際限のない占領(翻訳)---イスラエルによるパレスチナ占領とガザ封鎖・侵攻 (original) (raw)

la blogo de Jorge (ホルヘ・カマチョ氏)La senlima okupacioの訳を少しずつ進めてきた。日本語だけで読んでも大変な長さであって、時間がかかった。しかし、読む中で、知らなかったこともたくさんあった。
原注も多く取り込んだ。段落が少なくて、そのことも読みにくくしているのだが、あまり手をいれることをしていない。→自分で読む分にも読みにくいので、適当に段落を増やしていくことにする。それと、人物や用語に外部リンク(主に日本語優先でWikipediaの記事)。なお、末尾にカマチョ氏は「詩」を置いているが、意味はわかるもののどう翻訳してよいかわからないので、全く違う形式にしてしまった。(2024.9)

終わりのない占領

2024年4月15日

イスラエルプロパガンダ

『Kontakto』誌((世界青年エスペラント機構の雑誌、以下、「コンタクト」)の314号(2023年第3号、8-9ページ --- 10.7以降に発行されている)にアムリ・ワンデルの記事が掲載された。この記事はシオニズム軍国主義植民地主義賛美のプロパガンダとウソと犯罪の正当化満載で、「記事」とは呼べないものである。「コンタクト」がまず彼の記事を依頼したのか、そしてこんな文章を公開することを決定したのか、全く理解できない。

ここに書いた私の反応は完全無欠ではないことは疑いはない。私は確かにこの問題の専門家ではないし、ユダヤ人でもパレスチナ人でもない(ただし、スペイン人としてユダヤ人、アラブ人、(北アフリカの)タマジクト人の祖先かルーツかを持っているとは考えられる)。しかし、エスペラント界においても、ワンデルや彼に似たような人物たちのこうした唾棄すべき主張はきっちり論破しておかねばならない。注が多いが、さらに詳細多岐にわたるテーマについて読みたい読者のために付した。

自称天体物理学者のワンデルが、もし自分の周りの世界を見ないように天文台に閉じこもっているというのであれば、カタルーニャスペイン語作家マヌエル・バスケス・モンタルバン(1939-2003)の次の詩を彼について示すことができるだろう。「ドブネズミを見ないように / 星ばかり見ている / 虚しい宇宙飛行士」みたいなやつだと。
だが、ワンデルは最も粗野で下劣な類のシオニスムの宣伝家である。彼は占領の歴史については沈黙し、イスラエル軍と政府による虐殺を支持し、(政府の嘘を一字一句、句点も変えずに繰り返し)、パレスチナ抵抗運動とパレスチナ人民、そして彼らの最も基本的な権利を否定している。
驚くのは、イスラエルの占領と虐殺*1の「緑のフェイスペインター」(環境保護主義者ではなくエスペラントの象徴の色である緑を顔に塗ったエスペランティストの意味で)として、彼とイスラエルエスペラント連盟が世界エスペラント協会(ワンデル自身も長期にわたってリーダーを務めている)から直ちに追放されないことだ。

「コンタクト」の記事のタイトルそのもの、すなわち「イスラエルハマスの間の戦争」自体がすでに誤解を招くものである。最も近代的な装備を備え、約17万人の兵士(さらに36万の予備兵と数千の傭兵*2)、爆撃機、攻撃用無人機、ミサイル、戦車、戦艦、潜水艦(および核爆弾)、港湾と空港を擁した軍隊と、片や抵抗運動に参加する1万5千から最大でも3万人程度*3の人々との間に起こっていることを、「戦争」などと呼ぶことはできない。彼自身現在の状況と対照させて「1973年には軍隊間の戦闘があった」と少しあとに書いている。

はじめにガザがあった

タイトルの後に、ワンデルは、あたかも現在のガザにおける「戦争」がハマスの2023年10月7日のトゥフン・アル・アクサ(アル・アクサ洪水)作戦から始まったかのように文章を始めている(イスラエルがすでに約1万人のガザ人を殺害していた11月初旬にコンタクトに送信された*4)。しかし、これはまったく事実ではなく、これを主張することは嘘をついているのと同じである。
第一に、2023年の初めから9月末まで(つまりハマスの作戦前)の間に、少なくとも247人のパレスチナ人(うち子供47人)がイスラエル兵と入植者によって殺害された。同時期に、イスラエル入植者はパレスチナ人とパレスチナの財産に対して800回の攻撃を開始し、1,100人以上のパレスチナ人が自宅から強制的に立ち退かされた。
第二に、ガザは16年間(2007年以来)イスラエルによって課された封鎖に苦しんできた。これによりとりわけ(深刻なのは)ガザの水の96%は飲めず、電気も点々とした場所でしか利用できない(ことである)。第三に、2008年1月1日から2023年9月19日までのガザにおけるイスラエルの軍事行動の結果、5,365人以上のパレスチナ人が殺害された(そのうち1,206人は子どもであった)*5。長年にわたり、パレスチナ人はイスラエル人の少なくとも20倍以上亡くなっていることはよく知られている*6

