『悪魔と夜ふかし』〜テレビって視聴率のためならほんとになんでもやるんだなっていう皮肉?〜 (original) (raw)

全体に予想していたより怖くない。ただし人体破壊とグロは結構きつい。という感じでした。

エクソシスト』、もしくは『ヴァチカンのエクソシスト』が観れた人は観れます。

以下ネタバレを含みます。

面白かった。私はあまり詳しくないけどたぶん前提知識としてアメリカのトークショー番組文化のお約束、映画エクソシストくらいの悪魔憑きに関する知識は必要。

個人的には事前知識以上のことは起こらなかったなという感じ。後半の悪魔に完全に取り込まれちゃったパートをあと30分くらいやってほしい(それをずーっとやっているのが『ボーは恐れている』なのか…と思うなどした)。

たびたび言及される秘密結社が悪魔を信奉しているとして、番組のシンボルがフクロウであることからも、この番組を手に入れたのがそもそも悪魔との取引によるものだと考えられる。おそらく加入時に自分の望みを叶えてもらう代わりに代償を差し出す契約をするんだろう。何が代償になるかは特に言わなくても良くて「なんでもします」的な誓いの言葉なのかもしれない。

番組序盤からミニーが来ているが、ミニーは生贄にされてしまっているので悪魔の影響下にある=悪霊化しているらしい。

クリストゥが吐いた黒い液体はもしかしてタール?(肺がんに関係ある?)

受動喫煙の害が指摘されたのは1980年代らしいので、ふつうにミニーの死は夫の副流煙による肺がんだろう。そうなるように悪魔が仕向けた、という解釈でよさそう。

(貰いタバコをしているシーンから、ミニーが肺がんで咳き込むようになってから禁煙したとみた)

ところで映画冒頭のスタジオロゴがいくつも流れるお決まりの部分で、最後の方に流れたロゴの左下にsince2086か2068とあったように思う。

最初のシークエンスが記録映画風の解説であるところからも、この映画全体が近未来のメディアによって作成された特番である、つまりテレビ番組の中のテレビ番組を観ている、という構造なんだろう。一回しか見てないから見間違いかもしれないけど…。

全体に悪魔のやり方が非常にそれっぽく描かれてて見応えがあった。

今回マスターテープが発見された、という触れ込みだが、終盤のジャックの「こんなもの見るな」というセリフからは、彼がフィルムの中に魂ごととらわれてしまったのではないか?という印象を受ける。アナログ媒体ならではのありそう感だと思う。

ミニーのいう「あなたの魂は彼らのもの」というのは、彼ら=悪魔・結社とも=視聴者ともとれて、視聴率のためならなんでもする男に対する皮肉としてはかなり辛いなと思った。