冬期限定ボンボンショコラ事件/米澤穂信 感想 (original) (raw)

二十年ほど前にシリーズの一作目を本屋でタイトル買いして

(当時から食べ物の名前のつく本が好きだった様子)

二作目が出て、これシリーズものだったのかと気づき、

長い長い期間の中でぽろぽろ新作が出るたび最初から読み返して、

とうとう冬までたどり着きました。

以下、内容に触れます。

ここでまさかの過去まじえ編!

過去何があったかは匂わせながらも触れないというスタンスだと思っていたので

まさか過去をきかせてくれるとは。

そして中学生の頃の小鳩君ヤな感じだな。

だけど、なんだかんだで小鳩君は、賢く、だけどヒロイックで

そのヒロイックさが小市民っぽいのだ。

健吾との序盤の会話で、なんだか寂しくなったけれど、

そのまま何度も顔を見せるわけでもなく陰でやっぱり気になって

手伝っちゃうところが健吾っぽくてよかったです。

なんとなく引っかかるところがたくさんあって、

それが最後にバーッと回収されて行って気持ちよかったです。

最後、小佐内さんが小鳩君を庇って前に立ちはだかったところが

この彼らの三年間の変化を表してるなと思いました。

そして、終わり方とてもよかった。

小鳩君が春夏秋を、小佐内さんのおすすめスイーツで振り返るところ。

あれは愛の告白じゃないか。鈍感な小鳩君はわかっていないかもしれないけど。

そもそも、秋であんな感じで終わったのに、冬の序盤で

交際を否定するところから入っているのがもうね…。

小佐内さんの次善、にすごく愛を感じる。

わざわざ呼び寄せてまで一緒にいたい、次善。

流石に小鳩君にも伝わるでしょうねえ。

べたべたした終わりにはならないだろうし、大学ではなれるなら…

どうなるのか…と少し寂しく終わっていたので、

2人がまたじゃれる未来が想像できたのは嬉しかったです。

また十年後でもいいから、京都編があったらいいのにな。