さらに次の事実がある:ガザ(つまり、いわゆるガザ地区、ワンデルの言葉では「ガザ地区」だが、それについては後で詳しく説明する)は世界で最も人口密度の高い地域の1つであり、365平方キロメートルに230万人以上の住民が住んでいいる(6,507人/km2に対し、イスラエルでは447人/km2)。ガザ地区は、イスラエルパレスチナ人のための強制収容所を作った地域と呼ばれており、それはワルシャワのゲットーを今、ショッキングに想起させるものだ。環状の壁に囲まれた刑務所には、イスラエル兵士が看守として歩哨に立っており、移動を阻止し、民間人に屈辱を与えている。一方、イスラエルは水などのガザの天然資源から恩恵を受けている。将来的には場合によってはそこから天然ガスも手に入れることになる*7

2024年3月18日のジョセップ・ボレルEU外務上級代表の声明を引用しよう。《戦前、ガザは最大の野外刑務所であった。現在では最大の野外墓地となっている。数万人の死者が葬られている墓場であり、同時に人道法の最も重要な諸原則の多くが葬られている墓場でもある》*8
なぜ「墓場」なのか?イスラエルの「人間的」あるいは人道的対応によるものである。2023年10月7日から2024年4月8日までの6ヶ月間に、イスラエルは3万3千人以上のパレスチナ人(つまり総人口の1.43%)を殺害し、その中には1万5千人の子供(ただしハマスの戦闘員5千人未満[?])が含まれていた。75,000人以上が負傷した。200万人(または人口の70%)が避難させられたが、その多くは1度だけではなかった。人口の半数はイスラエルによって直接引き起こされる飢餓に苦しむ危険にさらされている(飢餓を武器として使用することは更なる戦争犯罪を重ねることである)。家屋の半分以上が破壊または損傷し、イスラエル軍の爆撃により、病院、学校、大学、図書館、モスク(および一部の教会)、畑、さらには墓場*9、さらには街路、道路、あらゆるインフラも破壊された。(しかし、イスラエルがしつこく主張しているのとは異なり、彼らはガザのどの病院の下にもハマスの秘密地下基地が存在することは証明されていない)。
さらに、麻酔薬、とりわけ切断手術のために用いられるものや子どもたちのための医薬品の受け取りも遮断されている。とにかく、現在のガザ破壊を説明するには一冊の本が必要になるだろう。

いずれにせよ、貸借対照表(バランスシート)を完成させるには〔ガザが「墓場である」ということを構成する出来事を、別け隔てなくすべてリストアップするために〕、次の事も付記しておこう。2023年10月7日から2024年3月23日までの間にヨルダン川西岸で7,700人以上のパレスチナ人がイスラエルのテロリストによって誘拐され、(他方では)ガザの地の侵略(「攻撃」)の始まって以来、2024年4月8日までに少なくとも260人の制服を着たイスラエル人テロリスト(傭兵を含まない)が、パレスチナの抵抗戦士によって「無力化された」〔すなわち殺害された〕。

