面積による不等式からの証明”. 2015年1月20日閲覧。
  11. ^曲線の長さによる不等式からの証明” (PDF). p. 1. 2015年1月20日閲覧。
  12. ^ 新関章三(元高知大学),矢野 忠(元愛媛大学). “数学・物理通信” (PDF). 2015年1月21日閲覧。
  13. ^ 大矢雅則岡部恒治 ほか13名『新編 数学Ⅲ』(改訂版)数研出版株式会社、2010年1月10日、53頁。ISBN 978-4-410-80166-2NCID BA89906770OCLC 676686067
  14. ^ 飯高茂、松本幸夫 ほか22名『数学Ⅲ』東京書籍株式会社、2008年2月10日、49頁。ISBN 4-487-15513-4NCID BA71854010OCLC 76931848。 ほか
  15. ^ 川中宣明. “循環論法で証明になっていない” (PDF). p. 1. 2015年1月18日閲覧。
  16. ^ 杉浦光夫 1980, p. 175.
  17. ^ 杉浦光夫 1980, pp. 175–185.
  18. ^ Victor J. Katz (2008), A History of Mathematics, Boston: Addison-Wesley, 3rd. ed., p. 253, sidebar 8.1. “Archived copy”. 2015年4月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年12月22日閲覧。
  19. ^The Etymology of “Sine””. Bill Cherowitzo's Home Page, Mathematical Department, University of Colorado at Denver. 2020年12月22日閲覧。
  20. ^ New Oxford American Dictionary
  21. ^ Roegel, Deni (2010). A reconstruction of Gunter's Canon triangulorum (1620). https://inria.hal.science/inria-00543938/document.
  22. ^ 杜石然「イエズス会士と西洋数学の伝入」『中国言語文化研究』第1巻、佛教大学中国言語文化研究会、2001年7月、1–22頁、CRID 1050287838661758848ISSN 1346-6305NAID 110007974156
  23. ^ 伊達文治「三角法と対数の教材に関する史的考察」『上越教育大学数学研究』第30巻、上越教育大学数学教室、2015年3月、13–22頁、CRID 1050845763704678656hdl:10513/00006983NAID 120005703229
  24. ^ 角川新字源 改訂版 角川学芸出版

参考文献

関連項目

外部リンク