Phantasie File (original) (raw)
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レビュー3回目(最終回)。
総評
テキストベースのファンタジーゲームとしてはベーシックなコマンドタイプ戦闘ながらコマンド入力をパーティ単位で決定せずキャラクターごとの素早さで判定をすることで処理することでリアルタイム戦略と臨機応変な戦いを可能とした点*1、
また隊列システムの複雑化、それによる遠距離武器の意味を持たせた点も良い。
HPがゼロになっても昏倒状態となり、それ以上被害が受けなければ死亡せず、低レベルである「応急手当」呪文などで復帰できるのもまさにデストラップで全滅もしくは半壊を防ぎ、特に低レベル時での継戦能力にも寄与している。正直、他のゲームでも見習い実装して欲しいシステムだ。
経験値=成長をモンスター撃破だけに頼らない本来RPGへの原点回帰システム。
モンスター種類*2やアイテム数*3の膨大さ。さらにはMAPの広大さ。
オープンワールドと言うには洗練されてはいないが、その成立に十分寄与したと思われる。
ただ、全く問題がないとは言えない。オリジナルが発売された1986年では先進的だったが、日本での発売時期である1988年を考えると2年程度の時差があり、当時のゲーム進化を踏まえると致命的ある。
『ソーサリアン』や『ハイドライド3』との比較になれば、ビジュアルや表示と言ったグラフィックの点では物足りないし、BGMや効果音もとても手放しでは褒められはしない。また、攻略の自由度という先進的な面白さもあるが、遊びやすさではDQシリーズには及ばない。
それらは移植スタッフも重々承知していたのだろう。Ⅱは日米同時発売に踏み切ったがそれはそれでトラブルを生んでしまった*4。
ただ、個人的には色々な難点もありながらも、米国ファンタジーゲーム文化に対する奥深さとシステムへの探求を知る事ができた点が魅力だった。
シナリオ面でもプレイヤーキャラクター達の世界は、実は惑星でもファンタジー世界ではなく、ヴァーンとは Vehicular Astropod Research Nacelleの略であり、宇宙船の一区画だったと言う終盤での伏線回収は、当時のゲームとしては、あまり類を見ないエンディングだった。日本でも『ラストハルマゲドン』(1988)は近い構想を持っていたが、それを「行き過ぎた科学発展による滅亡と再生」と言った「文明批判」にはせず、純粋なサイエンスフィクション的驚きとして描いたことは逆に新鮮さを感じた。
最後の最後で知らされる事実 PC98版
今回ウン十年ぶりに、再度プレイすることで日本での発売時期だけが大変惜しい作品であり、米国での評価が高い理由が分かった点が最大の収穫だった。
以上
前回に続き、マイトマの攻略ついて語って行きたい。
現在プレイするにあたって、まず資料を集めた。
書籍としてまとめられているいわゆる攻略本としては、
『マイトアンドマジックHANDBOOK』フェイザーインターナショナル著
『マイトアンドマジック(Ⅰ)(Ⅱ)コンプリートブック』月刊ポプコム編部編
があるのだが、分かりやすく基本情報が記載されていない上に、装備などの解説がゲーム的にもファンタジー情報的にも間違っている部分が多い。また全体MAPがかなり分割して記載されているなど見ずらいこともあり扱いづらい。またクリアに必要な情報が最適し記載されていないため、書籍を読み込まないと必要な情報がすぐに見つからず実用性が低い。
『コンプリートブック』については、ソフトハウスのインタビューが読み物として、面白いのだが、ゲームプレイ用としてはいまいちであり、特に「マイトマⅠ」の情報が後期に作られたものでありながら微妙で、コレクターアイテム以外ではあまりお勧めできない。
個人的に一番役立った書籍は当時の雑誌の攻略情報と付録『Might and Magic全世界図』(コンプティーク1988/5月号)だった。
これも不完全ではあるが*1、雑誌等の情報と組み合わせれば、役立つ情報源であった。特に裏技扱いではあるが、「不具合」情報も載っており、エミュレータ―による不具合と切り分けに役立った。
現在プレイするにあたり、これよりも信頼性が高い情報を求めるなら、このサイトで*2ある。当時の状況やプレイヤーの生の感想があり、貴重である。
バージョンの相違について
現在、自分がプレイ経験があるのは次の通り
PC88版 PC98版(クリア済) X68000版 MSX2版 (クリア済) DOS*3版 ファミリーコンピュータ(FC)版
全バージョンで何故かアンデットモンスターに「睡眠」が効果的であったり、「PHANTOM」「WEREPHASE MUMMY」「WIGHT」に「土へ戻す」が効果ないなど若干癖がある*4。
不具合は前回話したもの以外に、「能力値上昇」が「知性」のみ最大25+4*5が上限になる(MSX2で確認)。DOSやFCでは上限がない(システム上意味があるのは40までだが)。
PC98はⅠだけプレイするなら問題がない。環境が整えられるのであれば快適なプレイが可能だ。敵グラフィックもFCに比べ、日本で書き下ろされたDnD基準でもあるし、自分はイメージが湧きやすく好みである。ただし、Ⅱに大きな問題*6がありなかなか悩むところ。ⅠⅡまとめてプレイ*7したいのなら、環境を整えやすさからもMSX2が妥当だと思う。何か行動(コマンド入力)するつど、BGMが止まるのはいただけないが。
FCはメインシナリオがかなりアレンジされ、自分が感じるマイトマ感が損なわれている気がする。だが、グラフィックやBGMの出来が当時基準でも良く*8、オートマッピング機能が整備されておりプレイしやすいのが特徴で、実機環境を整えやすいのも大きな利点である。