目的と手段としての非人間化〔反人間化〕

しかし今では、西洋風・合理的かつ官僚的に化粧されてはいるが、根底から野蛮な大国イスラエルが、いかにしてその記録的な数字を達成したのかを我々は知っている。
イスラエル軍は、ラベンダーと呼ばれるAI(人工知能)に基づくコンピュータープログラムを使用して、37,000人のパレスチナ人(およびその住居、したがってその家族全員)を夜間爆弾攻撃の標的としてセレクトした*10。こうして編纂された殺人リストは、誰かの家、誰かの家を爆撃するかどうかの決定に、20秒以内しか費やすことが許されていない。[その20秒以内の決定には] 10%のエラーがシステム的に発生する可能性が織り込み済みになっている。(これら[標的になった]人々の多くとハマスとの関係は、しばしば、単なる偶然か周辺的なものでしかないということは別のことではある)。
さらに、精度の低い爆弾を用いることが好まれる。こういう爆弾は安価であるからである。その結果、主に10月7日後の最初の数週間に、数千人の女性や子供、その他の家族がイスラエルの爆弾によって殺害された。さらに、ハマスの重要でない構成員1人につき、イスラエルの殺人システムは、追加で15から20人の市民犠牲者を殺害することを許可している。一方、より重要なハマス構成員の場合、巻き添え殺人の可能性は100人に上る。これは、パレスチナ人に対する集団処罰という通常のイスラエル政策と一致しているだけではない。(「テロリスト」だと彼らが主張する人物の家を爆破することを含む)、それ自身は、ナチスの法律のシッペンハフト原則(つまり、家族や隣人の法的共謀)に驚くほど似ている。
しかしそれはまた、イスラエル政府と軍のモデル作戦の重要な特徴である非人間化を完璧に例示している。非人間化とは、敵を人間以下、あるいは人間ではないもの、あるいは駆除する権利のある動物や害虫として扱うことを意味する(イスラエル人はナチスからその教訓を非常に熱心に学んだ)。ところで、そのアルゴリズムによる殺害方法である驚くべきラベンダープログラムを、ナチスガス室や火葬場と同じくらい無菌で、8200部隊(イスラエル軍最大)*11が作成した、[8200部隊は]主に才能のあるクールな18歳から21歳の若者で構成されており*12イスラエルの大学、軍、産業界の間の円滑な協力を顕著に示している。〔訳注:8200部隊(英:Unit 8200)は、イスラエル参謀本部諜報局情報収集部門の一部署である。8200部隊は米国のアメリカ国家安全保障局NSA)に匹敵する諜報機関であり、軍事機密にかかる知見の高さと大胆な行動をする事が知られている(Wikipedia 日本語版)〕。

この6か月間、イスラエルはまた、パレスチナ住民を支援する保健サービスや人道非政府組織(NGO)のジャーナリストや職員を殺害した。「国際社会」がNGOメンバーの殺害でスキャンダルになるのは、英国、ポーランド、カナダ、米国、またはオーストラリア出身の白人に関してのみである。----これもパレスチナ人の非人間化の一例である。それがただの茶色の「アラブ人」ではなく、金髪碧眼のウクライナ人だったら、まったく違った反応をするだろう...

ホロコーストの矮小化

もちろん、ワンデルもプロパガンダ活動家として、すぐにホロコーストに言及しないわけにはいかない。
ユダヤ系イギリス人監督ジョナサン・グレイザー(1965年)が、2024年3月10日に映画『関心領域』*13(2023;ザ・ゾーン・オブ・インタレス*14 )でハリウッド・オスカーを受賞した際に公に次のように述べた。

《「私たちの選択はすべて、現在の私たちを映し出し、私たちと向き合うためのものだった。昔の人たちが当時何をしたか見てくれというのではなく、今の自分たちが今何をするか、見るよう求めるものだ。私たちの映画は、人間性の喪失が最悪の場合にどんな事態を招くかを示している。それは私たちの過去と現在のすべてを形作っている。今、私たちは、ユダヤ人であることとホロコーストが、非常に多くの罪のない人々を紛争に導いた占領によって乗っ取られていることに反論する人々としてここに立っている。イスラエルでの10月7日の犠牲者であれ、現在進行中のガザ攻撃の犠牲者であれ、彼らは皆この非人間化のすべての犠牲者である。---私たちはどのように向き合えばよいのだろうか。抵抗するのか?》*15

