鳥栖機関区 (original) (raw)

昭和40年代の鉄道趣味誌に掲載された九州での機関区風景は直方・若松・熊本・吉松・宮崎などを見かけたが、意外と大規模な門司や鳥栖は誌上で紹介された記憶は残っていない。列車の窓から見えた鳥栖機関区は2棟の扇形庫が並び強烈な印象として残っていた。蒸機時代に行くことはかなわなかったが、小川さんが撮影された鳥栖機関区での機関車群は垂涎もので憧れの構内へと誘ってくれた。

鳥栖筑豊本線久大本線D60が顔を揃える、それは魅力的な基地であった。化粧煙突が美しいD6022〔直〕は大分・豊後森・出水の履歴を持っている。汽車会社製の角ばったサンドボックスがよくわかる。

直方のD6022と大分のD6064が仲良く手をつないでいる。同じD60形式ながら、煙突、デフレクタ、テンダの違いで印象は大きく異なる。

68664〔鳥〕とC1144〔鳥〕が並んでいる。鳥栖機関区は8620が4輛、C11は6輛が配置され、8620は鳥栖・久留米の入換、C11は甘木線で運用されていた。68664は大きな「架線注意」標識が付けられている。

58625〔森〕の美しいサイドビュー。ランボードからキャブ裾に続くラインは優雅に映る。豊後森機関区5輛の8620は久大本線の客貨を牽いて鳥栖まで顔を見せていた。

鳥栖機関区の扇形庫は古い煉瓦造りの26線の東庫と、コンクリート造りの西庫があった。上路式転車台に載るD51153〔直〕は筑豊本線からの運用で、東北本線全線電化の際に北国から流れついた罐と思われる。

D51361〔直〕はこの時は直方機関区所属であったが、その後鳥栖機関区に移り、昭和46(1971)年10月に南延岡機関区に転属し日豊本線の顔となる。日豊本線沿いではよく出会った罐だ。

転車台上のD511062〔鳥〕は舟底形テンダとTR41に似た台車が良く目立つ。鳥栖機関区16輛のD51長崎本線佐世保線大村線の貨物列車に運用されていた。

かまぼこドームのD511022〔鳥〕は区名札が煤でかすれて良く見えない。ナンバープレートははみ出しは無く、タブレットキャッチャーの上に付いている。除煙板の前ステイはランボード上ではなくてフロントデッキへ伸びている独特なスタイルをしている。

東扇形庫の位置から鳥栖駅方を望む。機関区詰所、砂乾燥庫、給炭台と石炭車、橋形クレーン設備などが並び石炭の香り漂う機関区風景に酔いしれる。

写真は全て:小川秀三さん 鳥栖機関区 S44(1969)/4