学生時代の私の「神」 (original) (raw)
「ジョジョの奇妙な冒険」の作者である荒木飛呂彦先生、
「春の祭典」の作曲者であるイーゴリ・ストラヴィンスキー、
そして、指揮者の**アルトゥーロ・トスカニーニ**。
学生時代の私にとって、この三人は誇張でも何でもなく「神」であった。
当時の私の熱中・夢中ぶりは、若さのなせる忘我の崇拝そのものだった。
「神」ことトスカニーニが残した超名盤に、**レスピーギ作曲のローマ三部作**がある。
中でも私がよく聴いてしまうのは、「ローマの祭り」の終曲「主顕祭」だ。
ローマ三部作の中で、もっとも通俗的な(決して上品とは言い難い)「ローマの祭り」。
その中でも一際「はっちゃけた」「軽薄な」作品だ。
こうした作品の性格ゆえか、オーマンディのような例外を除いて、19世紀生まれの有名指揮者の殆どが「ローマの祭り」など一度も指揮していないと思う(バーンスタイン以降の世代が少しずつ取り上げるようになった)。
本来ならば、トスカニーニのような大巨匠指揮者が取り上げるようなレパートリーではない。
驚くべきことに、録音から70年以上経過した現在に至るまで、トスカニーニ盤を超える演奏は出てきていない。
圧倒的な音のエネルギー・鋭さ、カンタービレの豊かさ、絶妙なテンポ設定・変化、強烈なグルーヴ感……本当にとてつもない!!
演奏箇所をポイントごとに、つまり楽譜上の縦軸で、一瞬、一瞬を捉えて聴いてみると、決して完璧な演奏ではない。
むしろ、後進世代の演奏の方が、楽器同士のバランスに優れたものが多い。
しかしながら、横に流れる音楽として聴くと、完全にトスカニーニの圧勝なのである。
何度聴いても血湧き肉躍る、私に力を授けてくれる奇跡のような演奏だ。