https://www.bbc.com/japanese/articles/c97wj581e8lo

ワンデルもホロコーストの乗っ取り犯の一人だ。

これに関連して、私たちはイタリアのユダヤ美術評論家でエッセイストのステファノ・レーヴィ・デッラ・トーレによるエッセイ(1942年)に注目すべきである。彼は、プリモ・レーヴィエドガール・モランによる初期の著作に基づいて、問題を提示している。
ショア(ホロコーストヘブライ語起源の名称)は、歴史上極端で特異な事実であって、したがって他の絶滅や虐殺とは比べられないものであるか、あるいは、それがあらゆる意味で計画的で組織的な虐殺やジェノサイドのパラダイム(一種・変種)であるかどうか、そして彼は2番目の選択肢を採る回答する。なぜなら、前者を選択することは、アウシュヴィッツの犠牲者の記憶をナショナリスト政治の道具と正当化に貶めることを意味するからである。彼は、そのような歴史的出来事がユダヤ人に二度と起こらないようにショアの記憶が守られているのか、また、ユダヤ人や他の誰にも同じことが二度と起こらないのか疑問に思っている。
ステファノ・レーヴィは、プリモ・レーヴィがどのようにしてショアの特異性を、広島や長崎、強制収容所ベトナム戦争カンボジアの虐殺、アルゼンチンの失踪者〔軍政時代の白色テロ、「汚い戦争」やそれに関与した「コンドル作戦」にかかわる「失踪者」事件のことを指していると思われる〕などの他の恐怖と比較〔kompari〕するのではなく、どのように対比〔konfronti〕させたか、ということに言及している(私は30年前のルワンダでのジェノサイドについても付け加えたいと思う)、そしてこの対比は事柄を矮小化するものではなく、ナチスの絶滅システムの独自性を浮き彫りにするものである。〔kompari: compare と komfronti: confront と、ここでどのような違いがあるのか、浅学すぎる訳者にはわからない。〕
つまり「特異性〔ユニーク・唯一無二〕」とは分析できないという意味ではないということだ。
これにステファノ・レーヴィは、プリモ・レーヴィの思想の要約を付け加えている。《極度の悪は外来のものではなく、月から来るものでもない、そうではなく私たち自身の正常さの中に潜在しているものだ》(これはハンナ・アーレントの有名な作品が思い出ささせる)。プリモ・レーヴィにとって、アウシュヴィッツは恐ろしい、解読不能な否定的な偶像ではなく、潜在的な可能性に対する教訓であり、警告であった。そして、あらゆる絶滅プログラムにおける典型的な一つの有害要素は、死刑執行人による犠牲主義である。 (本当の犠牲者は脅威と見なされる)。
その結果(ステファノ・レーヴィはさらに主張している)現在では、ショアは人道に対する罪の側面を伴うユダヤ人に対する犯罪であったと理解されるべきである。そしてそれはショアの意味を減らすものではなく、逆にそれを強化するものだ。これは普遍的なパラダイムであり、特異性にかかわらず、ではなく、その特異性のゆえである。これは凍結された記念碑ではなく、アクティブで現在的な教訓である。
一部の人がそうしているように、これを否定することは、それを「人道に対する犯罪」から「ユダヤ人に対する人類の犯罪」に変えることを意味してしまう。そうなると、人類はユダヤ人に対して永遠の負い目を負わせられることになり、そういうユダヤ人にいつでも何でも決定し実行する権限を与えることになってしまう。それはユダヤ人を人類から切り離し、それを永遠の犠牲者に変質させることを意味する。まさに(ステファノ・レーヴィの意見では)ネタニヤフがヤド・ヴァシェムイスラエルのショアを記念する公式機関および国立博物館)でパレスチナ人の追放を提案して実行したことと同じであり、ステファノ・レーヴィは次のように結論づけている。「そしてこれは、イスラエルや世界中の非常に多くのユダヤ人にとって、600万人の死者と、ユダヤ人の迫害と虐殺を人類に対する犯罪であると見ること知っている諸国の心ある人たちに対する侮辱であるように私には思われる」*16

テロリストとは誰か

ワンデルはハマスを「根本的なイスラム過激派テロ組織」と呼び、その行動を「イスラム国(英語ではISIS)」の行動と比較している。
パレスチナ人ジャーナリスト、アスマー・アル・グール(1982年)がフランス紙ル・モンドの2023年4月12日付けの記事で書いたように*17、「エマニュエル・マクロンの印象がどうであれ、ハマスは社会から孤立していない。…それを「イスラム国」と同等視することは、分析というよりはコミュニケーション政策に相当する。それは、イスラエル人がガザを統治していたときに容認していたエジプト・ムスリム同胞団の一支部から始まり、2006年の公開選挙で勝利を収めた政治的・武装的抵抗運動となったこの運動の歴史を曖昧にするものだ。イスラム国のようなジハード主義の運動にとって、ハマスは敵だ。ハマスシャリーアを適用せず、大学運営への学生参加や専門職の選挙を含む民主的プロセスに参加する民族主義的な運動だからだ。実際、2018年にガザ南部に出現したイスラム国関連組織は、容赦のない効果的なキャンペーンでハマスによってすぐに排除された。おそらくサハラでのフランス軍の作戦よりもはるかに効果的な取り組みだった」。
その後で書いている。「私たちの価値観、原則、ビジョンは様々ではあるが、この残酷な戦争により、我々にはハマスを容認する以外に選択肢はない。ハマス殲滅を口実に、[イスラエルの]占領軍の戦車、飛行機、軍艦がガザに侵攻し、民間人1万4000人以上(現在は3万3000人以上)を殺害している時、敵はただ一つ、占領である」。さらに彼女は、「人々を守っているこの運動に同調していることを理由に人々を責めることはできない」と付け加えている。

