ガッチャード感想 (original) (raw)

今年も1年終わりました。仮面ライダーガッチャードの感想をつらつらと書いていきます。

・爽やかさに溢れた1年間

これほど爽やかな仮面ライダーは平成でもなかなかなかったのではないかと思う。

ひたっすら「ガッチャを探す」「俺の信じるケミー/友情を信じてくれ!」と筋がバキバキに通りまくってる宝太郎が全く闇堕ちせずに走り切ってくれたことが大きいんじゃないだろうか。

先生とスパナは闇落ちしたけど、ともかく宝太郎がブレない。それだけで全体が爽やかにまとまるってのはすごい発見だったと思う。

主人公の心の揺れは仮面ライダーにおいて重要なコンセプトだと思っている。敵が完全な悪ではなかったりとか自分の信じていたものが揺らいだりする中で、本当に戦う理由を見つけていくのはストーリーの組み立てもしやすいしドラマも作りやすい。

もちろん先生が闇落ちしかけたりスパナが真っ黒になったりはしたけど、それでも宝太郎はぶれなかった。悩んだり戦ったり苦しんだりはしたんだと思うけど、徹頭徹尾爽やかに己を貫いていったように思う。

なんとなくセイバーでも同様の感じはあったと思うんだけど、セイバーにはガッチャードのような爽やかさはない。この違いはなんだろう?

書いてて思ったのは、ケミーたちや学園の友人たちの存在なのかもしれない。
ホッパーワンを含めたケミーはともかく愛らしい存在だった。悪いケミーは存在せず、人間の心の闇に食われて怪人化してしまうわけで。

闇落ち回になっても、ホッパーワンやスチームライナーは宝太郎と共にいた。加治木は加治木だったし、先輩ズは常にサブを固めてくれていた。
セイバーの時にもサポーターはいたけど、ライダーではないサポーターがストーリーに彩りを与えてくれていたんじゃなかろうか。

・女性ライダーの描き方

だいぶ女性ライダーも見慣れてきたと思うけど、その描かれ方に変化が出てきたんじゃないかとりんねちゃんをを見て思いました。

これまでの女性ライダーはともかく強キャラって感じ(ex 鎧武、セイバー)

バイスのジャンヌ、ギーツのナーゴの2人は作品中に葛藤や成長が見られる描かれ方が始まり、今回のりんねちゃんも「父を追うだけのエリート→戦う理由や目指す理由を明確化した錬金術師」という成長をアトロポスとの絡みの中で描いていた。

それだけ女性がライダーになることが受け入れられてきたんじゃないかと思う。個人的には全然ありなんで、早く女性主役のライダーシリーズを出して欲しいっす。

・冥黒の3姉妹というキープレイヤー

グリオンという完膚なきまでの悪いやつは置いときます。自分の子供を愛せないやつは悪いやつだ!!!

その娘たちという設定である冥刻の3姉妹ですが、ガッチャードというストーリーを回すために大変重要なポジションを担って1年頑張ってくれました。

3姉妹という人形はグリオンの操り人形/ホムンクルスだった。それが宝太郎たちと出会い絡むことによって「関係性」を求める存在に変わっていった。アトロポスは”父とのつながり”を求め、ラケシスは”恋”を求め、クロトーは”家族の絆”を求めた。

この3姉妹を見て「人間とは社会的な動物」という格言を思い出しました。この3人がマジェード・ヴァルバラドの成長に大きく関わってくれたことも踏まえて、人間ドラマを生み出すアクセントとして大活躍したことは間違いないと思います。

・グリオンという悪
ここ数作で目立つのは、敵役は明らかにヘイトを向けられる存在になっている気がします。
本作のラスボスであるグリオンは久々に”悪!”って感じでした。マジで悪いやつだこいつ。

ゼロワンあたりまでみられていた「悪はもう一方の正義」というような複雑性は最近の世相に合わないのかなぁ。

ガッチャードは冥黒の3姉妹がドラマの深みを演出し、グリオンは悪いやつ!という構図だったので、まぁこれはこれでドラマの構成としてアリですね。

・総括

爽やかさ・学園ドラマ感を感じながら仮面ライダーを楽しめる作品でした。「仮面ライダー見るならどれからがいい?」と言われた時、自分はこれまで「ダブル・フォーゼかなぁ」ということが多かったです。これからはそこにガッチャードを入れていこうと思います。
1年間お疲れ様でした!