CO2利用技術が進化し、空気はタダではなくなります (original) (raw)

CO2削減が世界的なテーマになって久しいですが、対策はなかなか進捗していません。

温暖化や激甚災害がCO2のせいなのかはわかりませんが、人間活動のおかげで空気中の濃度が高まっているのは事実で、このままに放置しておくのは気持ち悪いことは確かです。

植樹しようが伐採しようが、地球全体のCO2自体はほとんど変わらないのですから、要は空気の中のCO2を植物や木材の中、あるいは水中や地中に閉じ込めてしまうとかしてしまうことが対策になります。

そのひとつとして、生活に欠かせないプラスティック(樹脂)を直接CO2から作って、CO2をプラスティックに閉じ込める技術も開発されているようです。

プラスティック(樹脂)は主に石油など化石資源から作られてきましたが、こいつを直接CO2から作ろうというものです。

いくつか、報道から拾ってみると、

・2019年7月東大野崎教授が独自の触媒技術でブタジエンという物質とCO2を結合。全体の約30%がCO2由来の成分できている「ポリラクトン」という新たなプラスチックの開発に成功。

・2021年大阪市立大学田村准教授ほかが日本製鉄とコラボして、常圧二酸化炭素をポリマーに直接変換することができる新しい固体触媒プロセスの開発に成功。

・2022年IHIは、シンガポール科学技術庁と共同で、CO2から効率良く低級オレフィンをつくり出す触媒を開発、2024年度からは、新しく開発した機器を石油化学プラントに設置し、排ガスから直接、低級オレフィンをつくる試験を開始する。(オレフィンとはプラスティックの主要原料として幅広く利用される化合物)

3つだけ挙げましたがその他、旭化成や千代田加工など多くの会社が、同様の時術を磨いているようです。

2023年時点での資源エネルギー庁H/Pによりますと、

やっかいもののCO2を、逆に資源として活用する―。この考え方は「カーボンリサイクル」と呼ばれ、さまざまな分野で研究が進められています。人口光合成では、まず「光触媒」と呼ばれる、太陽光に反応する物質を使って、水(H2O)を水素(H2)と酸素(O2)に分解します。
次に、水素のみが通過できる「分離膜」を使って、水素と酸素を分離し、水素を取り出します。最後に、この水素と、工場などから排出されたCO2とを合わせ、化学合成をうながす「合成触媒」を使って、「オレフィン」を作ります。

光触媒」「分離膜」「合成触媒」の3つの技術が重要な役割をはたします。特に触媒は、いかに効率的に水素を取り出せるか、いかに効率的に化学合成物を生み出せるかの決め手になる技術。日本はこの触媒技術で国際的に強みをもっていることから、人工光合成の実現に期待がかかっています。

以上プラスティックの話でしたが、プラスティックの場合、ゴミとして捨てられ燃やされたら元の木阿弥。また空気中に放出されてしまいます。

そういえば、ダイヤモンドは炭素からできているはず。これなら女性方が大事に大事にしてくださる。調べてみたらこんな話がありました。

米Aether Diamonds(以下、Aether)は2022年2月17日、最高ランクのインパクトスコア96.5で「B Corp認証」を取得したと発表した。同社はB Corp認証を取得した世界で唯一の合成ダイヤモンドメーカーとなる。・・・Aetherのダイヤモンド製法は、4つの段階を経てで行われる。まず、空気からCO2を回収する。大気採取装置で空気を吸引すると、専用フィルターに空気中のCO2が集まる。次に、回収されたCO2を合成して、ダイヤモンドを成長させるために最も適した原料である炭化水素にする。
3段階目では、炭化水素原料をダイヤモンドの成長に最適な環境を作り出す強力なリアクターに入れる。炭素が完璧に整列して結晶形となり、ダイヤモンドは1度に原子を1つずつ成長させていく。最高の完成度になるまで3~4週間かけてダイヤモンドを成長させ、最後に仕上げとなる。未加工のダイヤモンドは熟練の職人の元に送られ、手作業でカットと研磨が施され、ジュエリーに加工される。

本当はこの話、加工の過程で膨大なエネルギー、炭素を使うというツッコミもあるのですが、夢のある話ですね。

それにしても人間の叡智はすばらしい。なんでも太陽と空気でつくられるようになる時代もくることでしょう。

そうなると、強欲な人たちが、太陽光や空気を独り占め、商品化をはかるのは目に見えています。

水と空気はタダと言われてきましたが、今や水は必ずしもタダではない。空気がそうなる時代ももうすぐです。

今のうち、深呼吸してたくさん吸っておきましょう。