これに関連して、我々が忘れてはならないのは、ハマスのライバルたちを弱体化させるために、いかにイスラエルが特にハマスを財政的に強化するために計らってきたか、である(ライバルとは、主にファタハであるが、パレスチナ解放人民戦線もである)*18。そして、イスラエルハマスからの様々な外交的接触の試みや提案を常に拒否し続けたこと*19を忘れてはならない。

ワンデルは、「約3,000人のテロリストが国境を越え、数時間以内に約1,400人のイスラエル人、そのほとんどが家族、女性、子供、乳児を組織的に殺害した」と書いている。そして「テロリストの後にはガザからの組織化されていないパレスチナ人の群衆が続き、彼らは強盗、強姦、放火を続けた」と。これらの主張は一連の証明されていない告発である(ハマスは否定している)。
イスラエルプロパガンダによる組織的な事実の改ざんに関するさまざまなジャーナリストによる調査によって示されている。70人の首を切られた赤ん坊についての捏造された嘘などは、後に虚偽であることが証明された*20。ワンデルが引用したヨシ・ランドーと保守的な超正統派組織ZAKAが吹聴する「恐怖の出来事」は、ただのウソの塊にすぎない。*21このウソは国際ジャーナリストたちやバイデン米国大統領や外務大臣にさえ無批判に受け入れられ広められた。(「国際社会」は、ガザでの不可欠な人道活動を停止する目的で、国連機関UNRWAに対するイスラエルの証明されていない非難を同様に無批判に即座に飲み込んだ。これに対して、私はUNRWAを支援するために寄付することに決めた。)
同じことは、作戦中のハマスによる女性に対する組織的強姦の告発についても言える。〔por kio?〕欠陥だらけの国連の報告の諸結論ですら、手袋を裏返すように覆された。
「(プラミラ)パッテン氏の報告書には、10月7日の組織的強姦に関する信頼できる情報は何も見つからず、同報告書には調査権限がなく、その任務の範囲内で対処できない明らかな信頼性の欠落があるという事実にもかかわらず、西側メディアはイスラエル政府の主導に従って、10月7日に、ハマスは組織的な性暴力を行ったというイスラエルによる物語を正当化するような、型にはめたような報道をした」*22
殺害に関連して、ハマスの作戦で「殺害されたイスラエル人1,400人」は実際には合計1,139人であり、その内訳は外国人71人、イスラエル民間人695人(うち子供36人)、治安部隊(軍、警察など)373人である。)*23
これらの殺人のうち何件が、いわゆるハンニバル指令の適用によるイスラエル軍自体の「味方による射撃」のせいであるかは明らかではない*24。(ハンニバル指令、つまり、イスラエルの民間人や兵士は、敵に人質として生かされるよりもむしろイスラエル軍によって殺されるべきである、というもの*25)あるいは直接の無差別かつ無制限の銃撃や爆撃による殺人であるか。([ハンニバル指令との関係でここに]述べておくべきことは、3人のイスラエル人捕虜が、すぐに解放されたものの、明らかに非武装だったのだが、後に自国の軍隊によって射殺されたことである)。659人の成人民間人に関して述べれば、イスラエルは女性には少なくとも24ヶ月、男性には少なくとも32ヶ月の兵役を義務付けている(一部の例外を除く)*26。この点において、成人のキブツの構成員や入植者は無関係な民間人ではなく、パレスチナの植民地占領に積極的に参加している人々である。
ハマスの作戦による1,139人の全部または一部の死を悼み、かつまた非難することはできるが、植民地化と占領中にイスラエルによる何万人ものパレスチナ人の殺害も同じである。しかしながら、こうした反省や非難はハマスの様々な活動の動機を理解を助けたりするものではない。
具体的には、アル・アクサ洪水作戦により、パレスチナ人は再び、イスラエルサウジアラビアなどの一部のアラブ諸国との間での大筋合意の受動的な被害者ではなく、この出来事の積極的な主体となった。イスラエルとサウジの合意などは、北アメリカの先住民、またはオーストラリアの先住民のような一種の政治的辺境に彼らパレスチナ人を追い込んでいるとも言える。
さらに、それはイスラエル軍の無敵に関する神話を破壊した。10月7日と8日、イスラエル軍は情報不足、統制の乱れ、複数方面からの攻撃に対する脆弱性を露呈した。イスラエル軍ハマスの排除という、宣言はしたものの非現実的な目標を最終的に達成できなければ、これは失敗、あるいは敗北とさえみなされるだろうし、とりわけそれはイスラエル人とパレスチナ人が軍事的ではなく政治的に共に紛争を解決しなければならないことを意味するだろう。実のところ、ハマスの排除は現在、イスラエルの真の目的を隠す口実のように見えている。それはガザ人全員を絶滅させるか(理屈では「西側」は容認しないだろう)、それともガザ人全員を決定的にエジプトに追放するか(ただしエジプトはその「最終解決」に協力したくないし、いずれにせよそのような「民族浄化」はエジプトとヨルダンにイスラエルとの和平協定を再考させることになるだろう*27 ) --- 結局のところ、ハマスの作戦後は、彼らをこれ以上ガザ強制収容所に留めておくか、あるいは忘却の彼方に置くという考えはもはや不可能になった。メロン・ラポポートの言葉:「停戦が実現すれば、ユダヤ国民はより根本的な問題に直面することになるかもしれない。この状況がこれ以上継続できず、パレスチナ人との永続的な戦争が望ましい勝利を達成できない場合、ユダヤ人が安全に暮らす唯一の方法はパレスチナ人の権利を尊重する政治的妥協であるという真実だけが残る。」 *28 。いずれにせよ、10月7日以前の状況に戻ることは不可能だ。

