機動戦士ガンダム THE ORIGIN VI 誕生 赤い彗星 (original) (raw)
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MOBILE SUIT GUNDAM THE ORIGIN VI
Rise of the Red Comet
総監督・絵コンテ・キャラクターデザイン:安彦良和
監督:今西隆志
脚本:隅沢克之
原作:矢立肇・富野由悠季『機動戦士ガンダム』より
漫画原作:安彦良和『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』より
OVA 2018年 全6話
☆☆★
www.youtube.comOVAオリジン最終章。
ルウム戦役での赤い彗星の誕生。
レビルの拘束。
南極条約に、レビル救出からの「ジオンに兵無し」
TVでは描かれなかった、ガノタのそうそうこれが見たかった!がついに映像化!
のはずが、のはずがぁ・・・う~ん、これゲームのムービーパートとかで十分だったんじゃね?というのが個人的な感想。
いやね、物凄く肉付けしてあるんですよ。
今までゲームなんかで描かれてきたレビルの脱走とかは、基本的には連邦が頑張って内部に入り込んで救出しました、ぐらいの感じだったと思うけど、今回の描き方だと裏にキシリアが絡んでたりする。
うん、明確にはされてないけど、サスロを消したのもキシリアだよね?じゃあその動機は?って考えると、ザビ家の中であからさまに自分だけが軽視されてると感じてたからだよね?サスロからは所詮は女って思われてたし、ギレンはジェンダーは関係無いけど、長兄の自分が全てにおいて上だと思ってるし、デギン公はそんなつもり無いんだろうけど、ガルマへの愛情が強すぎて、そこに内心ジェラシーを感じてたりもしたのかなと。ドズルは無害だけど、それ故に自分の方が優れているという自負もあったのでしょう。
実際に政治ゲームとして、ギレン派閥、キシリア派閥ってあったし(というか今回のマ・クベとの会話を見る限りキシリアがそこは意図して自分の派閥を育てた)彼女にとってはそれこそが戦争だったんじゃないかと思う。だからこそ成り上がりのシャアに興味もあった。開戦時点ではシャアはドズルの部下だけど、ガルマの件で失墜、そこを呼び寄せたのがキシリアなので。
戦いの根源は怨恨に根ざしている、と言ったのはアナベル・ガトーですが、その理屈自体は間違って無いと思うし、シャアにせよキシリアにせよ、その内に秘めた野望みたいなものが、実は1年戦争の裏で大きな意味を持つ、というのは解釈として面白いとは思う。
いやでもさぁ、1~4はともかく、5話6話って主人公誰ですか?っていう感じなのが個人的にはあんまり好きじゃない部分だなと。いや何言ってるの、ガンダムは群像劇なんだから、今回のオリジンは主人公が誰かとかそんな単純な考え方で作ってないよと言われたらそれまでかもしれないですけど、歴史再現ドキュメンタリーみたいな作りになってるのが、こういうものと割り切って見るには勿論面白いんだけど、ドラマとしての見応えは正直無い。
これまで描かれてこなかった、シャアとレビルのニアミスとかは緊張感あって、見せ場としては凄い良いけど、歴史の裏ではこんな事があって、ここでの判断や行動が違っていれば、もしかして歴史は変わっていたのかもしれない的な面白さはあるけど、それはあくまでガンダムの持つ面白さや魅力の沢山ある中の一部分であって、それこそ安彦さんのバカにする、モビルスーツの型番とかいちいち憶えて何の意味があるの?と、本質的にはそんなに差が無いようにも思える。
実話物の映画なんかでよくある手法の、最後に登場人物のその後をテロップで入れるみたいな部分も含めて、ガンダムを一度歴史物のアプローチで捉えるというのは実際面白くはあるんだけど、なんというかそれって色々ある手法や視点の一つであって、そういうものを今回で改めて新しい視点として提示したという事なのかもしれませんが、ぶっちゃけそれってガンダムシリーズ本編を見て私ら(というかこの場合「私個人」って言った方が良いのかな?)が面白がってた部分とまたはちょっと違うというか、なんか変な違和感はあるというのが私のアニメオリジンに対する印象。
これはこれで一つの形だと思うし、また別のアプローチをした作品としては楽しめないってことはないのですが。例えば同じく「歴史」という要素を作品の軸にしてあった「ガンダムAGE」が、総集編を作った時に「歴史物ドキュメンタリー」みたいな手法をとったかと言えばそうではないですよね?
AGEの総集編OVAはTVシリーズの主人公3人とはまた別に、そこと対峙する側だったゼハートというライバルキャラ(まあシャアの系譜ですよ)の視点を軸に描くと言うやり方をしてましたが、近い事をやっていながらも普通にキャラクタードラマでしたし、オリジンみたいな歴史物感覚では決して作って無かった、そういうアプローチも出来なくは無い作品ながら。
その辺りの事を考えるに、逆に言えばこれまでのガンダムではやってこなかった全く新しい感覚で、別アプローチ、別の手法で作られたのがOVA「オリジン」とも言えるわけで、その辺りをどう評価するかという所じゃないでしょうか。
私の中では、じゃあここからTVシリーズなり劇場版にフラットに繋がるのかと言えば、設定の違う部分どうこうじゃなく、そもそもの安彦さんと富野では作風があまりにも違うので、そこは別作品として割り切って見るしかないよね、という感じ。
勿論、これまで描かれていなかった部分の深堀がされたことで、重ねて観れる部分も当然あるでしょうから、全く繋がっていない意味のない物とかいう程では無いんだけども。
うん、でもやっぱりそうやって少しモヤモヤしてしまう部分が、凄くオリジンだなと思います。
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