NYTとlithubの21世紀(今のところ24年だけど)のブックリスト (original) (raw)
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ニューヨークタイムズ紙が7月半ばに21世紀の100冊を発表した。
作家、詩人、批評家など文芸に携わる503人にそれぞれ10冊を挙げてもらい集計した結果らしい。まだ24年なのに21世紀と銘打つのか、とか同一作家の複数作品が挙がっているのは単純集計ならまあしょうがないかもしれないが「21世紀の」と大きく出るなら単純に好きなもの挙げろではない基準があってしかるべきでは、とか気になる点はままある。さらにニューヨークタイムズはイスラエルのジェノサイドに肯定的でトランス差別的言説もたびたび取り上げているという偏りがある点も留意すべきだろうと思う。
これに対してlithubという文芸メディアが「ニューヨークタイムズのリストから漏れているが追加すべき21世紀の71冊」という記事を出した。
私の観測範囲でしかないので当然漏れはあるだろうが、lithubはイスラエルのジェノサイドを明確に批判しているほぼ唯一と言ってよい文芸メディアだと思う。何百人もの文芸に携わるあらゆる業種の人間に聞いたらしいのにlithubで声をかけられた人はなぜか1人もいない、失礼しちゃう、みたいな皮肉たっぷりの前説に続けてNYTのリストよりバラエティに富むように思える71冊が選ばれている。私が極端に愛するA Little LifeがNYTのリストにはなくて驚愕したがこちらには入っている。
いずれにしてもこのようなランキングリストはどうしても権威主義的になるし、となるとなおさら非白人・非シス・非ヘテロの著者・内容の比率はデフォルトでグラフでもつけるべきだろうとも思う。けれども、それでもやっぱりリストは好きというのとこれを参考に読み進めるのもまあありかな・・ということですでに邦訳をピックアップした方が何人もいらっしゃるのでそれらを参考にいちおう全部確認し未訳を含めて加筆した両方のリストを参考まで載せておきます。邦訳作品数はNYTで71、lithubで33で、思ったより多いなと感じた。調べながら新潮クレストと白水社エクスリブリス率が高かったような気がする。訳者、出版社、出版年、版元リンクまで手が回らず無念。
ニューヨークタイムズの100冊リスト:
- エレーナ・フェッランテ『リラとわたし』
- Isabel Wilkerson, The Warmth of Other Suns
- ヒラリー・マンテル『ウルフ・ホール』
- エドワード・P・ジョーンズ『地図になかった世界』
- ジョナサン フランゼン『コレクションズ』
- ロベルト・ボラーニョ『2666』
- コルソン・ホワイトヘッド『地下鉄道』
- W・G・ゼーバルト『アウステルリッツ』
- カズオ・イシグロ『わたしを離さないで』
- マリリン・ロビンソン『ギレアド』
- ジュノ・ディアス『オスカー・ワオの短く凄まじい人生』
- ジョーン・ディディオン『悲しみにある者』
- コーマック・マッカーシー『ザ・ロード』
- レイチェル・カスク『愛し続けられない人々』
- ミン・ジン・リー『パチンコ』
- マイケル・シェイボン『カヴァリエ&クレイの驚くべき冒険』
- Paul Beatty, The Sellout
- ジョージ・ソーンダーズ『リンカーンとさまよえる霊魂たち』
- Patrick Radden Keefe, Say Nothing: A True Story of Murder and Memory in Northern Ireland
- Percival Everett, Erasure
- マシュー・デスモンド『家を失う人々 最貧困地区で生活した社会学者、1年余の記録』
- キャサリン・ブー『いつまでも美しく: インド・ムンバイの スラムに生きる人びと』
- アリス・マンロー『イラクサ』
- リチャード・パワーズ『オーバーストーリー』
- Adrian Nicole LeBlanc, Random Family
- イアン・マキューアン『贖罪』
- チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ『アメリカーナ』
- ディヴィッド・ミッチェル『クラウド・アトラス』
- Helen DeWitt, The Last Samurai
- ジェスミン・ウォード『歌え、葬られぬ者たちよ、歌え』
- ゼイディー・スミス『ホワイト・ティース』
- Alan Hollinghurst, The Line of Beauty
- ジェスミン・ウォード『骨を引き上げろ』
- Claudia Rankine, Citizen
