雷神不動北山桜を観た (original) (raw)

昨日見たのは、

十三代目市川團十郎白猿襲名披露

「十月代歌舞伎」昼の部

出し物は「雷神不動北山桜桜(なるかみふどうきたやまざくら)」

歌舞伎一八番の芝居「毛抜」「鳴神」「不動」

團十郎が、早雲王子、鳴神上人、粂寺弾正、安倍清行、不動明王の5役を早替わりで務めた。

昨日の座席は花道のすぐそばだった。

花道の演技、團十郎さんが六方を踏んで引っ込むところは迫力満点だった。

舞台にいる團十郎が引っ込むや否や花道の幕がシャツと開く音がして、ライトに照らされた別の役になた團十郎が目の前に居る。

「あっ」と驚く早変わりの仕掛け。

「毛抜き」という芝居は滑稽だ。

お姫様の髪の毛が逆立つと言う奇妙な病で縁談が整わない。

久米寺弾正が調べると、磁石と毛抜きが関わっていると言う奇想天外な物語。

鳴神上人と雲の絶間姫のくだりは、雀右衛門の色っぽさが堅苦しい上人を誘惑するのが面白い場面。

生々しい色仕掛けは歌舞伎の演目では珍しい。

お客は喜ぶ。

最後に向かって盛り上がる不動明王

空中浮遊あり、大勢の若者のとんぼきりがあって、うたた寝する余裕?がなかった。

Yさんと二人口をあんぐり開けて、キャーキャーと興奮状態に至る。

面白いお芝居を楽しめた。

昨日は土曜日だったので、男性の客も多くて和服姿の女性も多く、ほぼ満席だった。

團十郎さんは出せるだけのエネルギーを声や顔や全身で表現して客を満足させて、すごい。

これで夜の部は「連獅子」を舞って、口上も述べる。

毎日、続く舞台。

えらいお仕事やわ。

楽日(26日)まで頑張ってほしい。

最後に切って落とされた幕。

超高齢者の私たちは、ゆっくり客席を出てお手洗いも済まし、出口に向かった。

ふとみると立ち姿も美しい和服姿の女性が外を向いて立っていた。

「綺麗な人やな〜」と二人で見惚れていたら、視線を感じたのかこちらを振り返って、丁寧ににこやかにお辞儀をしてくれはった。

私らもニコニコ顔でお辞儀を返す。

見たことのある女人、多分團十郎さんの妹の市川翠泉さんだ。

劇場の入り口でご贔屓を迎えるために立っておられる。

初舞台の甥と兄を支えているのだ。

Yさんと私にとっては、もしかしたらこれが最後の歌舞伎見物になるやも知れぬ・・・気分の良い後味の素晴らしい、ふとした出会いだった。

二人で「良かったな〜」

Yさんは家の鍵を忘れて来た٩( ᐛ )و

スマホは電池切れで真っ暗画面٩( ᐛ )و。

終わったら電話をしてこい、と娘が言うのにかけられへん〜と言うから「私のスマホでかけたら?」と言ったけど、私のスマホが知っているのは彼女の家と携帯番号。

Yさんの娘の携帯番号は分からない。

「しょうないわ・・・上町の妹のところへ取り敢えずタクシーで行くわ」

妹さんが大阪市内に住んでいて良かった。

「何時、何が起こるや分かれへんから寝る前にスマホの電源入れ時や〜」

「うん分かった」

次に彼女の言う事が良い。

「88歳になったら突然弱るよ〜あなたも気いつけや〜」って、Yさんは4月の誕生日ですでに88歳になっている。

私より8ヶ月お姉さんだ。

友達を自分と同じレベルに引き下げようとする。

「はい、分かった。気いつけます」

取り敢えずは楽しく一緒に歌舞伎を楽しめて良かった。