パーティ(PT)編成
隊列 ①騎士(ナイト)②戦士(パラディン/パラ)③僧侶(クレリック/クレ)
④盗賊(ローバー)⑤射手(アーチャー/アチャ)⑥魔術師(ソーサラー)
ナイト:必要能力 強さ/耐久力/正確さ/素早さ 純粋な戦闘職。高HPで生存力に長け、マルチアタック(Hit回数増加)のため殲滅力が高い。LVUPしやすいのも利点。
パラ:必要能力 強さ/耐久力/正確さ/魅力/素早さ 高めのHP。マルチアタック。専用装備(G/Eのみ)。マジックレベル4までの僧侶系呪文で回復補助。
ローバー:必要能力 耐久力/正確さ/素早さ/幸運度 「RingMail」まで装備。序盤はクロスボウが使えるので攻撃要員だが、中盤以降はアイテム係。マルチアタックが無いため攻撃力には難。人によっては使わない人も。
クレ:必要能力 魅力/耐久力/素早さ(18以上を強く推奨)「ChainMail」まで装備。飛び道具不可。回復専門家。一般的なクラスイメージと異なり防御系呪文が微妙。ソーサラーに比べ攻撃/防御呪文が弱い。後半屋内では「マヒ」しかする事が無いが、こと対アンデットに対しては「土に戻す」「聖なる言葉」での威力が光る。
アチャ:必要能力 正確さ/素早さ/耐久力/知性 「ChainMail」まで装備だが「ULTIMATE PLATE」装備可能でもある。盾不可のため両手武器要員。マルチアタックによる物理火力は一番高い。マジックレベル4までの魔術師呪文。つまり「稲妻」をつかえるのも大きい。
魔術師:必要能力 知性/耐久力/素早さ 「PaddedArmor」まで装備。ほとんど武器が装備できず、飛び道具も不可。正直序盤の呪文は役立たないがクリア必須呪文を多く覚える。「DiamondDagger」のおかげでマルチアタックなしでも物理高火力、また「ULTIMATE PLATE」装備可能で防御力も高い。HPが低いのは難点。
必要能力については15以上が目安。
育成と立ち回り
序盤
- ソーピガルを出てC-2 2-10の宝箱の中身何度か回収し、ソーピーガルで買えるもので、装備を整える。
毎回お世話になる宝箱 売却で90ゴールド程度 - C-3 隠者(無限に「PT1番目の持ち物」とMAP交換してくれる)で出来る限りのゴールドを稼ぐ(到達には固定エンカ有)「PIRATES MAP B」限界まで抱えて戻り売る。
手ぶらでも「交換」してくれる聖人 - ソーピガルの隠し部屋 11-3の妖精にGEMを払い、ダスクへ移動(2回目以降は魔術師の「飛行」で移動)。
- ダスクで武具+1を揃え「RETURN SCROLL」を購入(2回目以降は魔術師「飛行」で)
- クレ又は魔術師(「飛行」のためやや優先で)に残ったゴールドを全て集める。
- ドラガデューンの城E-1 12-12の泉13-15を利用し、ゴールドを経験値に変える。
- 「RETURN SCROLL」または「飛行」を使ってソーピガルに戻る。
- 再度C-3の隠者でゴールドを稼ぐ。
- トレーニング場でゴールドを経験値に変えたキャラクターを鍛え、LV7程度鍛える。
中盤
- ホークスアイヒルズの洞窟 D3 7-13 サブクエスト周回。ソーサリーとアーチャーの知力を25まで上げつつ、経験値とジェムを稼いでおく。
- PC88/98版のみだが同MAP0-2のサブクエストを周回(不具合で一本の木に登るだけで完了できる)。目標は「BOOTS OF SPEED」で、プリに装備できるまで。
- C1 9-14の魔法の泉で一時的(1エンカウントまたは装備変更/休息まで)マジックレベル7に。
- E4 (0~8)-8で棺を荒らし、VAMPIREと戦闘。(6人PTで~4000EXP)プリが素早さ18+BOOTS OF SPEEDでほぼ先手が取れるので7-2「聖なる言葉」で全員確殺。また4-6で生ける死体が助けると、50GEMが手に入るので合せて集めると良い。
終盤
- LV13で魔法専門職がマジックレベルL7に到達。素早さと耐久力優先で能力値上昇(詳細下記)させておく。
- B2 2-1 7-2「聖なる言葉」を使いリッチ6-3を狩る(「気化」必須)
※E4 3-6 礼拝堂を暴くとLICHと戦闘(6人PTで~6000EXP)でも良い。
普通に戦うと強敵だが、先制「聖なる言葉」でカモに - 全モンスター中1,2を争う高ティアのトレジャーが期待できるので「物品の複製」を併用しつつ装備を充実させる。
- 補充やセーブはB3 3-12ポートスミス。レベルアップ用にゴールド稼ぎ(詳細下記)でホワイトウルフの城9-13に寄って良い。
- 若干補給とセーブが面倒だが「GOLD DRAGON」と戦闘と戦うのも良い。
魔法の森の要塞B-3 14-2。地下2階3-4「小さな白黒ブチの犬の聖像」を汚すと「GOLD DRAGON」を含む敵が際限なしでエンカウント。Litcより高ティアアイテムが期待できる。問題点として連続使用すると「GOLD DRAGON」の含まれる率が高くなるので負ける危険性が増える。
能力値上昇(永遠)
- 強さ:ポートスミス地下0-12のプール +4(BRONZE KEY)
- 知性①:ホークスアイヒルズの洞窟D3 7-13 クエスト報酬+2。上限25
- 知性②:砂漠E2 3-13 エイリアンの機械+4
- 耐久力:A-1 12-1 エンカの先+4
- 魅力:砂漠D2 10-12クレリックの里+4
- 速さ:ダスク地下14-5 落とし穴+エンカウント×1+4
- 正確さ:ダスク地下15-15 「精神防御」必要。+4
- 幸運度:ドラガデューンの城E1 12-12 1-1 +4
再度、能力値上昇を行うのならドラガデューンの城3階の僧侶に会う。
