ブルッフの「8つの小品」 (original) (raw)

2014年3月、私はある室内楽の演奏会を開いていました。

編成はクラリネットコントラバス、ピアノ。

この編成でのオリジナル作品はボッテジーニのクラリネットコントラバスのためのグラン・デュオですが、

この作品を演奏会冒頭に弾いて、いろんな組み合わせのデュオを弾いて、

プログラム後半にブルッフの「8つの小品」を弾きました。

この「8つの小品」の本来の編成はクラリネットヴィオラ、ピアノ。

ただ、ヴィオラはチェロでも演奏できるように書かれてあったので、

そこをヒントにコントラバスに置き換えたということ。

今から思えば、無謀にも程があることをしてしまったものでして、

後から録音を聞くと、まあいっぱいやらかしていまして、

そして「やっぱり、コントラバスでの演奏は無茶やなあ」と思って、今では封印しています。

ただ、当日のお客様からの反応は、大変有難いものばかりでした。

お客様からのお声で、特に気になったものがありました。

「映画のワンシーンを見ているような気がした」

「感動した」みたいな感想を聞くだけでも嬉しいのですけれども、

具体的な印象までいただくと、演奏者冥利に尽きますね。

では、この作品が映画になる要素があるのでしょうか?

あるのかどうか、参考までに下記の演奏動画から全曲をお聞きください。

(ただし、40分程度の時間が必要です)

youtu.be

実は、ブルッフ自身は、この作品を全曲演奏することを全く想定していませんでした。

作品全体には有機的関連は見当たらないのですが、

私には不思議と何らかのストーリーを感じさせてくれます。

そして、なせかわかりませんが、私は時折聞いていると涙腺が緩んでしまいます。

涙腺が緩むポイントがいくつかありまして、

第3曲の中間部からその兆候が。

第4曲は終曲性があるので、一旦は収まるのですが、

第5曲や第6曲ぐらいになると、涙を流れまいと堪えている自分自身があって、

第7曲が軽快なので、気分は晴れやかになるのですけれども、

第8曲となると、もうノックアウト。ハンカチが必要となります。

ということで、私はこの曲を演奏することが出来ません⁉

でも、全曲を生の演奏で聞いて、私なりの映画のシーンを思い浮かべてみたいものです。

おっと、ハンカチが必要だ!