「アメリカ映画の文化副読本」を読んで腰から砕け落ちた【感想】 (original) (raw)
こんにちは、ザッカンです。
今回は渡辺将人著「アメリカ映画の文化副読本」をご紹介します。
みなさんはもちろんアメリカ映画見たことありますよね。
この本は一言でいうと、アメリカが舞台の映画を見ているときに生じる「ん?」をスッキリさせてくれる本です。
詳しくご説明しますね。
映画を見るときに感じる「ん?」
例えばですね、アメリカ人が「シン・ゴジラ」を観たとしましょう。
それでアメリ人が、「日本にはゴジラがいる!」と思う人はまずいないわけです。
でも、「なぜあんなに決定が遅いのだろう?」と疑問に思う人はおそらく多いわけですね。(日本人にとっても疑問なわけですが・・・)
この疑問はおそらく誰かが解説しないとアメリカ人の中で不思議のままで終わるわけです。
「アメリカ映画の文化副読本」は逆に日本人がアメリカ映画を見るときに感じる「ん?」を先回りして教えてくれる、そういう本なのです。
アナウンサーという職業
例えば、映画「ディープ・インパクト」を見たことがあるでしょうか。
この映画は、地球に隕石が当たるっていうんで、序盤はそれを隠蔽しつつ(中盤で公表します)、爆破作戦の準備を進めて人類救出を目論む映画なのですが、
その映画で、記者会見で最初に大統領に質問する権利を獲得した女性記者がニュース番組のアンカーに抜擢されるという話があるんですね。
で、普通日本にとっては記者って、現場にいるだけで、画面の真ん中で座って喋らないじゃないですか。
記者がなんでアナウンサーに〜?と頭を悩ませているところに「アメリカ映画の文化副読本」が来るわけです。
日本の「アナウンサー」に相当する職業はアメリカにはない。アメリカではニュースの読み役のキャスターとして出てくる人は全員が記者で、彼らが読むことも兼ねている。「アンカー」と呼ばれる人々だ。代読はナレーターでもできるが、「誰が読むか」で信頼は決まると、アメリカでは考えられる。
同書 P.275
えー!
ただキレイに音読するだけならAIでもいいアナウンサーという職業はアメリカには無いんですか!?
本当か?と思ったのでアンダーソン・クーパーという超有名アンカーのwikipediaを読んだところ・・・
エール大学を卒業後、ABCに新卒不採用となったため、代わりにチャンネルワンの職を得る(チャンネルワンは、米国内の中学生や高校生などの若者向け番組を制作する放送局)。その6ヵ月後、チャンネルワンを辞職。1年のベトナム生活の後、ビルマ、ソマリア、ルワンダなどの紛争地域から映像と記事を配信するようになった。
どひゃー!(ここで腰から砕け落ちる)
平和なテレビ局でキレイに音読するだけじゃないごりごりの現場主義者!
彼ら彼女らはアンカーと呼ばれていて、全員が記者なんですね。
広いテーマをぎっしり詰めた「アメリカ映画の文化副読本」
以上のような感じで、日本にいながらアメリカ文化を知りつつ、映画を楽しめるわけです。
さらに、各話題の中で関連する映画が随所に紹介されておりまして、気になったら映画を見て、理解を深めることができるようになっています。
約200本の映画を使って、7つのテーマに分けて、78個の解説を300ページにわたって載せています。
映画好きじゃなくてもイメージ膨らませながらアメリカ文化を理解できる本として傑作ではないと。
ちなみに、最後のエッセイでも注意されていますが、アメリカはとにかく広くて州によっても文化がだいぶ違いますし、書き手によっても解釈が違ってくるので、そのあたりケアしながら読んでみてくださいね。
とはいえ、書き手である著者の渡辺将人さんは米下院議員事務所・上院選本部を経て、コロンビア大学、ジョージワシントン大学、ハーバード大学の客員教授を歴任され、慶応大学で准教授を務められているので、一定の公平性は担保されていると思います。
これを読んでもっと映画を楽しみましょう!
以上読んでいただきありがとうございました。
本の詳細は以下のリンクから。
リンク