ブラックリッジ サウス城 11-5に落とし穴があり、ドラガデューンの地下3階 7-4に直接行くことができるので利用をお勧めする(「気化」必須)。
- C-3(2-10)隠者。一周で最大31500ゴールド
- ホワイトウルフ城のバリア向こうの金袋(要「気化」の呪文)各キャラ3000ゴールド。外にでると再配置。固定エンカウントこそあるが、個人的には手間が少なく一番稼ぎやすい。
ゲームコンプリート
メインクエストの流れをまとめてみた。この流れのみでゲームクリアが可能。他のクエストをクリアしなくてもこれだけ終わらせれば、コンプリート扱いになる。
- ソーピガル地下1-2で老人から巻物(固定エンカウント複数)
- エルキューン11-12 宿の奥で(セーブを一度キャンセルし壁をすり抜け)アガールに巻物と次の巻物を交換。
- ダスク8-0 テルゴランに巻物を渡す
- アルガリー1-15 ゾムに会う(6のフラグ)
- ポートスミス12-2 ザムに会う(6のフラグ)
- C-1 15-15 宝箱。「RUBY WHISTLE」
- C-1 5-7 壊れた馬車を調べて「MERCHANTS PASS」
- B-3 14-2の魔法の森の要塞で「RUBY WHISTLE」を2回鳴らして侵入
- 魔法の森の要塞B2 3-4石造で白黒斑の犬から「GOLD KEY」
- C-2(9-11)でジプシーからPT全員の紋章の色を聞いた後、A-4 4-2で紋章の色を回答(1/6以上正解で)「CORAL KEY」
- C-4 7-2ボルカニック諸島の洞窟「CORAL KEY」で侵入し、0-5「VOLCANO GOD」に会い「謎を求めて」「GALA」と回答。「KEY CARD」
今発売したら確実コンプラ問題 - A-1 7-14 デューム城の秘密の通路から入る。条件はMAPスタートから歩いて城まで到着(気化」の使用はOK)。真の王に出会って「EYE OF GOROS」。部屋にはいるには「GOLD KEY」。※途中はテレポートの罠により無限回廊状態。
鉄の鎧って宇宙服ってこと? - A-2 0-15 ドルイド僧パルセラで「誓う」で「KINGS PASS」
誓わないとモンスターをけしかけてくる - E-3 11-7のアラマー王の城に入り「MERCHANTS PASS」「KINGS PASS」が必要。アラマー王にあって偽王の正体を「EYE OF GOROS」で暴く。
ここで倒せれば(続編は無くなるが)被害が最小限だったのだが・・・ - ソウルメイズに落とされ、MAPを作る。さかさまにして読むと「MY NAME IS SHELTEM」これをスタート地点横エイリアンに伝える。
結局、このエイリアンは何者なのか? - 魔術師呪文「天上への飛行」でアストラルプレーンへ。アストラルプロジェクター5機を作動させる。
- 更にアストラルプレーンのインナーサンクタムに「EYE OF GOROS」で入室。
氷の女王から貰う「DIAMOND KEY」は呪文取得していれば、要らない。
「CRYSTAL KEY」は黄金都市用なのでメインクエストには要らない。
この条件を知っていれば、メインクエストのみ追いかける事で初プレイでも、15時間程度でクリアが可能。
勿論、これ以外にもサブクエストが用意されているのである程度強くなったら回ってみるのも良い。
つづく
『Might and Magic Book One』(マイトマ 副題『Secret of the Inner Sanctum』)は当時、雑誌等ゲームマスコミが「海外で大ヒット」や「三大RPG」と発売からこそって取り上げ、続編がでるまで1年以上はランキングに残り続けていた傑作ファンタジーゲームと評価されるゲームだ。
マイトアンドマジック MSX2版 メニュー画面
当時、海外のコンピュータロールプレイングゲームを精力的に移植してきたスタークラフトというゲームハウスが、1987年11月14日に日本の国産PC*1PC88/98*2版に移植した。
後にFM77AV版とX1版を1987年12月11日。
最終的にPC8801VA専用版*4(発売日不明)
とマルチプラットフォーム展開するほどのヒット作となった。
原典はNew World Computing社開発で1986年に発売。
当時の現地PC雑誌やRPG雑誌などでも取り上げられ、レビュアーかなり好評だった。
同世代のビデオゲームでは、前年に『ウルティマⅣ』『バーズテイル』『ファンタジーⅠ』。
同年ではファンタジーでこそないがマッドマックス的世紀末ゲーム『Autoduel』*5スペースオペラ的SFゲーム『Starflight』が発売されヒット。
当時、日本CRPGはアクション系RPGが主戦力となり『イースⅠ』*6『ソーサリアン』や『ハイドライドⅢ』が発売されていた。特にマルチシナリオの『ソーサリアン』が違う形で実装した『マイトマ』と同時期に発売したのは面白い。
テキストベース系*7としては『Wizardrye FC版』(1987年12月22日)や『バーズテイル』(1988)が話題になった。
そして、社会現象にもなった『ドラゴンクエストⅢ』(1988年2月10日)も忘れてはいけない。
また、コンシューマとしてファミリーコンピュータ(FC)版(1990年7月31日)やPCエンジン(CD-ROM²)版(1992年1月24日)が存在している。こちらについてはシステム面だけでなく、ストーリーや世界設定に違いがあるためアレンジバージョンと捉えていいと思う。
当時はロールプレイングゲームバブル時代*8が来ており、その中で国産に比べ「ロールプレイングゲームの先進国アメリカでヒット」「あのウルティマやウィザードリィと並ぶ名作」「膨大な世界と高難易度の本格RPG」という格があるRPGで玄人/上級者用という認識だった。
