残るは山内、玉吸い芸 (original) (raw)
BPO(放送倫理・番組向上機構)の青少年委員会が、「痛みを伴うことを笑いの対象にするバラエティー番組」について審議に入ることを公表した。
理由は「いじめを助長する」「不快だ」という声がBPOに届いているからだそうだ。
今まで以上にテレビのバラエティ番組に規制がかかれば、当然テレビのバラエティはつまらなくなり、テレビ離れが加速する。
今後、テレビのバラエティ番組はどうなるのだろうか。
僕は昨年から今年にかけて、『ロンドンハーツ』(日本テレビ系)がかまいたちの山内健司にやらせた”掃除機で自らキンタマを吸わせる”という扱いがカギを握っているとみている。
ちなみにテレビのバラエティ番組で”痛みを伴う笑い””芸人が痛がる様子を笑うような内容”というのはどういうものだろうか?
わかりやすいのは『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで』(日本テレビ系)が毎年年末に放送している「笑ってはいけないシリーズ」。お尻をバット状のもので叩かれるヤツだ。
それ以外にも足つぼ、電流ビリビリ、熱々おでん、鼻ザリガニなども対象になるだろうし、わさび寿司ルーレットや激辛料理、罰ゲームの苦いお茶、酸っぱい水なども入るかもしれない。
さらに精神的な苦痛まで入れたら「どっきり」のほとんどは問題になる。TBSの「モニタリング」やフジテレビの「ドッキリGP」などは軒並みアウト、「アメトーーク」の芸人体当たり企画などもモロにアウトなので、リアクション芸人たちはテレビでの居場所を失うことになるし、最近増えた体を張るアイドル達も別の形でアピールをしなくてはならなくなった。もしかしたら「おもしろ動画」系なんかも人が失敗して痛みを伴うものはアウトかもしれないし、大物芸人による”無茶ぶり”もパワハラなんて言われるかもしれない。
「人が痛がったり、嫌がったり、ドロドロになったりしているところを見て笑うなんて悪趣味、下品、低俗」という人がそれなりにいることはわかっている。ただそれがいじめの助長につながるというのは根拠がないし、何より多くの人は低俗でくだらないことが好きだ。無理やり上品なものだけに囲まれるとその反動が起こって逆に残虐な行為に至る恐れもあると思うのだが・・・。
それにテレビのバラエティを規制したところで、ネットの動画がそのままなら”いじめ”うんぬんの話は意味がなくなる。若い人ほどテレビ離れをしているのだし、Youtuberのいたずら動画、罰ゲーム、痛みを伴う実験動画を観て学校でマネする奴はもう出てきているのではないか?
どこまで本当かわからないが、海外では見知らぬ通行人の顔にパイを投げつけて逃げまくるとか、お色気どっきり動画とか、おそろしいほど低俗なものが多い。それを普通に日本で観ることもできる時代なのに、テレビのバラエティ番組だけ規制が強化されるのもねぇ。
ちなみに「痛みを伴うことを笑いの対象にする」のではないのならBPOには引っかからないようなので、芸人が自ら志願し挑戦する形で、本人が苦痛を感じておらず、笑われてもいないのなら大丈夫かもしれない。
そこで思い出すのが『ロンハー』の山内健司の扱いだ。
かまいたちの山内さんは「本当はもっといじってほしいのに周りからは何故か勝手に優等生みたいに扱われてしまう。もっと掃除機で玉を吸われるとかされても僕は全然かまわない」というような発言をしたところ番組側は掃除機を用意。しかし司会の田村淳さんをはじめ、準レギュラーの有吉さん、ザキヤマさんは手を出さず。ひな壇の芸人仲間も手を出さなかったので、結局山内さんは自分で自分のキンタマを掃除機で吸わせるというシュールな画になった。結局山内さんは「自ら志願し」「本人が苦痛を感じておらず」「笑われてもいない」という規制内で収まることになった。
もっとも番組放送後、”セクハラ””下品”という別の苦情が殺到したためロンハーも山内さんもこのくだりは封印されることになったとのこと。
結局、下品で低俗などっきり企画やリアクション芸はネット/配信の世界へ。
テレビのバラエティはネタ見せ番組が主流になるということか。まあ、実際ネタ見せ番組が増えたもんな。
でも最後にもう一度言わせてもらいたい。
世の中、ほとんどの人が低俗だよ?低俗の人は低俗なものが大好きなんだよ。
下ネタ、人の悪口、噂話、失敗談はもちろん、
ポケットに手を突っ込んだまま雪道で滑って転ぶおじさん
タンスに足の小指をぶつけて痛がってるお父さん
熱々のたこ焼きに苦悶しているお姉さん
テレビを見ながら伸びをして足をつってるお母さん・・・
そういうの見て面白いと思う人は声をあげず
上品なマイノリティが声をあげ、その意見が採用される世の中って・・・生きづらそうだなぁ・・・