過疎地への配水はタンク車で…老朽化した水道管の維持難しく厚労省が指針 (original) (raw)

人口減が続く過疎地への新たな配水手法として、厚生労働省がタンク車で運ぶ「運搬送水」の指針をとりまとめたことがわかった。運搬送水は水道管や施設の維持、改修が不要で費用が安くすむ。2029年までに全国で400超の小規模集落が消滅する可能性があり、厚労省はこうした地域での導入を想定している。

全国の上水道事業は、自治体など約1300事業者が運営している。人口減少の影響で、20年の全国の水道料収入は2兆2000億円と、ピークだった01年から1割減った。給水人口が5000人以下の小規模な簡易水道事業者は、人口の減少率が高く、さらに厳しい経営を強いられている。

一方、高度経済成長期に整備された水道管や施設は老朽化が進む。改修費には年間1兆3000億円が投じられ、上水道事業者の4割超が赤字だ。小規模な自治体ほど水道料収入は少なく、改修費の負担は重い。

日本水道協会(東京)によると、タンク車での運搬にかかる費用や住民が使用する水量を考慮すると、運搬送水は数十人規模の集落に適しているという。すでに宮崎県や静岡県の小規模集落で導入されている。

総務省が19年に行った全国の自治体への調査では、過疎地域のうち「10年以内に消滅する可能性がある」のは454集落に上り、ほとんどは住民が25人に満たない。地域別で最多は四国の162か所。東北、中国、九州でも50か所を超える。

4395771 0 社会 2023/07/29 15:00:00 2023/07/29 15:00:00 2023/07/29 15:00:00 /media/2023/07/20230729-OYT1I50096-T.jpg?type=thumbnail