今回の趣旨としては、そんなゲームについて、当時の評価を含め現在プレイしてどう感じたかなどをメインとし、現在プレイするにあたり、特に調査すらままならない情報をPC98版の攻略方法を中心に何度かに分けて語っていきたい。
概要
3Dダンジョン風で表現された広大なMAP*9や豊富な武具や道具などのアイテム数、ダンジョンズアンドドラゴンズ(DnD)系、つまりはファンタジー好きが好む「ファンタジーゲーム基準」で描写されたモンスターの数々。
戦闘システムではWizardryでの隊列を進化させた陣形の変化。
エンカウントごとに隊列の意味があり、隊列が崩れずに戦うと前衛だけが白兵戦、後衛が飛び道具で援護や全員が戦う乱戦になるなどがあり面白みがある。
ランダムエンカウントは発生が抑えられており、固定エンカウントによりエンカウント調整ができる点も良いアイデアで、魔法でエンカウントマスを文字とおり”ジャンプ”することができる。
そして、最も特徴的なのが「Nonlinear game」であったこと。
今で言う「メインクエストクリア」アイテム収集や討伐の順番がプレイヤーに委ねられるゲームである点である。
つまり、ゲーム攻略の順番を自由に決められるデザインになっている。
前評判での広大なボリューム圧倒されるが、実は意外にカジュアルな部分があり、比較的低レベルでMAP間移動呪文を習得可能で移動が快適。広大すぎるといった感じは受けない。
また、トレジャーハンティング(トレハン)でのアイテム収集要素では、魔法による装備の「コピー」が可能なため人数分装備の確保が比較的楽。
またマジックアイテム類の使用回数は、あまり重くないコストで再チャージが可能。
さらに面白い特徴としては「Nonlinear game」と「クエスト報酬の経験値」というアイデアの誤算で知識があれば、比較的短期でレベリングやメインクエストクリアが可能であり、当時としては珍しい「Speedrun」*10が可能なビデオゲームでもあった。
さらに日本に移植されたスタークラフト版はプレイアビリティの改善もあり、
- AppleIIやDOS版に比べ*11、呪文使用時に呪文用ウィンドに名前が表示され、番号を暗記する必要性がない。
- AppleIIやDOS版は戦闘開始時のみ、一番先頭にいるモンスターのみ表示。スタークラフトの移植版以降、モンスターが戦闘時に常時表示されて、また先頭のモンスターが倒されると次のモンスターが表示される。
- AppleII版に比べ貧弱な上、間違って指定されていたモンスターグラフィックも書き直され実装。
気になる点
当時平均レベルと比べても貧弱なグラフィックレベル。
- イベントグラフィックが(メッセージすら)少ない。
- せっかく野外を描いているのに表示が異常で自分の位置が視認できない。また自身がいるマスしか見えない事が多々ある。
- 見渡すことができない。離れた場所にあるオブジェクトが全く表示されないため、予備情報なしの冒険ではMAPの全コマに行くしらみつぶしが必要。
プラットフォームごとの問題点もあり、PC98ではFM音源非対応*12のため、BEEP音のみ。
X68000/MSX2版で「アンレコ・グリア果樹園」*13が修正されクリアが難しくなった。
また(自環境では)「STAFF+1を装備すると強制クラスチェンジ」「装備によるステータス補正が反映されない」「ステータス上昇イベントが再発動クエストをクリアしても反応しない」などの不具合が確認した。
気になる「とうれない」 MSX2版
PC88/98版のダメージ振れ幅とダメージ0*14もある。3-30ダメージ呪文の場合、ある程度ファンタジーゲームの経験者ならば「3D10」つまり10面ダイスを3個振って合計の平均16.5ダメージだと思うが、このゲームではそのまま3~30ダメージで確率は均等であるため3も30も同じ確率で出るという高レベル呪文なのに割の合わないバクチを強いられる。
また、翻訳ではクラスの「Paladins」*15を「戦士」と訳した点も気になる。
気になる点と言えば、事前情報がほとんど知らされない点が挙げられがちではあるが、今プレイしてみると、それより「取得できる情報」が補完できてない点が問題と感じた。
ダンジョンやシナリオ的ギミックのヒントや情報もあまり多い方ではないが1986年発売ビデオゲーム基準では、当時のアドベンチャーゲーム高難易度と比べると優しいとも言える。
が、プレイするにあたって障害がでるのが「世界観」が全く説明されていない点。
ゲームを中盤以降、分かるがこの物語はSF要素を含んでいる事が分かるようになる為、当時多くあったファンタジービデオゲームと見せかけて実は・・・と言った演出を狙ったのだろうが、それでも情報が少なすぎた。
「このVARN*16と呼ばれる世界では近年原因不明のモンスター大量発生のため、地上で暮らすことができず人々は地下(もしくは天井のある)城塞都市に暮らしていた」といった「基本情報」が分からないため
- 街でも襲ってくるモンスター。おそらくモンスターが増えているため防壁を超えて、侵入してきているのだろうと推測される。
- 一般人*17であると思われる貧弱な主人公たちが色々な理由で冒険をせざるえない状況へのアンサー。
- 何故、王様が城に閉じこもっているのか?下記の点が説明されていないので分かりづらい。
- 王様に目通りできる「マーチャントパス」が何故森に壊れた馬車があるか?恐らく王様に献上品を運ぶ商隊が狂暴化したモンスターに襲われ、放置されていた。
