日本アカデミー賞【歴代】受賞・ノミネート一覧(おかしい) (original) (raw)

日本アカデミー賞(日アカ)の歴代の一覧です。受賞とノミネートの全リスト。そして、「おかしい」理由。

日アカがおかしい理由▼

■ 2025年の予想

部門 受賞予想 候補
作品賞 「キングダム 大将軍の帰還」 候補▼
主演男優賞 役所広司 「八犬伝(はっけんでん)」 候補▼
主演女優賞 河合優実(ゆうみ) 「あんのこと」 候補▼
助演男優賞 大沢たかお 「キングダム 大将軍の帰還」 候補▼
助演女優賞 清野菜名(せいの・なな) 「キングダム 大将軍の帰還」 候補▼
監督賞 佐藤信介 「キングダム 大将軍の帰還」 候補▼
脚本賞 「悪は存在しない」 候補▼
新人賞 中西希亜良(きあら) 「ぼくのお日さま」 候補▼
アニメ賞 「ハイキュー ゴミ捨て場の決戦」 ※「ルックバック」は選考対象外 候補▼
音楽賞 「夜明けのすべて」 候補▼
撮影賞 「キングダム 大将軍の帰還」 候補▼
照明賞 「キングダム 大将軍の帰還」 候補▼
録音賞 「キングダム 大将軍の帰還」 候補▼
美術賞 「キングダム 大将軍の帰還」 候補▼
編集賞 「キングダム 大将軍の帰還」 候補▼
外国作品賞 「オッペンハイマー」 候補▼

【2025年】のページはこちら==>>

■ 歴代の受賞作

作品賞 詳細
2024 「ゴジラ-1.0」 詳細→
2023 「ある男」 詳細→
2022 「ドライブ・マイ・カー」 詳細→
2021 「ミッドナイトスワン」 詳細→
2020 「新聞記者」 詳細▼
2019 「万引き家族」 詳細▼
2018 「三度目の殺人」 詳細▼
2017 「シン・ゴジラ」 詳細▼
2016 「海街diary」 詳細▼
2015 「永遠の0(ゼロ)」 詳細▼
2014 「舟を編む」 詳細▼
2013 「桐島、部活やめるってよ」 詳細▼
2012 「八日目の蝉(セミ)」 詳細▼
2011 「告白」 詳細▼
2010 「沈まぬ太陽」 詳細▼
2009 「おくりびと」 詳細▼
2008 「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」 詳細▼
2007 「フラガール」 詳細▼
2006 「ALWAYS 三丁目の夕日」 詳細▼
2005 「半落ち」 詳細▼
2004 「壬生義士伝(みぶぎしでん)」 詳細▼
2003 「たそがれ清兵衛」 詳細▼
2002 「千と千尋の神隠し」 詳細▼
2001 「雨あがる」 詳細▼
2000 「鉄道員(ぽっぽや)」 詳細▼
1990年代 詳細▼
1980年代 詳細▼
1970年代 詳細▼

受賞&ノミネート一覧(歴代)へ▼

日本アカデミー賞とは

松竹・東映・東宝の宣伝イベント

日本アカデミー賞(ニチアカ)は、 映画賞というよりは、大手映画会社の宣伝イベントという側面が強いです。 毎年、ノミネート及び受賞作が、東映、松竹、東宝の3社の配給作品に偏っています。

特にノミネートがおかしい

特におかしいのは、ノミネートの選考です。その偏重ぶりは、以下の表の通り、日アカより遥(はる)かに伝統や信頼性のある「毎日映画コンクール」と比べると一目瞭然です。

<ノミネートに占める松竹,東映,東宝の比率>■ 2024年

配給会社 日本アカデミー賞 毎日映画コンクール
松竹 32.8% 0%
東映 8.2% 15.7%
東宝 45.2% 31.4%
3社合計 86.3% 47.1%

