『蒼天航路』漫画:王欣太/原案:李學仁 その14 (original) (raw)
28・29・30巻の途中までです。
ネタバレします。
曹操は執拗に攻撃してくる馬超を罵りひねり潰すのだと叫ぶ。それほど馬超の憎悪と力は凄まじかったのだ。
が、許褚は猛り狂う曹操を押しとどめて小舟に乗せ逃げ延びた。
ここは横山版で私がもっとも曹操✖許褚名場面と思っているところだが本作でもそれは変わらず。ここは変更できなかったようだ。
馬超と韓遂の話は横山版も良かったが本作ではより韓遂の魅力が描かれ読みごたえがある。中原の主に従うのではなく抗い続ける民の魅力がある。
しかし曹操の力はそれを上回る。
曹操は都へ帰還した。
ここから曹操と荀彧の最期の物語となる。
本作を読んで本当に良かったと思ったものの一つが荀彧だ。
ちょっともう可愛すぎてしょうがない。
最初は軍師として登場するが郭嘉・賈詡などの凄まじい軍師の登場で留守番係となっていく。(と本作からは感じられる)
しかし本作での曹操は荀彧を軽んじてはいない。
久しぶりの行軍の前に薬を飲んで昏睡した荀彧の心臓は弱っていた。
食がかなわず鍼と灸で気血を調えるしかないという。
荀彧にとって国である漢の終りは重いものだった。敬愛する曹操がその幕を引く人物になってほしくなかったのだ。
思い悩む荀彧に曹操から届いた箱の中には丸められた紙のみがあった。
広げても何も書かれてはいない。
「おまえにやるものはなにもない」
そう悟った荀彧は眠り薬をかき集めて飲む。
荀彧逝去。
玄徳は劉璋に招かれて入蜀し百日に及ぶ宴席の後、漢中張魯の討伐に出る。
が、玄徳の思いは若妻・孫燿との別れにあった。
その嘆きもありながら玄徳は劉璋に反旗を翻し成都へ向け進軍す。
龐統死去。
さて涼州の奥へと逃れた韓遂は西平に遁走して叛乱の人生の幕を下ろす。
馬超はいったん立ち上げた軍を離れひとり彷徨いたどり着いた場所が玄徳だったのだ。
玄徳はしばらくぶりで張飛と合流。
玄徳軍にはその張飛と趙雲さらに馬超、そしてそこに孔明が加わった。
しかも孔明は南蛮で買い占めた水牛に引かせた新兵器を持ち込み屯田計画・新法の草案を玄徳に捧げたのである。
横山版というか三国志演義では玄徳の嫡子・阿斗を連れ出して張飛・趙雲がそれを奪い返す話があるが正史にはないという。
本作では荊州にいる関羽が孫燿を送り出しついていこうとした阿斗を孫燿がはっきりと追い返す話になっている。
何晏というのは曹操の側室・尹氏の連れ子なのだ。彼は曹植たちとともに育てられたという。さすが人妻好きの曹操らしい一面である。
この何晏、のちに老荘哲学をきわめて玄学を創始。同時に「五石散」というドラッグを流行らせ詩文の世界を作ったという。いろんな人材がいる曹操の周囲である。
荀攸が死にそれに入れ替わるかのように司馬懿の軍才が求められた。
途中ですがここまで。