等々がかなり理解できるようになると思う。あと、メインクエストに必須アイテムを渡すNPCあまりもの情報が薄く一枚絵もない点も。唐突に出てきて禅問答をする「氷の女王」や像から実体化してキーを渡す「白黒ぶちの犬」などはメッセージを見ても全く何者か想像できない。
最初に与える情報を少なくするのは、ゲームデザインによるので問題ないが、ゲーム内で「語るべき事が語られない」ように感じた。
システム面ではセーブが宿屋限定もきになるがハマり対策だったのだろう。そこまできにはならない。
個人的感想
さて、当時プレイしていた時感じたのは、日本のビデオゲームにはない自由度の高さと反比例するような日本作品に劣る視認性と操作性の悪さだったと思う。
たしかに「Nonlinear game」という点では先駆者として『ザナドゥ』*18(1985)があったが、こちらはどちらかと言えば詰将棋的であり、当時の自分もそこに物語性は無く、このゲームは「違う」と魅力を感じていた。
ゲームに慣れてくると、初期の立ち回り方を学ぶ喜びや本格的名称の武具が入手できる点はモチベーションにはなったが・・・。
それでも、操作性が「ネック」だった。キーボードに中途半端にキーバインドされていた為、キャンプ時にキャラクター選択をするため「+」キーを押し続ける(6番目なら6回押す)と言った面倒さ。
なぜかキャンセルと決定を同じリターンキー(エンターキー)に割り当て、マシンスペック*19からくる遅延とキー入力のバッファによるコマンド入力ミスなどストレスが多いなど、正直遊びづらい。
何よりリセット回数が多いのだ。戦闘中の「即死攻撃の頻発」「読込」「反応遅延」
「どこでもセーブロードが出来ない」=「即時再開が不可能」
さらには当ゲームの性質上そのマス行かないと「空っぽのマス」か「トラップやイベント」か「NPC」なのか分からない点が重荷になる。
先ほど挙げた即死攻撃「根絶」。即死+分解*20の存在で、ペナルティを避けるには街に戻っての寺院での復活など復帰に時間がかかりすぎるのも、当時の基準でもかなりの苦行だった思い出がある。自身はクリアした思い出がないので、途中で脱落したのだろう。
というわけで、現在ならエミュレータを使えば、そのようなマイナス部分を気にせず、現在なら快適なプレイできるのではないかと思いたち、『ダン飯』によるファンタジー熱がある今こそと再挑戦してみたのだった。
つづく
最近『Might and Magic book one』に熱中してしまい、記事をまとめる時間が取れなかった。
通称マイトマ1(PC9801版) 他の移植版と違いBGMなし
このファンタジーゲーム、何故か流行した
「何も持たされず、何も知らされるずスタート」
の典型例に挙げられるゲームであり、また大変難易度の高いゲームだった。
所持金0は勿論、武具はCLUB一本のみ。
「DnD系戦闘システム」のため命中率がかなり低い。オールドDnDでもLV1戦士がコボルド程度の敵への命中率は5割を切るのだが、このゲームは更に上を行く(体感全ての攻撃行動で3割程度)。
所謂アルテリオス計算式*1ゲームに比べ、攻撃を外すことが珍しくない。また、これもなぜか攻撃呪文でもモンスターにダメージがほとんど与えられない(魔法抵抗力があるわけでもない)。
まだある、モンスターを倒しても経験値極端に少なく(50~100)、レベルアップに必要な経験値は異常に高かった(レベルアップ経験値が低いクラスで1500/3000/6000・・・と増)*2。
これは本ゲームにクエストシステムを導入にあたり、テーブルトップRPGを参考にして作った点理解はできるのだが、これもなぜかLV3までで完遂できるクエストは皆無なため、LV3に到達するため80回以上の常に死の危険と隣り合わせの戦闘を強要させる事となった。
後期で作られて、改良がおこなわれたDOS版、ファミリーコンピュータ(FC)版、PCエンジン版はともかく、特にApple II版や日本語版はこのような傾向が酷く脱落者が続出した(ただの苦行なので普通は辞める)。
それでも雑誌等1年ほどは人気ゲームとしてランキングに居たのが当時の状況である。
当時、どれ程『ドラゴンクエスト』や『ウィザードリィ』の完成度が高くバランスが取れており、一般若年ゲームプレイヤーからの支持が高かった理由が分かる事だと思う。
このゲーム久々に遊んで感じたのが「プロローグ」や「ナレーション」は必要だと点。本編は無論、マニュアルにすら世界設定や情勢を入れないのは、新米ゲームマスターのやりがちな早く謎や迷宮を解かれるのを嫌って「情報を出し渋る」にさえ思える。
さて、そんなゲームの話はまた改めて語る事にして、
今回は『**ダンジョン飯』の**
について語りたい。
あのセリフ!色々と含みがある良いナレーションであり満足した。
このようにナレーションが重要人物であるのはアニメーション作品では慣習的に演じている声優で一番歴いベテラン=ギャラの高い人がナレーションをする事が基本だ*3。
これにより意図せずに作中のキャラクターと「繋がり」が生まれ面白い演出効果が生み出されてきた。
まあ、今回については狙ってやっているという事であろうが、今回の件で思い出したあるあのDnDの名を冠するあるファンタジーゲームについて。
さて、コンピューターファンタジーゲームでもオープニングやプロローグがつけられることが普通になった。
恐らくCD記憶媒体が利用される頃からナレーションがつくようになったと思う。
テキストメインのファンタジーゲーム、特にCRPGは特に顕著で現在でも3Dフルアニメが無くても、ボイスアクターが付き、ナレーションはつくことが大変多い。
今回のような効果的なナレーターの利用例として、ファンタジーゲームの『アイスウィンド・デイル』(2000完全日本語版)を上げたい*4。
