フランスの日本化がおもしろい!日本酒ブームの欧州&㊗『鬼火』銀賞受賞! -1- (original) (raw)
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世界に浸透するWASHOKU そしてUMAMI
フランスの若者や子どもたちを虜にする日本アニメ・漫画に対し、日本からの「文化侵略だ」と大人たちが憤っていた80年代、90年代。今から振り返るとちょっと信じがたく、隔世の感があるとはこのことです。
今やフランスは日本のサブカルチャーのみならず、日本を代表する他のコンテンツ、文化や食などを率先して宣伝し広めてくれる国、ありがたいことです。「フランス人は保守的」ってほんとう?と言いたくなります。
ヨーロッパはだいぶ前から盆栽や太鼓がブームですが、その火付け役はフランス人じゃないかもしれない。でも食に関しては、あのうるさい人たちが好奇心満々で知りたがり、太鼓判を押して世界に紹介してくれたのです。
そして日本料理の食材や調理法を、伝統的なフランス料理に見事に取り入れるあたり、さすがフランスだなあと思うし、逆にわれわれにとっては日本料理の再発見にもつながり、学ぶことが多いです。
フランス人がUMAMI (旨味)と初めて遭遇した時の驚きはいかばかりであったでしょうか。つまり甘味、酸味、塩味、苦味に次ぐ第五の味です。
2000年代に入ると世界的な和食ブームが起こり、フランス人シェフたちは日本に研修にやってきては、カツオや昆布などからどうやって出汁(だし)をとるかを熱心に学んでいきました。自分らが知らなかった新しい味覚を発見したのですね。(もちろん「旨味」は日本だけじゃなく広くアジアの料理に共通するものですが。)
ともあれ旨味の衝撃は、ヨーロッパのあちこちに”UMAMI”と名の入ったラーメン店・日本風の飲食店を出現させるに至りました。ベルギーでさえ数店ありますから。
フランスの**ブルターニュ地方・コンカルノにはかつお節工場が誕生しています。日本国内では最高品質を誇る鹿児島県枕崎市の水産加工業協同組合と、かつおぶし関連会社9社が出資して設立した「枕崎フランス鰹節」**の工場です。
これまでフランスに出回っているかつお節はほとんどが中国・韓国産で、日本とは燻しや乾燥の方法などが異なるし、味もよくなかったようですが、ここブルターニュで作るホンモノの日本のかつお節は、繊細な舌をもつ仏人シェフらを唸らせるそうです。
12月2日パリで、**かつお節についての講演会**があったらしく、どなたが喋るのかと思っていたらこちらの方。Du katsuobushi à Concarneau - Agenda - Maison de la Culture du Japon à Paris
L’usine de katsuobushi se termine – actu.fr
やはり「枕崎フランス鰹節」支店長のグエネル・ペリラン(Gwenaël Perhirin)氏。本職は弁護士さんという変わったバックグラウンドです。
父親(銀行マン)の転勤で日本に13年住んでいたそうで、出身のブルターニュ地方に鰹節工場ができると聞いたとき「全身全霊を注げられる仕事だと感じ」即応募したそうです。
これ以上望めないような人材を見つけられて、枕崎フランスは本当に幸運でした。
ペリランさんの感動のインタビューはこちらで。https://ovninavi.com/815interview/
フランス国産の日本酒
和食ブームもあって、世界中で酒の売れ行きがここ10年で急激に伸びており、高いものも売れるということです。確かに高級レストランでなくても普通に日本酒は数種類メニューに載っています。
今年画期的だったことは、フランス人が作ったフランス国産の日本酒が販売されたこと。多くのメディアに取り上げられました。昇涙酒造(Les larmes du levant)これが名前です。 levantには「日が昇る」、ひいては「東」といった意味があります。
Appétit - Les larmes du levant - Appétit - TL7, Télévision loire 7
写真(tvインタビューから切り抜いている):
蔵元のグレゴワール・ブフ(Grégoire BOEUF)さん。場所はリヨン近くのペリュサン(下に写真)という村。ブフさんは2015年に鳥取県の梅津酒造で修業した。
杜氏には日本人二人を迎えて、現在三人で酒造りをしている。ブフさんによれば「フォアグラと日本酒の相性はバツグン!」なんだそう。