※注記:外国映画賞とアニメ賞は除外。東映は東映ビデオを含む

■ 2023年

配給会社 日本アカデミー賞 毎日映画コンクール
松竹 45.3% 16%
東宝 22.6% 1.3%
東映 13.3% 2.6%
3社合計 81.3% 20%

※注記:外国映画賞とアニメ賞は除外

2022年

日本アカデミー賞 毎日映画コンクール
松竹作品の割合 32.8% 8.8%
東映作品の割合 30.1% 5.8%

※注記:外国映画賞とアニメ賞は除外。

2021年

日本アカデミー賞 毎日映画コンクール
松竹作品の割合 36.8% 4.9%
東宝作品の割合 39.4% 8.6%

※注記:外国映画賞は除外。毎日コンのアニメ賞は短編を除外。

「ノミネート」を「受賞」と呼ぶ

日アカでは、ノミネート(候補)をいきなり「優秀賞」と称しています。 毎年、公共の電波(日本テレビ系)を使って中継される授賞式などにおいて、 ノミネート作を「優秀賞受賞作」として紹介。 膨大な宣伝効果を得ています。

他の賞を総ナメの俳優が、日アカだけ外される

俳優部門での偏りも著しいです。俳優部門は世間の注目度が高いことから、大手による組織活動が激しく展開されていると見られ、不可解なノミネート選出が続出しています。 他の映画賞レースで圧勝している女優・男優が日アカだけノミネートされないという事態もよく起きます。そのかわりにノミネートされるのは、おおむね大手3社(松竹、東映、東宝)が配給する作品の出演者です。

■ 賞レースを独走していた俳優が日アカノミネートから排除された事例:

2024年 二階堂ふみ(月)
・2023年 沢田研二(土を喰らう十二ヵ月)
2022年 尾野真千子(茜色に焼かれる)
2021年 水川あさみ(喜劇 愛妻物語)
2020年 池松壮亮(宮本から君へ)

誰が選ぶ?

「企業」が投票の主体

日本アカデミー賞では、投票者の約8割が「組織人」です。 大手映画会社の役員・会社員が中心になっています。 つまり、所属する組織の意向に左右されやすい立場です。 一方、本家の米国アカデミー賞では投票者の9割以上が監督や俳優などの独立した「映画人」です。

<投票権者の内訳(個人対組織)>

映画人(監督、俳優、脚本家などの個人) 組織人(映画会社の社員など)
日本アカデミー賞 2割 8割
アカデミー賞 9割 1割

大手4社の比率が高い

日アカの投票メンバーの大半を占める「組織人」のうち、最も多い勢力が大手配給4社(松竹、東宝、東映、KADOKAWA)です。日本アカデミー賞協会の会員3950人のうち、大手4社の社員は1174人を占めています。会員の内訳↓)。

多数の子会社が「賛助法人」に

このほかに「賛助法人」と呼ばれる企業の人間が1671人いますが、この賛助法人には松竹、東宝、東映の子会社が多数入っています。松竹グループだけでも「松竹衣装」「松竹映像センター」「松竹音楽出版」「松竹芸能」「松竹サービスネットワーク」「松竹撮影所」「松竹ナビ」「松竹ブロードキャスティング」「松竹マルチプレックスシアターズ」「BS松竹東急」が名をつらねています。(賛助法人の一覧→)。 子会社を含めれば、松竹、東宝、東映ら大手の影響力は極めて大きいと言えるでしょう。
まさに北野武監督や女優・樹木希林(きき・きりん)さんが批判した「組織票」が生まれやすい構図になっています。

日本アカデミー賞協会員の所属別の内訳(2023年)

部門 人数(前年比)
松竹 305人(前年比-13人)※この他に子会社が多数
東映 251人(-4人)※この他に子会社が多数
東宝 263人(+9人)※この他に子会社が多数
賛助法人※東宝、東映、松竹の関連会社を含む一覧→ 1671人(-16人)
KADOKAWA 355人(+59人)
日活 43人(-2人)
フリースタッフ(協会役員が認めた者) 228人(-12人)
俳優/マネージャー(俳優が所属する事務所の代表者も含む) 103人(-6人)
監督 90人(-5人)
日本映画テレビ技術協会 50人(-5人)
脚本 63人(+1人)
撮影 48人(-5人)
プロデューサー 45人(-5人)
照明 44人(-3人)
編集 30人(+1人)
美術 31人(+2人)
録音 23人(-3人)
音楽 19人(+2人)
興連 7人
外国映画輸入配給協会 3人(-2人)
受賞者特別会員ほか 278人(+22人)
合計 3950人(+15人)