この作品ではナレーターが章ごとに、その地方の情勢や現状プレイヤーの状況を事細かく説明してくれる。が「お前だれなんだ?」にはならない。普通は「システムの声」もしくは「ゲームマスターの声」ぐらいに考えるだろう。
本ゲームでもその認識でプレイしてきたのだが、実は語りを行っていたのが本編に出てくる登場人物、それも「かなり重要キャラクター」であることが、エンディングでプレイヤーがそのことを分かるにくい演出だったのだ。
そんな体験を本アニメのそれも予告でも味わえ、さらに海外RPG好き*5丸丼氏*6作品にはぴったりな演出だと感心した。
特に今回はナレーターと思われるキャラクターが色々な意味で立ち位置が同じなため、自分は無駄に興奮した。
あと、別件だが最近ヒットファンタジーゲーム『バルダーズゲート3(BG3)』と同じ世界設定である「フォーゴトンレルム(Forgotten Realms)」での物語。世界年表だとCRPGでは一番古い時代(1281DR頃 BG3は1492DR頃)を題材としたゲームであり、長年続いているコンテンツのスケール大きさも感じた。本ゲームもフォーゴトンレルムとCRPGについてもいろいろ語りたい事があるので折を見て話したい。
以上です。
ある程度、CRPG(コンピューターロールプレイングゲーム)に興味がある方なら「Wizrdry=ファンタジーRPG始祖説」は販売側の都合などによる後付けの「箔」である事は自明です。
それは箔をつけた側であり、販売者であるアスキーでさえ、発売前はこんな記事を掲載(LOGIN1983年11月)していたという事で分かる。
また、同記事にはWizrdryやUtimaの記載もある。
推してはいるが「元祖」ではない
先行していたUtimaシリーズも「名作」と評価
また、Wizrdryよりも登場が早いUtimaについても、同作品のジップロックに入れて売ってたようなレベルの同人ゲーム「Akalabeth」(1979)にも記載がありこれも「初期の名作」と説明。
さて、なぜ資料を引っ張り出してまでこんな事を書いたか?
それは、いまだに「間違った事実を確認も疑いもなく書いてしまうライターが結構存在する」から。
過去の記事を全部引っ張り出せとまでは言いわないが、ネットでも簡単にできる程度の事実確認や裏取りせず、アップデートしていない役立たない情報や妄信を垂れ流すのはNG。プロとして矜持やプライドは持ってほしいもの。
さらに、当時知られていなかったPLATOのゲーム群が日本でも近年ロールプレイングゲームサイドNo1(2014)の記事*1によって知られるようになったが、その記載がある同号の記事すら「Akalabethが元祖」という記載を専門誌でさえもやる業界だからです(編集者止めて・・・)。
アカデミックな土台のないサブカルチャーでは、歴史の捏造簡単です。SNSやゲーム関係書物でも何度も発生しおり、気を抜くといつの間にか事実される。このような点を踏まえて書きました。
特にWizardryは自分として思入れが強い作品であるため、後世に伝えねばという使命感というほどではなく「可能ならば正しく伝わって欲しいな」という希望でまとめた。
今回はこれだけだと少しつまらないので、自分がWizardryでコレもパロディじゃないかな?と思った部分。
ワードナ―事務所前でのチーム清涼飲料の一コマ
いまだにFC版狂王の試練場(1987)でプレイしており、コレはその時のもの。このボス前のジョークは『魔法がいっぱい!』に出てくる魔法使いの棲家と似ていると。
これはあのオズの魔法使いシリーズのL.フランク・ボーム氏初期作品で低年齢用ファンタジー小説です*2。
で、その短編集で一つに、悪の魔法使い(Wicked Wizard) にポーションの材料として、美しい姫が「親指」を取られしまい取り返すと言うお話。
その魔術師の隠れ家の扉には
A. WIZARD, Esq.
Office hours:
From 10:45 until
a quarter to 11
という文字が書かれた看板が・・・。
Wizrdryのこんな感じの緩さが好きで、カシナードは名匠ではなくフードプロセッサ、AC0は例えるならシャーマン戦車、宿ではVISAがOK、カント寺院は死者復活50%セールするような世界が方が好きです。あと殺人ウサギも良い。
あぁ『Vorpal Bunnies』と言えば、有名なDnD(Dungeons & Dragons)公式認可ファンジン『The Dungeoneer』創刊号(1976年6月)で、モンスターとして提案されておりステータスも存在します。
オールドDnD版 殺人うさちゃん
世界中(自分も含めて)で愛されていますねモンティパイソンの『殺人ウサギ(Rabbit of Caerbannog)』。
以上です。
これもニコニコニュースでコメントした内容を膨らませたり
日本におけるファンタジーゲームについて語るとき、外せないのがドラゴンクエスト(DQ)シリーズ。現在の世界的にはJRPGという通常のファンタジーゲームとは別ジャンルとして認識されている。
もちろん、ゲームマニア以外の多くの人にもファンタジーRPGを布教した名作ゲームであるのは明白であるが、そのユーザー層であるからこその知識不足や認識の相違による言説が語られることが多い。
たとえば酷いものは「日本の始祖RPG」「ファミコン初RPG」といったものから、マスコミへの分かりやすさやブランディングを含んだ意図的な流布「正統派RPG」「WizrdryとUltimaの合体」と様々ある。*1
そのような認識はDQを評価するうえでは的外れと感じており、今回は自分が知る限りのDQ1をメインに後年語られた部分などを踏まえまとめてみたいと思う。
