「Praan」日本語訳 (original) (raw)

今日、偶然出会った「Where the Hell is Matt?」の映像。映像の中で楽しげに踊るMatt Harding氏と、共に踊る市井の人々に惹き付けられる。
(彼のページはここなのだが、いまなぜか見れない。仕方ないのでWayback Machineにて見るしかない。どうしているのだろう…。一時的に見れなかっただけのようだ。よかった。)
「Where the Hell is Matt?」はYouTubeでも見れる(こちらHD版)が、彼の旅行のスポンサーであるガムメーカーStrideのサイトからだとHD版やiPod向け版もダウンロードできるのでこちらを薦めたい。一方、YouTubeだとこの動画のレスポンス動画がいっぱい見れるのもたのしい。
それもさることながら、BGMとして流れるGarry Schymanの「Praan」のメロディの美しさ、そしてそこに流れる女性の美しい歌声。
マット・ハーディング(Matt Harding)の「世界は踊る」!: 我龍待合室
によると歌っているのはPalbasha Siddiqueさん。http://www.minnpost.com/stories/2008/06/27/2396/dancing_with_the_universeにはMattとSiddiqueのインタビューが載っている。そして彼女の新しい歌"Maa"もYouTubeに出ている。伸びやかな美声は彼女をいずれさらに大きな舞台へと連れていってくれるだろう(amazon.comでは"Maa"のMP3が売られている)。
さて。
「Praan*1」の歌詞は「Where the Hell is Matt?」のエンドキャストロールにも出てくるように、タゴール(Rabindranath Tagore)の詩「Gitanjali」英語版に含まれる「Stream of Life(Praan)」から取られている。

1909年、ベンガル語の詩集『ギーターンジャリ』を自ら英訳して刊行。
wikipedia:ラビンドラナート・タゴール

つまり、以前にベンガル語で作った自作詩集を英訳した。
出版されているものだと岩波文庫(この夏に復刊した)が入手しやすそうだ。

「ギーターンジャリ」のギータは歌,アンジャリは合掌.神に訴えかけるタゴールの切々たる思いが美しく深い響きの詩句にうたいこめられ,その魂の高貴と優美をそのままに伝える.ベンガル語本の韻文訳に英語本の散文訳を付す.ベンガル語文学に新気運を生み出し,インド諸国語の文学にも大きな刺激を与えた功績は不滅である.

タゴール詩集―ギーターンジャリ (岩波文庫)

さて、「Praan」の歌詞がどこかに載っていないか、と探したらすぐに見つかった。

Bhulbona ar shohojete
Shei praan e mon uthbe mete
Mrittu majhe dhaka ache
je ontohin praan

Bojre tomar baje bashi
She ki shohoj gaan
Shei shurete jagbo ami
(Repeat 3X)

Shei jhor jeno shoi anonde
Chittobinar taare
Shotto-shundu dosh digonto
Nachao je jhonkare!

Bojre tomar baje bashi
She ki shohoj gaan
Shei shurete jagbo ami
(Repeat 3X)

English:
"Stream of Life"

The same stream of life that runs through my veins night and day runs through the world and dances in rhythmic measures.

It is the same life that shoots in joy through the dust of the earth in numberless blades of grass and breaks into tumultuous waves of leaves and flowers.

It is the same life that is rocked in the ocean-cradle of birth and of death, in ebb and in flow.

I feel my limbs are made glorious by the touch of this world of life. And my pride is from the life-throb of ages dancing in my blood this moment.

しかし、これでは残念ながら英語に不堪能な私には分からない。手元にタゴール詩集があるわけでもない。
さらに検索してみる。すると青空文庫にギタンジャリの翻訳があった。
しかし、この詩集は103の詩編が含まれている。
多い。
探してみると、目的の詩が見つかった。第69詩。

詩集 ギタンジャリ(GITANJALI)
ラビンドラナート・タゴール(Rabindranath Tagore)
訳:高良とみ 【訳者著作権存続中】


69

ひるとなく 夜となく わたしの血管を流れる 同じいのちの流れが
世界をつらぬいて流れ 旋律にあわせて踊っている。
そのいのちが 喜びがなってほとばしり
大地の塵から 無数の草の葉を 萌え出させ
木の葉や 花々の騒がしい波を 立たせる。
そのいのちが 生と死の海の 揺りかごのなかに
満ちたり引いたりしながら揺られている。
このいのちの世界にふれて 私の四肢は 栄光に充たされる
そして私の誇(ほこ)りは いまこの瞬間に私の血のなかに踊っている
幾世代のいのちの 鼓動からくるのだ。
http://fweb.midi.co.jp/~linden/tagore/gitanjali.html

すばらしい。鼓動の如く世界中で踊るMattに相応しい歌詞だ。

一日でこれほど夢中になってしまった作品は久しぶりだ。
もっともっとたくさんの人に知ってもらいたい。


追記:
世界中でダンスする"Where the Hell is Matt?"のまとめ - A Successful Failure
にはビデオに映る場所の地名が載せてある。私もこれしようと思ってたのだけど先にして頂いたのでリンクをば。Matt Harding - Wikipediaに載ってたのね…。

*1:ベンガル語で「息吹」「生命」「エネルギー」おそらくサンスクリット語のプラーナ(prana 気息)に相当するか