- アリソン・ベクダル『ファン・ホーム ~ある家族の悲喜劇』
- タナハシ・コーツ『世界と僕のあいだに』
- Annie Ernaux, The Years
- ロベルト・ボラーニョ『野生の探偵たち』
- ジェニファー・イーガン『ならずものがやってくる』
- ヘレン・マクドナルド『オはオオタカのオ』
- Claire Keegan, Small Things Like These
- マーロン・ジェイムズ『七つの殺人に関する簡潔な記録』
- トニー・ジャット『ヨーロッパ戦後史』
- N・K・ジェミシン『第五の季節』
- Maggie Nelson, The Argonauts
- ドナ・タート『ゴールドフィンチ』
- トニ・モリスン『マーシイ』
- マルジャン・サトラピ『ペルセポリス』
- ハン・ガン『菜食主義者』
- エルナン・ディアズ『トラスト―絆/わが人生/追憶の記/未来』
- ケイト・アトキンソン『ライフ・アフター・ライフ』
- Denis Johnson, Train Dreams
- アリス・マンロー『ジュリエット』
- ジョージ・ソーンダーズ『十二月の十日』
- Rachel Kushner, The Flamenthrowers
- ローレンス・ライト『倒壊する巨塔』
- バーバラ・エーレンライク『ニッケル・アンド・ダイムド -アメリカ下流社会の現実』
- Hua Hsu, Stay True
- ジェフリー・ユージェニデス『ミドルセックス』
- キエセ・レイモン『ヘヴィ あるアメリカ人の回想録』
- Barbara Kingsolver, Demon Copperhead
- ベン・ラーナー『10:04』
- Mary Gaitskill, Veronica
- Rebecca Makkai, The Great Believers
- フィリップ・ロス『プロット・アゲンスト・アメリカ』
- Justin Torres, We the Animals
- アンドリュー・ソロモン『「ちがい」がある子とその親の物語』
- シーグリッド・ヌーネス『友だち』
- Michelle Alexander, The New Jim Crow
- Edward P. Jones, All Aunt Hagar's Children
- トーヴェ・ディトレウセン『結婚/毒――コペンハーゲン三部作』
- スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ『セカンドハンドの時代』
- Roberto Caro, The Passage of Power
- エリザベス・ストラウト『オリーヴ・キタリッジの生活』
- モーシン・ハミッド『西への出口』
- ガブリエル・ゼヴィン『トゥモロー・アンド・トゥモロー・アンド・トゥモロー』
- タヤリ・ジョーンズ『結婚という物語』
- Jon Fosse, Septology
- ルシア・ベルリン『掃除婦のための手引き書』
- エレナ・フェッランテ『失われた女の子』
- John Jeremiah Sullivan, Pulphead
- フェルナンダ・メルチョール『ハリケーンの季節』
- ベンハミン・ラバトゥッツ「私たちが世界を理解しなくなったとき」(『恐るべき緑』所収)
- シッダールタ・ムカジー『病の皇帝「がん」に挑む ― 人類4000年の苦闘』
- ジョージ・ソーンダーズ『パストラリア』
- David W. Blight, Frederick Douglass
- Torrey Peters, Detransition, Baby
- Lydia Davis, The Collected Stories of Lydia Davis
- ヒシャー・ムタール『帰還: 父と息子を分かつ国』
- ヴィエト・タン・グエン『シンパサイザー』
- フィリップ・ロス『ヒューマン・ステイン』
- Elena Ferrante, The Days of Abandonment
- エミリー・セントジョン マンデル『ステーション・イレブン』
- ゼイディ・スミス『美について』
- ヒラリー・マンテル『罪人を召し出せ』
- Saidiya Hartman, Wayward Lives, Beautiful Experiments
- Jesmyn Ward, Men We Reaped
- アン・パチェット『ベル・カント』
- アリ・スミス『両方になる』
- デニス・ジョンソン『煙の樹』
lithubの71冊リスト( 刊行年-著者名順) :(※何度数えても69冊だった)
- Emma Donoghue, Slammerkin
- テッド・チャン『あなたの人生の物語』
- ジョン・マクガハン『湖畔』
- ZZ Packer, Drinking Coffee Elsewhere