まず、発売された1986年はファンタジーロールプレイングゲーム誕生からすでに12年も経ており、世は家庭に個人用グラフィック機能を備えたコンピュータ(PC等)持つことが可能な時代。当然、テキストメインゲーム*2は過去の遺物になっていた。日本ではすでに「ドルアーガの塔」(1984)から続くPCゲームの性能を生かしたアクションRPGが支流としてヒットしていた。無論「正統派」と呼ばれるようなテキストに力を入れたファンタジーRPGは海外移植作も国産作品すでに多く発売されており、同年4月には『クルーズチェイサー ブラスティー』(スクエア)SFRPGでかつ、戦闘アニメーションがあるターン制RPGが発売されるような時期だったのだ。ファミコンでもファンタジーゲームの第一弾として2年以上雑誌ランキングに残り続けた名作「ハイドライドⅠ」に魔法要素を加えたマイナーチェンジバージョンである「ハイドライドスペシャル」だったの当然の流れだった。つまり、当時のある程度のゲームプレイヤーにとってRPGは珍しいものではなかった。
では、なぜそんなDQⅠがそこまで売れたのか?所説あると思うのだが「ひたすら分かりやすい」だった事だと思う。製作者たちのインタビューなどを見るに、ゲームルールを理解させるために多くの労力を割いたという事。何度もテストプレイヤーにプレイさせ理解出来なところを潰したという点だ。CRPGは他ジャンルに比べ、説明やテキストを読解する必要性があり、当時のコンピュータでは容量的にも文化的にもチュートリアルはゲーム内に入れることはせず、基本マニュアルをプレイヤーが熟知しないとプレイできない代物が多かった(操作方法すら基本コマンド、例えば[E]キーで装備、魔法はスペル直接打ち込む等々)。当時のRPGへのアプローチとしてかなり異質な造りだったのだ。
また「イメージ共有」。ファンタジーRPGはプレイに必要な知識が銘文化されていないお約束が多い上に、新規IPであれば世界観を説明する必要性があった。DQにはマニュアルの出来もさることながら、それ以上に鳥山明氏の起用が大きかったと思う。当時連載されていたドラゴンボールの雰囲気やモンスターによる世界観の構築で説明省きやすく理解を早める事ができた。
最後に「顧客」1986年はすでに中高生層には映画やビデオレンタルを介した映像作品「ダーククリスタル」「バンデットQ」「レディホーク」「ドラゴンスレイヤー」(ディズニー)など本場ファンタジーに触れる機会が増え、国産では「聖戦士ダンバイン」(1983)によるアニメーションによるイメージやネーミング浸透、低年齢層からはゲームブックブーム(1984~)=ファンタジーゲームへのルールや認知があったため、新たな冒険を切望しある程度のファンタジー観を共有できる潜在的プレイヤー層が存在していたことも理由に挙げられる。
前置きが無駄に長くなった。
さて、そんなDQ1の「インスピレーション元」は何か?
Wizrdry+Ultima=DQ説がマンガ等による公式やゲーム雑誌やネット等の非公式で囁かれ続けてきたのだが、自分はずっとしっくりこなかったのだ。
UltimaⅢはともかく、Ⅰ-Ⅱは戦闘は基本タイマン。Wizrdryを足さなくても良くない?や、更に特にDQ特有のドットを使ったグラフィック的演出。特にエンディング(テキストメインWizrdryにエンディングは存在しない)はUltimaぽさは感じず、加えてシリーズでよく見かけるカジノ要素や世界の変化、例えば町の変化(滅ぼされる等)もない。
更に、誤解を恐れずいうとDQは基本システムや要素にオリジナリティがほぼないアレンジしたものという点。だからと言ってエピゴーネンと言っているわけではない。ブラッシュアップと再構築すると言った点が評価できるシリーズなのである。だからこそ何かもっと決定的に参考にした作品があるに違いないと思っていたのだ。そんな引っ掛かりを解消してくれたのが最近、初期作品スタッフであるこの宮岡寛氏のインタビュー。
若き日の宮岡寛氏 本編登場どころかゲーム攻略記事まで
製作者が作っていた古の時代
「Questron」(1984)。はUltimaのリチャード・ギャリオットから正式許諾を受け発売したゲームで、当時ログインでライターをされていた安田均氏も絶賛していたゲーム。当時、アメリカなどではRPGではWizrdry/Ultimaがシリーズとして2強。それ以外はゲームジャンルとしてもパッとしない中、Ultimaライクでありながらヒットをしていたのがこのゲームだった。ゲームライターをしていた堀井氏が知らないはずもなく、一番参考にしていたと宮岡氏も証言している。先ほど述べた気になる点がほぼこのゲームに実装されていたのは面白かった。
まあ、確かに元ネタとして挙げるのであれば当時、海外でヒットしているシリーズであり、日本で(勝手に)開祖の海外ゲームと祭り上げたUltimaとWizrdryと良作ながら知名度では劣るQuestronでは、説明も受けも違うので仕方なかったと思うが、こういう商売をやり易くするため受けのいい答えを出すのに嫌悪感を抱くのは、自分が単にマニアだからだろう。上手く使いこなすからこそ、堀井氏は「良作」を作り続ける人なんだと感じた。
さて、DQというシリーズを言い表す言葉は「**DQバージョンxx**」*3
「勇者と魔王の物語の戦い」という繰り返し作り続けている、と。
つまりwindowsOSと同じく時代に合わせバージョンアップされたDQを作り続けているわけだ。堀井氏が遊んだ最新ゲームの良い所をDQというプラットフォームで分かりやすくかみ砕いて再現。多くの人にDQブランドとしてプレイしてもらう。その特徴で一番分かりやすいのはDQ9/10。DQ9でマルチプレイヤーを理解させ、DQ10でMMOへ進ませるという点は、DQらしさを感じた。
