中国京劇雑記帳 (original) (raw)
勇姿にまみえた歓喜のあまり
高齢をものともせず踊る足並み
老生の名優・周信芳の代表作
《徐策跑城》
周信芳(当時66歳)1961年の資料映像
麒派を受け継ぐ陳少雲(当時43歳)1991年の資料映像
あらすじ
唐代。軍人・薛仁貴の子・薛丁山は、奸臣に陥れられて一族が処刑される。薛家に同情した徐策は自分の子を身代わりにして薛猛の子・薛蛟を救い育てる。
薛丁山の三男・薛剛は逃れて妻の紀鸞英とともに仇を討つため人馬を集めて首都・長安に迫る。知らせを聞いた徐策は歓喜のあまり高齢にも関わらず楼閣に上ってその様子を眺める。
薛家の冤罪を晴らして奸臣を処罰するよう求めて、徐策は馬にも輿にも乗らず急いで朝廷に赴き上奏する。
歓喜に心躍る姿
徐策 老生
薛剛 浄
薛蛟 小生
薛葵 副浄
紀鸞英 旦
韓龍 武生
韓虎 武生
ポイント
徐策の嬉しい感情の高ぶりと興奮を「高抜子」の節回しにのせて繰り出される巧みな動きがみどころ。
データ
小説《薛剛反唐》の一折。
王鴻寿(1850-1925)が1877年に初演。京劇に移植されて連台本戯(続きものの芝居)のひとつとして周信芳が1918年に演じる。絶えず改良を重ねて麒派(周信芳の幼いころの芸名:麒麟童)の代表作となる。
麒派の味わい
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