- ジョナサン・レセム『孤独の要塞』
- ジュンパ・ラヒリ『その名にちなんで』
- スザンナ・クラーク『ジョナサン・ストレンジとミスター・ノレル』
- トム・マッカーシー『もう一度』
- デヴィッド・フォスター・ウォレス『ロブスターの身』
- Curtis Sittenfeld, Prep
- 村上春樹『海辺のカフカ
- Amy Hempel, Collected Stories
- Deborah Eisenberg, Twilight of the Superheroes
- ケリー・リンク『マジック・フォー・ビギナーズ』
- ロベルト・サビアーノ『死都ゴモラ―世界の裏側を支配する暗黒帝国』
- タナ・フレンチ『悪意の森』
- スティーヴン・ミルハウザー「危険な笑い」 (『十三の物語』所収)
- Rick Perlstein, Nixonland
- Maggie Nelson, Bluets
- チャイナ・ミエヴィル『都市と都市』
- Jenny Erpenbeck, Visitation
- C. D. Wright, One With Others
- ティモシー・スナイダー『ブラッドランド ヒトラーとスターリン 大虐殺の真実』
- テア・オブレヒト『タイガーズ・ワイフ』
- Natalie Diaz, When My Brother Was an Aztec
- ギリアン・フリン『ゴーン・ガール』
- カール・オーヴェ・クナウスゴール『わが闘争 父の死』
- Louise Erdrich, The Round House
- ロビン・ウォール・キマラー『植物と叡智の守り人』
- フアン・ガブリエル・バスケス『物が落ちる音』
- アレクサンダル・ヘモン『私の人生の本』
- カレン・ラッセル『レモン畑の吸血鬼』
- Miriam Toews, All My Puny Sorrows
- ジェフ・ヴァンダミア『全滅領域』
- Kerry Howley, Thrown
- Merritt Tierce, Love Me Back
- Yuri Herrera, Signs Preceding the End of the World
- Fiston Mwanza Mujila, Tram 83
- ウィリアム・フィネガン『バーバリアンデイズ』
- Margo Jefferson, Negroland
- Hannya Yanagihara, A Little Life
- Mike McCormack, Solar Bones
- Danielle Dutton, Margaret the First
- Garth Greenwell, What Belongs to You
- Elif Batuman, The Idiot
- Ottessa Moshfegh, Homesick for Another World
- カル・マリア・マチャド『彼女の体とその他の断片』
- Layli Long Sodier, WHEREAS
- Adania Shibli, Minor Detail
- adrienne maree brown, emergent strategy
- オルガ・トカルチュク『逃亡派』
- サリー・ルーニー『ノーマル・ピープル』
- Richard Wagamese, Indian Horse
- リン・マー『断絶』
- アフマド・サアダーウィー『バグダードのフランケンシュタイン』
- トミー・オレンジ『ゼアゼア』
- Deborah Levy, The Man Who Saw Everything
- Jake Skeets, Eyes Bottle Dark with a Mouthful of Flowers
- Susan Choi, Trust Exercise
- アンナ・バーンズ『ミルクマン』
- Sarah M. Broom, The Yellow House
- Agustin Fernandez Mallo, Nocilla Dream
- ロバート・マクファーレン『アンダーランド:記憶、隠喩、禁忌の地下空間』
- エリック・ヴュイヤール『その日の予定』
- Jessamine Chan, The School for Good Mothers
- Sarah Schulman, Let the Record Show: A Political History of ACT Up New York 1987-1993
- Patricia Lockwood, No One is Talking About This
- Harald Voetmann, Sublunar
- Paul Murray, The Bee Sting