Brasserie de saké française les Larmes du Levant - Midorinoshima
こちらがサイト↑ ↓酒3種類(小さくてすみません)。
所在地: 4 Rue du Regrillon, 42410 Pélussin, フランス。美しい村です。
Pélussin France - hotelroomsearch.net
写真に見える山の湧き水が軟水(!)なので酒が造れるのですね。フランスはたいてい硬水ですから。
米は日本から玉栄(たまさかえ。滋賀県と鳥取県を中心に栽培されている酒造好適米)を輸入しているそうです。いずれフランス産の米を使う日もくるかもしれません。
さらにあとに続くフランスの若者たちが…https://mainichi.jp/articles/20170531/ddl/k44/040/269000c
フランス人の兄弟が宇佐市で修業をしている話を毎日新聞で読みました。クリストフ・フェルナンデスさん(39歳)とステファンさん(36歳)。二人は南仏でビール工房を営んでいるが、10年前に来日したとき居酒屋で飲んだ日本酒が忘れられず、酒造に挑戦することにしたという。
ところが東京はじめ全国をまわって修行できる蔵元を探したが、15カ所で断られ、16カ所目の小松酒造所でやっと受け入れてもらえた。小松潤平さん(40歳)とは年が近く、意気投合したとのこと。小松さんのところでは、稲の栽培から酒造りを行い、地元産の米(大分三井)で造った「豊潤」が人気商品だということです。
ただフランス人の二人は、「フランス料理に合う日本酒」を目指しているのだそうです。**マリアージュということばがありますね。フランス語で「結婚」ですが、食と飲み物の食べ合わせ**の意味でよく使われます。ワインには向かない食材でも日本酒にはよく合うことを知ってフランス人は驚き、いろいろな種類の日本酒と食材を組み合わせて試したうえで、レストランでは料理に応じて、白ワインではなく日本酒を進めることもよくあるのだそうです。舌の確かなソムリエの勧めに従っていれば間違いないでしょう。
” KURA MASTER” 2017年6月
フランス人によるフランス人のための日本酒品評会
とてもおもしろいのが、日本人が日本で造る日本酒のコンクールをフランス・パリでやるということ。今年初めて開催されたこのコンクールには全国220社から550銘柄のエントリがあったそうです。
審査員は32人、フランストップのソムリエや有名なワイン醸造家、ワイン業界誌ジャーナリスト、レストラン関係者などで構成され、ブラインドテイスティングで高品質の日本酒を選びます。
審査委員長 グザビエ・チュイザ氏と運営委員会代表の宮川 圭一郎氏KURA MASTERは二人とも日本酒の啓もう活動に力を尽くしてきました。
宮川氏のエピソードはとても有名です。1990年代にレストランを回って日本酒を置いてほしいと頼むのだが、「酒はいらない」と断られる。すると「では吟醸はどうですか」といって勧めたというのです。
こうした人たちが業界のプロやソムリエに試飲させ、日本酒の魅力をわかってファンになってもらう…実に地道な努力、血の通った活動でファン層を広げてきました。ファンになった人は必ず日本へ来ます。好きな蔵元を訪ねたり、和食や居酒屋を楽しんだりするそうです。
チュイザ氏は、フランス国内での日本酒の普及について「一流レストランの多くで、ドリンクメニューの15%を日本酒が占めるようにしたい。今後3年での達成を目指す」と語りました。
そうそう、受賞のお酒がまだでした。
最優秀のプレジデント賞 : 天山酒造(佐賀県)の「七田 純米吟醸 雄町50」
2位の審査員特別賞 : 花の香酒造(熊本県)の「花の香 桜花」
2銘柄を含む、優秀銘柄2017年度 受賞酒発表は、パリの高級ホテルクリヨンのメニューに採用されるそうです。
日本酒の話はまだまだあるのですが、今日はいったん切ります。
🌸お知らせ
㊗『鬼火』アトリエ銭湯さんが銀賞!!
**日本国際漫画賞**(Japan International Manga Award)知っていますか。
外務省が海外への漫画文化の普及と、漫画を通じた国際文化交流に貢献する漫画作家を顕彰するものです。
審査委員長は 里中満智子さんです。
詳しくはサイトをご覧になってください。
新潟日報の記事を貼っていますね。
「 9番目の芸術」さんのTwitter。
★参考
東京のこちらの学校に通っていたそうです。セント・メリーズ・インターナショナル・スクール - Wikipedia
追記:2018年2月25日
セシルさん、おめでとう!
楽しい日本滞在を💛