ワンデルはハマスについて語るのに恥ずかしげもなく「テロリスト」という言葉を使っているが、過去70~80年の間にパレスチナ人が居住地から組織的に追放され、系統的に計画されたパレスチナの「民族浄化」を説明するのに用いるほうが確かに適切である(これについては後述)。
ハマスの戦闘員と彼らに従ったパレスチナ民間人が「国境と障壁」を越えて「イスラエル領土」のキブツや入植地に入り、人々を殺害し、さまざまな犯罪を犯したことは否定されない。フランツ・ファノン (1925-1961) は著書 Les damnes de la terre〔『地に呪われたる者』1961年、邦訳はみすず書房、1969年〕で、植民地化された人々の植民地化する側の人間に対する暴力をテーマに、非常に明確に分析している。
一般的に、テロリストであるイスラエル軍と政府の戦争犯罪を、さまざまなパレスチナ抵抗運動の活動と同一視したり、比較したりしないでいただきたい。この点に関しては、2023年6月4日のガザにおける戦争に関するユダヤアメリカ人の歴史家・政治学ノーマン・フィンケルスタインへのインタビュー(1953年)を注目すべきである*29
そこで彼は、ハマスの戦闘員には他にどのような選択肢があったのかを問題設定している。ここで言うハマス戦闘員とはすなわち、強制収容所で生まれ、収容所で暮らし、原則として収容所で死ぬ運命にある男性たちである。フィンケルシュタインがハマスの活動を、1831年ナット・ターナーのような米国の黒人奴隷の蜂起と比較するのは単なる思いつきではない*30
例えば、2018年のガザでの抗議活動への対応として、イスラエルは189人を殺害し、2万3000人以上を負傷させた*31(障害者を含む*32)ことを忘れてはならない。

自衛について独占的権利とそれ以外の人々のアンチ・セミティズム

考えてみてほしい。いつもイスラエルの自衛の権利について語られるのに、70年も80年も続いている絶え間ない侵略から身を守るパレスチナ人の権利については決して語らないのはなぜだろうか*33。この点に関して、2014年の非常に興味深い記事*34における、パレスチナアメリカ人の活動家ノーラ・エラカット(1980年)の分析に注目してみよう。曰く、占領国として、イスラエル自衛権を主張する権利を有していない。その代わり、占領地の住民に対して義務を負っている。

このテーマは、別のテーマ、すなわち言語操作と直接関係している。ワンデルはアマチュアとしてのみ習得しているが、プロのイスラエル宣伝活動家はこの言語操作を習得している。それについては一冊の本を書く価値があるかもしれない(この記事では、彼の「テロリスト」などの言葉の使用を逆にするだけに限定しました)。その代わりに、私は読者に私の詩 「ダブルスピーク」*35 (最後も参照) を提供しよう。このタイトルは、ジョージ・オーウェルの有名な小説〔言わずと知れた『1984年』〕の二つの単語、doublethink と Newspeak を組み合わせたものだ。

