だんドーン第39話「薩摩藩士、異世界紀行密書ン!」感想:厄介な病 (original) (raw)

金塊運搬の旅、今回は阿蘇へ。伊牟田は薩摩に戻り、小松に捕縛される。読み返してみると笑えるシーンの連発で最高だった。

薩摩の常識は世間の非常識

雪に不慣れな川路と半次郎は、阿蘇の積雪に大慌てしている。しょっちゅう江戸と往復しているはずの川路が雪に慣れていない理由も、半次郎の質問という形で自然に説明されていて、読者に親切だ。

「大雪」のなか崖下に転がり落ちていった半次郎と太郎を案じる川路の背後でのんびりと歩いている地元の農民の方々。こういう薩摩の常識が通用しないシーンは面白い。チェスト侍で当然のように幕府の使者を下座につかせていた場面も良かった。

深層心理ではもう好きになっているんだね

川路は転落した2人を心配するが、いやいや俺が助けたいのは太郎なんだと慌てて思い直す。半次郎のことも心配しているに決まっているのだが、認めたくない様子が面白い。

親切で配慮ある清河さん

半次郎は風邪をひいたらしい太郎に着物を着せてやり、ふんどし一丁で「医者―!医者ー!人ー!」と突然浪士達に襲われた彦根藩士のような調子で助けを求める。「随分厄介な病を患っているようだが…」と声をかける清河八郎。正常ではない様子の人に手をさしのべ、「厄介な病」と配慮ある言葉を選べる清河さん。間違いなくいい人だ!

ここで伊牟田の噂を耳にした半次郎は「弓田?誰だっけそれ?」となっている。前に幼馴染から聞いてたじゃん。抽象的な思考は苦手なんだね。でも、物事の本質をサッと察したり、石垣に注目する川路に気が付いたり、直観的なことには優れている。

帰ってきた伊牟田

帰ってきた伊牟田は何やら有能で尊敬される俺演出に酔っている…この雰囲気、ハコヅメの敷根っぽくて好き。

泰三子【ハコヅメ】20巻・その175「伊賀崎警部補の胸襟⑧」より

過激派の動向記録を渡すための三文芝居に、大久保の悪い顔、貴重な小松の怒るシーンと見所がいっぱいだった。

深まる友情と今後の暗雲

わりと長く描かれている金塊運搬道中。西南戦争の勃発や西郷の死といった、辛い展開の時にこの愉快な旅のくだりを読み返してしまうんだろうな。