240827雑感 (original) (raw)

いろいろなことがしんどくなって活動をどんどん縮小した結果生じた暇な時間の使い道は読むことぐらいしかなくて、
やっぱり鬱っぽい時の方が読めるタイプなのかもしれないなと思う。

最近ようやく読んだ『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』に沿って考えるならば、鬱っぽいときは「情報」のスピード感についていけなくなるから
本が読める……ということになるだろうか。
「これをすれば間違いなく役に立つ」みたいなシンプルさ・分かりやすさが逆にしんどい時がある。だから、ノイズを含んだ本を読みたくなるのかもしれない。

最近読んだの

穂村弘『彗星交差点』、『短歌入門』
穂村弘は少しずつ積んでいたけれど、ようやく読み始めることができた。やっぱり言葉に対する感覚が鋭い。自分はなるべく殻の中に閉じこもっていたくて電車の中でヘッドフォンで耳を塞いでしまうけれど、世界に対して開いているとこんなにも面白いんだなあ、と思う。『短歌入門』は短歌の入門書に見せかけたバリバリのアンチ資本主義ブックだった。前者は直筆本で後者は講演の収録なので語り口が違うのが面白い。「…ということね」とか、ほむらさんの声で再生されるもんね。

ワクサカソウヘイ『出セイカツ記』
ワカクサだと思ってましたごめんなさい。結局のところ「生きていけるかな」という不安は衣食住に対する不安の割合が大きくて、そういった不安を払拭できないかと奮闘する記録。磯で暮らしてみるとか、不食に挑戦してみるとか、一年間ほぼ寝て生活してみるとか、仮に思いついたとしても「やってみよう」とはならないことをやっているそこに痺れる憧れる。ワクサカさんは絶対何があっても生きていけるタイプでしょう。最悪お金が底をつきても四国でスッポン釣ればいいか……と思えるようになるのが本書の効能。

樽本樹廣『百年の一日』
文フリで買って3ヶ月寝かせていたのをようやく(他のZINEもまだ全然読めてない)。古本屋百年店主によるオープン直後の日記。イベントとか古書市場での買付の話がたくさん書かれていて面白い。やっぱり古本屋って知識がないとやれないんだなあと思う。表紙の蝶々(?)が若干ベン図っぽいデザインになっているのは、本書に出てくる石子順造の「と」の思想をイメージしているのだろうか。

ジンボー・キンジ『短編小説(あと、ミリタリー)が好きな奴は吹奏楽コンクール課題曲を聴こう!』
これも文フリ本。手作り感あふれるコピー本なのだけれど、吹奏楽初心者にめちゃくちゃ優しい。吹奏楽ブラスバンドじゃなくて「ウィンドオーケストラ」とか、コンクール銅賞は3位じゃないとか、時代による課題曲の変遷(マーチからポップス、現代音楽へ…みたいな)とか、これだけでも吹奏楽にかなり興味が湧いてくる。最初から通読というより気になったところを読みつつ曲を聴いてみている。好きだなーと思ったのは「ナジム・アラビー」「メイン・ストリートで」「高度な技術への指標」「ディスコ・キッド」「風之舞」など。でも最近ずっとヘビロテしてるのは(課題曲じゃないけど)アルヴァマー序曲。自分はやっぱりゲーム音楽から入ってるのでこういう系が好き。

百年文庫12『釣』
読破を目指すシリーズ。釣りしないので全然わからないところが多かった。特に幸田露伴の『幻談』は釣りスタイルの紹介みたいなところが多くて???。逆に上林暁『二閑人交遊図』は釣りが少なくて読みやすかったがテーマ的にこれがトリでいいのか?と思わなくもない。一番読みやすかったのは上林暁だったので、積んでるエッセイ集も読まねば。

その他にも『はじめての文学 村上春樹』とか『「震度七」を生き抜く』とか『不要不急 苦境と向き合う仏教の智慧』などを無節操にパラパラ読んでいる。とにかく何かしら読んで気を紛らわせたいというのと、本を読むことで何かのチューニングを合わせていっているような感覚。
読まなければならない本じゃなくて、その時いちばんしっくりくる内容・文体・ジャンルのものを手に取るということができているような気がする。だからあまり苦になっていない。いいことだと思う。積読が多いのも悪いことばかりじゃない。地震だけはめちゃくちゃ不安だけど。