出典

米国の本家は「一流」のみが投票

本家の米国アカデミー賞では、長年にわたって功績を挙げた一流の人物(過去にノミネートされた人も含む)だけが投票の資格を得ることができます。

日アカは「社歴3年以上」で投票可に

これに対して、日アカは、一般会社員でも3年以上にわたって映画事業に携われば会員になることが可能です。 その結果として、サラリーマン比率が高くなっています。

俳優や監督が異常に少ない

職業別でみると、米アカデミー賞では俳優が最大の投票母体になっており、全体の14%(1,336人)を占めます(アカデミー賞の投票者の内訳→)。一方、日アカは「俳優」はわずか2.6%(103人)だけです。しかも、この俳優の枠には所属事務所の社長やマネージャー等も含まれます。 「監督」にいたっては日アカは90人しかいません。松竹(305人)の3分の1以下です。

<投票権のうち映画監督が占める割合>

日本アカデミー賞 アカデミー賞
2.3% 6%

参照

協会の会長は「東宝」、事務局長は「東映」

主催団体(日本アカデミー賞協会)の役員も、大手映画会社の幹部を中心に構成されています。 会長は、東宝の会長です。事務局長は、東映の役員です。
出典

「会費は会社が負担。投票用紙も会社が回収」との説も

日アカをめぐっては、「(アカデミー協会の)会費を(勤務先の)会社が負担し、投票用紙も会社が回収して勝手に投票する」との説も流れています。協会員だった映画監督・荻野欣士郎(おぎの・きんしろう)氏が、松竹の元社員から聞いた話として、組織ぐるみの不正行為をユーチューブ動画で証言しました(動画は2024年時点で削除済み)。この証言が事実であれば、企業としての法令順守(コンプライアンス)という観点からも、重大な問題だといえるでしょう。

そもそも映画を見ていない!?

そもそも、選考対象となる多数の映画を鑑賞する時間が、会社員にあるのか、という問題があります。 おそらく大半の会社員は、自分の会社の作品はともかく、インデペンデント系を含めた多数の映画を丁寧に観ている時間はないでしょう。

年明け早々に投票締め切り

しかも、年末までに公開された作品を対象にしていながら、年明け早々には投票が締め切られるという超タイトなスケジュールが組まれています。

本家は各分野の専門家がノミネート選出

さらに、本家アカデミー賞と決定的に異なるのが、ノミネート選考のプロセスです。 米アカデミー賞では、作品賞以外は、それぞれの専門分野の会員だけが投票します。 たとえば監督賞ノミネートを選ぶのは、映画監督だけです。 脚本賞では脚本家だけが投票します。

技術部門の選考

そのほか 撮影賞、音楽賞、美術賞、録音賞などの技術部門でも、 やはり各々の専門家が選考します。 その理由は、膨大な作品の中でどれが技術的見地から優れているのか、専門知識がなければ判断ができないからです。

専門分野もサラリーマンが選ぶ!

一方、日アカではノミネート段階からすべての会員が全部門で投票します。 つまり、「録音」「美術」といった専門性の高い部門についても、専門性のないサラリーマンたちが選ぶのです。 こうした制度の結果として、大手企業の作品が技術部門の隅々に至るまでノミネート枠(優秀賞枠)の占拠するという状況が続いています。

「最多受賞!」と宣伝

専門的な技術系の部門でノミネート数を稼ぐことで、大手配給作品がその年の「最多ノミネート」になることが多いです。 上記の通り、日アカではノミネートを「優秀賞受賞」と称していることから、 ノミネート段階で早々に自社作品を「本年度最多受賞!」「●部門受賞!」などと称する宣伝をスタートさせることができるのです。

価値が低い

以上の理由から、日本アカデミー賞は、映画賞としての価値が非常に低いといえます。

日本を代表する映画賞は「キネ旬ベスト」

日本の映画賞としては、「キネマ旬報(じゅんぽう)ベストテン」などのほうが公平・中立で、賞としての価値がはるかに高いという評価が定着しています。歴史も長いです。

<信頼度や透明性の高い日本の映画賞>

賞の名前 詳細
キネマ旬報ベストテン 詳細→
毎日映画コンクール 詳細→

日アカとアカデミー賞は関係がない

なお、日本アカデミー賞は、アメリカの本物のアカデミー賞とは関係がありません。 「アカデミー賞」という名前を使わせてもらっているだけで、主催団体も全く異なります。(アワード・ウォッチ)