パプニカ奪還、レオナ復活、ベンガーナ、そしてテラン… (original) (raw)

最近、『ダイの大冒険』(新アニメ版)を配信で見直しています。
パプニカ奪還〜テランでのバラン戦まで見終わりました。竜魔人バランへの変身やその後の闘いは圧巻。アニメ化で良かったことの一つですね。
旧アニメ版はこの辺りまでだったようですね。ダイコロなどの当時のキャラおもちゃも、ラーハルトが出たくらいでリリース終了し、アニメキャラクターとしてのラーハルトは結局出なかったとか。
マァムはレオナがベホマを使えるためもあり、武闘家修行に旅立ちましたが、レオナが回復要員としてダイ活躍した一番の戦いは、実はこのバラン戦。
クロコダインやダイの回復のために何回ベホマを使ったやら(この後の鬼岩城編からは、回復要員というより世界のVIPとしての活躍が目立つようになります)。
実はマァムとレオナが同一パーティで同じ敵と戦ったのは、破邪の洞窟だけかもしれません。他の場面では近くにいても微妙に場所や対戦相手が異なるんですよね。しかもこの時はダイ、ポップ、ヒュンケルはいなかった。
アバンの使徒5人が揃って同じ敵と……ゲームでいう「たたかう」などのコマンド入力可能状態のような能動的動作可能状態で戦えた場面って、そういえば1回もないんですよ。ものすごく強いて言えば、本当に最後の、バーン打倒後の死神イベントくらいかも。しかしこの時はヒュンケルが戦闘不能でした。本作はもう何回も読み返したか分からないくらい読んでいるのですが、このことに気がついたのはたった今です。なんとなく、5人でバーンたちを打倒したイメージがあったのですが意外です。
まあそれでも、アバンの使徒の絆の強さがそれで変わるわけはないのですけれどもね。
ところで……もしも。
バラン戦でポップが死亡後、バランが彼を救出せず、そのままハドラーやバーンとの戦いになっていたらどうなっていたでしょうか? 実はこの流れで終わるプランも当時あったらしいんですよね。当時の副読本で読んだ記憶があります。しかし読者人気が支えになって、連載が延長されたようです。今とはかなり印象が変わったと思います。
バランはアルキード滅亡後、ディーノを必死に探していたようですが、まさか南海の孤島に流れ着いていたとは思わなかったのでしょう。その後一応、ディーノ側のドラゴンの紋章が輝く機会はあったわけですが、バランが紋章を使う機会がほとんどなかったために気が付かれなかったのかなと。カールのホルキンスとの戦いで一瞬紋章を使ったくらいでしょうか。ちなみに、ホルキンスは『勇者アバンと獄炎の魔王』の方で少し触れられていますね。カールの剣の性質と併せて考えると、バラン戦のホルキンスは初登場時の北の勇者ノヴァと同じくらいだったのかなぁ……と、想像しています。
でもって、今回見直していて気がついたのがもうひとつ。
ラーハルトが彼のお母さんと死別し、何かのきっかけでバランと出会うわけですが。バランにしてみたらディーノにはかけられなかった親としての愛情をラーハルトに注いだのかもしれませんね。
「(バランは)自分にとっても父でした」と、ずっとあとでダイに語りますが、本当にそうだったんでしょうね。
それから…バランにヒュンケルが諭す場面も上手いなと。
アルキードの王女がダイの母だったが、彼女が人間に殺されてしまったためにバランは人間を憎んでしまった、というのをものすごく端的にまとめていますね。
人間の国の動静はクロコダインも百獣魔団長としてそれなりに知っていたでしょう。メルルたちも旅の占い師として世界地理と歴史にはそれなりには詳しかったのではないかと思います。また、レオナは王女なので、クロコダインたち以上に世界地理や国家の歴史を学んでいたはずです。それでもおそらく、アルキード王国の突如滅亡の真相は誰にも謎だったはずなのです。突然の爆発で急に消えてしまった王国があった、くらいしか知らなかったと思います。人間の世界では魔王軍が何かやったとされていたのかもしれませんが、その後に何かがあったわけではないので、おそらく確証は何もなかった。ここでその謎の国の名前が急に出てきたので、今までのバランの超戦闘力と併せて考えたら得心がいったでしょうね。
で、私としては『獄炎』で語られないかなあと思っているのが、アルキード滅亡のニュースが入った時にアバン先生やフローラ様たちがどうされたかですね。
武力の高いカール王国やリンガイア王国、ベンガーナ王国あたりは、新たなる魔王の襲来に備えての軍備増強のキッカケになったかもしれません。何せ、一国が滅亡するほどの大爆発がなんの予兆もなく起きたのですから。
テラン王国のフォルケン王は、もしかしたらドラゴンの騎士によるものと勘づいていたかもしれませんね。アルキード王国の国内情勢をどれくらい掴んでいたかわかりませんが、バランが魔界で活躍していたことは、お国柄でもしかしたら知っていたかもしれません。ただ、知っていたところで何かできるような国力はなかったとは思いますが。
こういった歴史については、ダイ本編の戦いの後、レオナやアバン先生、フォルケン王らが専門の国際委員会を作って調査して記していったのではないでしょうか。
戦いの元となったのは確かにバーンの野望ではありましたが、人間の身勝手さも原因ではありました。
『獄炎』で語られている通り、勇者アバンがハドラーを倒して世界平和を取り戻したときも、世界各国では……特にベンガーナでは世界の覇権を狙う動きがありました。また、人間が自分勝手で愚かだったためにバランはアルキードを滅ぼしたんですよね。
そうした、歴史の過ちを繰り返させないためには、歴史の過ちを記録する必要があります。
さもなければ、ダイくんがいつか地上に戻ってきた時に、バランの二の舞のようなことが起きても不思議ではありません。なにしろ最終戦でのダイくんは、バランよりも強いわけなので……。本人がその気にならないだけで、アルキード滅亡などではすまない破壊力を彼は持ってしまっているのですよね。彼を失望させてしまうことだけは避けなくてはならないでしょう。
本当によく考えてある物語だなあと今でも思います。これが週刊連載だったなんて今でも信じられません。