ヴァレリオ・アリ〔Giorgio Silferを指しているものと思われる。Valerio ARI は Silfer のペンネーム〕たちが1990年代にすでにそうしたように、再び私を(新)反ユダヤ主義者と呼ぶ人もいるだろうが、今回は無関心だ、このような誤った侮辱は、アントニオ・グテーレス国連事務総長やジョゼップ・ボレルEU外務上級代表、とりわけイスラエルの蛮行を公に批判するユダヤ人(彼らは「自己否定ユダヤ人」と呼ばれる)に対しても投げかけられた。 )。
特にガザ人やパレスチナ人全般の運命には無関心だが、イスラエル人の運命にはそうではない同志たちを安心させるために、ワンデルは次のように書いている。「幸いなことに、イスラエルエスペランティストは直接的な影響を受けなかったが、国全体が現在困難な状況にあり、学校は機能しておらず、多くの男性が軍隊に動員されており、私たちはより良い、より穏やかな日を期待している」。ワンデルとELI(イスラエルエスペラント連盟)会員は、楽園のような自分に利益をもたらす地域でより良い、より静かな日々を望んでいるだけだ、と『関心領域』のグレイザー監督は言うかも知れない。目と鼻の先の占領下のパレスチナで苦労して暮らしている人々の運命など、ワンデルにとって余所ごとなのである。

入植者による植民地主義のマニュアルの例

シオニストパレスチナ人が植民地主義、具体的には「入植者の植民地主義」に苦しんでいるという事実に異議を申し立てているので、イスラエルの歴史家で政治学者のイラン・パッペ(1954年)による重要な論文からいくつかの文を引用してみよう。
この確認[異論?]は「世界の他の地域、特に南アフリカ、オーストラリア、北米の学者が、シオニズムは米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド南アフリカを建国したヨーロッパ人の運動と同様の現象であることに同意したときに」再び登場した。
「入植者たちは、入植者たちの運動で採用された最も重要な論理、つまり、ヨーロッパの外に入植者たちの共同体を成功させるためには、占領地の先住民を根絶しなければならないという論理に従っていた。これは、この論理に対する先住民の抵抗が単なる解放というだけではなく、根絶に対する闘いであったことを意味する。これは、1948年以来のハマスの活動やその他のパレスチナ抵抗活動を考えるときに重要である」。
「非人間的な扱いをすれば、もっと簡単に追い出すことができる」。
「この円を四角にするために〔無理をやり切るために・めちゃくちゃをゴリ押しするために〕、[イスラエル]指導部は、パレスチナ人に対する彼らの殲滅行動はパレスチナ人の行動に対する「報復」または「対応」であると言い張った。しかしすぐに、この指導部がより抜本的な絶滅行為に移行しようとしたとき、彼らは『報復』という偽りの口実を放棄し、自ら行った行為を正当化することを単純にやめた」。
「私たちは今日、同様のパターンを目撃している。当初、この行動はトゥフン・アル・アクサ作戦への報復として示されたが、現在ではガザをイスラエルの直接統治下に戻すことを目的とした「戦争の剣」と呼ばれる戦争となっているしかし、大量虐殺のキャンペーンを通じてガザの人々の民族浄化を行っているのである」。
「歴史的にもイデオロギー的にも、10月7日がシオニスト運動が1948年に達成できなかったことを達成するための口実として使われていることは明らかだ」。
「したがって、パレスチナ人の非人間化は、教育制度、軍隊における社会化システム、メディア、政治的言説を通じて、イスラエルユダヤ人に陰に陽に届けられるメッセージ(指令)である。パレスチナ人の根絶を根底まで遂行することを望むのであれば、この指令は伝承され、保存されなければならない」。
世俗的なユダヤ人と超現代シオニズムユダヤ人の両方によるイスラエルにおけるネタニヤフ政府に対するデモに関連して、パッペは次のように説明する。
「これら二つの勢力の視点には、次のひとつの点を除いて共通点はない。両陣営ともパレスチナ人のことなど気にしておらず、イスラエルの存続はパレスチナ人に対する撲滅政策の継続にかかっていると信じている。これは水分を保持しない[?]。これは崩壊し、内部から爆縮するだろう。21世紀において、共通の帰属意識が撲滅的ジェノサイド計画の一部であるという根拠に基づくような、国家と社会を維持することなどできないからだ」。
「想像を絶する災難であったナクバでさえ、私たちが現在見ているもの、そして今後数か月以内に目にするものと比較することはできないだろう」と結んでいる*40
しかし、ネタニヤフ首相だけを非難するのは単純化であり間違いであることに注意すべきである。イスラエル人の大多数は確かに彼と、より極右のファシスト政党に投票し、今でもガザでのイスラエル軍の行動を支持している。再びデモが行われているが、ネタニヤフ政権に反対してデモを行っているイスラエル人やELI(イスラエルエスペラント連盟の)宣言の起草者や署名者たちは、実際には自分たちの特権を守っているだけである。彼らはイスラエルによるパレスチナ占領とアパルトヘイトに対して抗議したりはしていない。彼らは植民地化されたパレスチナの、「関心領域」(特区)で幸せに幸せに暮らしているのだから。

