辻村深月『サクラ咲く』を読む (original) (raw)

辻村深月作品。3篇の短編が収録されてる。中学・高校生が主役の本だから80歳の自分が読んでいいのかと思いつつ読み続けたがどうしてどうして・・・。最後に記載されてる解説がなんと日ごろ読んでいる作家あさのあつこさんだった。あまり解説を読まないのだがやっぱり作家というのは違うなあと感心する。「サクラ咲く」もいいが「世界で一番美しい宝石」もいい。十代でこの本に出合えた人はなんと幸せなことかとあさのあつこさんは言う。80歳でも出会えたことは幸せです。

『サクラ咲く』

「約束の場所・約束の時間」は中学校に菊池悠が武宮のクラスに転校してくる。悠は未来からタイムスリップで療養に来た子だった。まだ発売されてないドラクエ9を持っていてその不思議を問いただすと未来からきたという秘密を陸上部の部長の砂原美晴と三人で共有することに。隠したドラクエをとりに遺跡場にいって朋彦が足場の崩れで重体に。悠はタイムスリップを使って・・・・。

「サクラ咲く」は塚原マチは本好きだがはっきりものを言えない性格だった。図書室で借りた本の中に便箋に「サクラチル」と。誰だろうと思いつつ自分も本に挟んで文通のようなことが。同じクラスの長期欠席者の高坂紙音という子のものだった。紙音は歌の上手い子だったが音楽で集まる学校を受験して失敗して心が・・・。マチたちの心が紙音を動かして・・・。

「世界で一番美しい宝石」は映画を作りたいという高校生3人が同好会を作った。主役にしたいと立花という可愛い子に目をつけて口説くのだが・・。その子は本が好きで図書室の君と呼ばれる噂の子。「神様に世界で一番美しい宝石をつくる職人にしてやるがそのかわりにすべてを失うがどうする」という小さいころに読んだ本の結末を知りたいからその本を探したら主役をやると言われて・・・。立花はかって演劇で主役で喝采を浴びたのだがその後心ない周りの子が心を壊して好きな読書に戻っていたのだ・・。

(作家あさのあつこはいう。深月は人の生の根源を問い続けてきた作家だと。)

☆☆☆