AIに勝てるのは哲学だけだ 【書評・まとめ】 人間なら哲学しろ!! (original) (raw)

本記事のイシュー

AIには代替できないような人間の能力をさらに伸ばしていくために、哲学のどのような点が有効なのか

AIに勝てるのは哲学だけだ

AIに勝てるのは哲学だけだ――最強の勉強法12+思考法10 (祥伝社新書)

今回はこの本を紹介する。

近年の大きな問題点は、新井紀子さんが指摘するように、AIよりも思考力がない人間が多いことだ。SNSで観察される、論理や中身のなさが目立つ投稿を見ていると危機感を感じる。

それでは、この「思考力」を成長させるためにはどうすればいいのか?

この本の著者は、哲学こそ人間にとって重要だ、という。

いくつかのテーマをまとめてみる。

著者について

小川 仁志(おがわ ひとし、1970年 - )は日本哲学者山口大学国際総合科学部教授。元プリンストン大学客員研究員。博士(人間文化)名古屋市立大学にて2008年取得)。

専門はヘーゲル哲学、公共哲学、および政治哲学。商店街で哲学カフェを主宰するなど、市民のための哲学を実践している。市役所職員から哲学者に転身したという異色の経歴で、一般向けの哲学啓蒙書なども多く著している。最近はダイエットに勤しんでいて、その様子をfacebookで公開している。

小川仁志 - Wikipedia

哲学カフェがきになる。

本書にも記述があるが、まさに哲学は実践することが大事である。

AIの弱点

AIの弱点として、次のようにまとめられている。それぞれについての解説もあり、要点がわかる。

・常識がわからない
・計算しかできない
・経験がない
・意思がない
・意味がわからない
・身体がない
・本能がない
・感情がない
・柔軟性がない
・曖昧さがわからない

また、いろいろな学者たちのAI観もまとめられており、比較して確認したい人には役立つ。彼らの立場設定、背景によって、AI論への注目ポイントが違う。これらを比べることで、批判的に深く考えられるだろう。

AIと生命の原理的な違いは、次の記事で考えている。

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人材の2極化

今後の社会は、「AIを使う人」と、「AIに従う人」に分かれていく。

では、求められる人材とはどんな人か??

きちんと思考ができ、勉強し続けることができる人だ。

だからこそ、哲学を学ぶことはますます重要になる。

従来の日本社会の大人たちは、国際的に比べても圧倒的に勉強時間が少ない。自分は勉強しないくせに、子供には勉強しろという。奇妙な社会だ。

しかし、その社会はもう維持できない。新井紀子さんの言うように、AIよりも劣る人間は仕事がなくなっていく。

哲学が最強

・誰でもできて、すごい答えを出せる
・思考法としての哲学

思考法としての哲学とは、以下のようなものと本書では定義される。

物事の本質を批判的かつ根源的に考え、言葉で表現すること

そして、疑う、再構成する、言語化するという思考の過程を鍛えるべきだ、と著者は言う。

では、なぜ哲学が最強なのか?

哲学とは人間の全人格的営みだからです

哲学を実践するには、頭と経験をフル稼働する必要がある。「食べるとはどういうことか」などのテーマを考えた時は、実際に手を動かして食べるジェスチャーをした人が出てくるという。言いたいことを引き出すために、全身で足掻いてる、のだろう。まさに、人間特有の姿勢だ。

AIには、先ほどもまとめたように弱点がある。しかし、人間は哲学するときに、これらをAIの弱点全てを動員して、思考する。だから、哲学こそ人間の最大の武器になる。

勉強法

そんな哲学的に考える勉強法が、本書ではいくつも挙げられている。そのうちの一つを紹介しよう。

ズバリ、質問力である。

思考力を身につけるためには、質問力が大事だ。物事の本質は、多面的に見ていかないと現れない。

変な質問こそ、いい質問だ。意外な見方を提供するからだ。

「テクノロジーは便利です」に対して、

「テクノロジーって食べられるのですか?」
「テクノロジーが便利ということはペットになりますか?」

確かに、変な質問だ。けれど、そのおかげで、何か本質的なものが掴めそうな気がする。

どんどん質問していく。まず質問ありきで後から考えるのがいい。なぜなら、答えを予測すると、予定調和的なものになってしまうからだ、と著者は注意する。

感情思考法

続いて、感情に注目する方法をまとめる。

感情があるかないかが、AIと人間の大きな違いだ。

思考を強化するものとして、感情を使う。理屈に加えて、人を感動させるようにする。人の弱さや優しさに注目するといい。

理屈だけでは行き詰まってしまう、それを転換させてくれるのが、感情だ。

本音思考法

多くの人は、建前の世界で生きている。そんな人に合わせた理屈ではなく、自分自身の本音をつかむことが大切だ。そこで見えてくる信条こそが、論理を超えたものだ。

「これは自分の本音なのだろうか?」という問いを繰り返していく。

そして、一度、自分の本音リストを作ってみるといい、という。

確かにあらゆる物事への判断根拠として、まずは自分の本音をリストアップしておくというのは役立つと思う。

勉強が楽しいことに

著者は、哲学する有効さを上げつつも、今後「勉強すること=趣味=楽しさ」になればいい、という。

確かに勉強して、思考力を伸ばさなければいけない。しかし、何よりも楽しむことが最もあなたを成長させてくれるだろう。

これはわたしも同感だ。

わたし自身、教養の重要性を感じている。

「教養とは、自分がわかることだ」と、私は定義したい。気になる方は次の記事を読んでほしい。

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追記

本記事が誰かの自由につながったのなら、私はうれしい