「世界」は何らかの反応を示しているのか

ガザ地区におけるジェノサイド犯罪の予防及び処罰に関する条約の適用(南アフリカイスラエル)」*41 )の訴訟がついに国際司法裁判所で行われることになったのは良いことだ。ただし、様々な国からの圧力により、期待される結果がえられるか、私は疑問に思ってはいるが。
結局のところ、南アフリカほどアパルトヘイトとは何なのかをよく知っている国があるだろうか?いずれにせよ、イスラエルは国連やその他の国際機関の決定を不処罰で無視することに慣れており、1907年のハーグ[陸戦]条約の第42条から第56条まで)および1949年の第4回ジュネーブ条約*42に規定されている、国際法の観点から「占領」[に関する規定である「第三款 敵国の領土における軍の権力」]に規定されている諸条件の非常に多くの項目について、イスラエルは繰り返し違反してきた。
大量虐殺への共謀の理由で、さらに、主として米国(最も継続的かつ偽ってイスラエルに資金と武器を供給し、国連やあらゆる国際機関や国際フォーラムにおいてイスラエルを擁護している)を訴追すべきであるが、無条件かつ無批判な支援を行っているドイツも訴追すべきである。(とりわけ武器によってだけではなく、政治会議や文学賞を検閲することによって)、道徳的原則によってではなく、「ホロコースト」によって、良心を洗うこと[ホロコーストを踏み絵にすること]が、その政治の不可欠な部分となったからだ。
「ドイツの政治階級がイスラエルについて話すとき、話すことは彼らは主に自分自身についてである。ドイツの支配階級とイスラエルとの関係が台座になっているが、その台座の上に、ナチス以降のドイツは自分の進歩的なアイデンティティのを置いている。なので、イスラエルに対するドイツ人の態度は、こうした二国間関係や歴史、歴史の本当の内容というよりは、ドイツ人自身の精神状態についての方をはるかに多くのことを示している」*43。(残念なことに、これまでドイツの共犯に対して訴訟を提起したのはニカラグアだけであった)。
一部の欧州当局は、デモなどでパレスチナ国旗やその他の親パレスチナのシンボルを検閲し、禁止するという独裁的な考えに至っている。 (イスラエル人からの同じような、もっと暴力的な反応を避けるために、われわれはパレスチナ人が選んだ新しい国家の象徴として、彼らからスイカを借りてこなければならなくなる。あり得ることだ)。

エスペラント運動におけるイスラエルの人

ところで、アムリ・ワンデルとはいったい何者で、どういう人物なのか考えてみよう。職業的には、エルサレムヘブライ大学の天体物理学の博士であり、そのキャンパスは占領下のエルサレムにあるスコーパス山(アラビア語:略)にあり、大学自体が占領に積極的に参加している*44
忘れてはならないのは、イスラエルの大学は、兵器技術の開発から戦争犯罪の告発に対する法的防御の提供に至るまで、あらゆるレベルでイスラエルの占領メカニズムに参加していることである。たとえば、彼が1974年に卒業したテルアビブ大学*45も例外ではない。(イスラエル軍、産業界、大学の間の親密な協力を「血の三位一体」と呼ぶこともできる*46)。
英語版ウィキペディア *47 によると、彼、ワンデルは 1974 年から 1980 年までイスラエル軍に勤務していた (6年間も!)。さらに、彼は 2000 年代初頭からモディイン・マッカビム・ロイト市の一部であるモディインに住んでいるが、そのうちのもう 1 つの地域(マッカビム地区)はEUからはイスラエルの一部として認められていない。ということは、彼は自分の家のすぐ近くで何が起こっているかについて知らなかったなどと主張することはできない、ということである。
さらに、天体物理学の博士としては意外なことに、ワンデルはツアーガイドとしても職業的に働いている*48。おそらくむしろ、エスペラント界における長きに渡るイスラエルの公の顔としての奉仕のお陰で、---エスペラント界とは、より具体的には、最初はTEJOで、そして現在はUEAとその雑誌『エスペラント』(他の多くの雑誌でも)において、ということだが、---彼はイスラエルフェイク情報宣伝省に非公式の補助金や給与ををもらって、汗だくな仕事を避けられるよう頼み込んだのかも知れない。ネタニヤフ首相による殺戮計画を広報し、擁護する資格が十分にあることをすでに十分に証明している。