ナンバリング以外でもその傾向は不思議のダンジョン・モンスターズ・ビルダーズと強い。
つまりDQは、「初めて」や「元祖」や「オリジナリティ」という称号は必要ない。流行や目新しさだけで新システム採用するのではなく、より「洗練」し「分かりやすく」「新規プレイヤー」または「ゲームトレンドを追いかける暇のないプレイヤー」にファンタジーゲームを届ける作品なのだ。だからこそ、歩みがこそ遅いが長く続けれられるシリーズだと思う。
ただ、DQ1とWizerdry1は「システム」ではなく、その「作り方の方向性」では確実に「系譜」と言える。
それは堀井氏がWizerdryに夢中になってRPGの可能性に気づき、多くの人が遊べるよう「アレンジ」したように、Wizerdryのロバートウッドヘッド氏もまたPLATOのゲーム(Oubliette)を休学するほどのめり込み、家庭用のコンピュータでも快適に手軽に遊べるゲームを繰り出した。そういう点ではこの作品は「繋がっている」のだろう。
以上です
ニコニコニュースにてコメントをまとめ直したもの。
コメント制限で書きたいことが書けないのでこちらに書き直してみた。
最近、ダンジョン飯が盛り上がっており、youtubeなどで海外の反応動画がたくさん上がっているようで、その中で「日本人がコボルドを犬にした」という意見があったらしい。
たしかに、いつのまにか日本*1でのファンタジーゲームでは犬の獣人として扱われることが多いと気づき、色々と調べてみたので備忘録として残しておく。
もともと、伝承ではゴブリンやホブゴブリンなどと同じく妖精名称の一つでその中でもコボルド(Kobold)はドイツ系妖精でスコットランド系ブラウニーと同じように扱いを間違わなければ、家事をしてくれるような小妖精だった。また、山や船に生息する者もおり、鉱物のコバルトの語源にもなっていることも有名だ。
この妖精をモンスターにしてしまったのがファンタジーゲームの源流であるDnD(Dungeons & Dragons)で『Monster Manual』*2というファンタジーゲーム全般のモンスター聖典レベルの本*3がある。その本の記載ではイラストによって顔こそ犬に近い造形だが体毛はなく(場合によれば鱗有)、くすんだ茶色もしくは赤系の**トカゲぽい小型ヒューマノイド**とあり、アメリカでは当時イメージがほぼ定着していた。
その為、例えば二番手のファンタジーRPGであるトンネルズアンドトロールズや独自色傾向が強いルーンクエストなどでは登場せず、意外にDnDオリジナルモンスターと言ってもよいぐらいの生物である。
それが何故か時代は巡って巡って・・・ダンジョン飯では何故か完璧に「犬」になっていた。
先に結論を言うと『モンスターメーカー1』(1988) *4(MM)九月姫コボルトが犬化を進めた大きな原因と思われる。
やや牙が出ておりライカンスロープといった姿だが。フード付きの服にちゃんと靴まで履いており、文化的なワンコしているのではないだろうか?
当時、ファンタジーゲームブックより始まり、テーブルトップRPG文化の日本への浸透。またそれはセッション時に発生する空き時間をつぶせるファンタジーカードゲームMMシリーズのヒットを生んだのである。その為、知名度もかなり高く*5多くの人がコミカルでかつファンシーなそのイメージに影響を受けたことは想像に難くない。そのまま製作者側になった物も多いと思われる。
作風がわりとコミカルだったこともあり、当時のコアユーザーはアレンジの一つとして認知していたが、アレンジしたものが浸透して日本ではオリジナルを淘汰してしまったのかもしれない。
また、当時のファンタジー漫画である『アンデッドリタナー・ソウ』(1988)にはビーグル頭の獣人に対し、「コボルドか?」という旨のセリフがあり、浸透していた様子がうかがえる。
専門誌以外でのDnD準拠世界観という珍しいコミック
それより以前にも犬コボルドが存在しなかったわけでもなく、ファンタジーゲーム書籍*6で最古と「思われる」犬コボルド最古のイラストは『D&Dが良く分かる本』(1987)こいでたく氏(当時は小出 拓名義)によるファイターの後にいる生物。本書での氏によるイラストにはDnDにおける低レベルであるゴブリン、オークなどの小型ヒューマンモンスターも描かれており、コボルドと認識して書いた可能性は高い。
D&Dがよくわかる本コボルドらしきヤツ
一部SNSでは末弥純氏が書いた・・・のよう言説があるが、ファンタジー好きでも知られきちんとした絵画を学ばれた氏が資料なしで描くわけもなく、上記Monster Manualなどの資料を知らないなどは、まず考えられない。
『モンスターコレクション』(1986)でもしっかりと犬頭全身鱗で描写しており、FC版(1987)に至っては全身緑なので犬には見えない。つまり一応DnD系譜なのである。
そもそも、同時期に日本語書籍でも『RPG幻想事典』『ウィザードリィモンスターズマニュアル』も発売されており、説明文イラストともにDnD系統であり、かなりしっかりした共通認識が共有されていたと思われる。
では、こいで氏がなぜ犬コボルドを書いたか?
色々と可能性が考えられるが、その一つとして『Wizardry 狂王の試練場』に合わせ発売された『ウィザードリィハンドブック』(1986)長谷川正治氏によるコボルトがある。
このイラストならば、顔以外も毛が生えてるように見え・・・る?
モフモフじゃなくて可愛くないし、なんか既視感が・・・?
こいつか・・・!
ちなみに、ダンジョン飯にはMM1を元にしたボードゲーム『モンスターイーター』があるとの事。
今回の件、 意外なところで繋がって面白いなと妄想しつつ終わります。
以上