【日本アルプス全縦走の旅 7日目】2014年9月8日 茶臼小屋~聖岳~兎岳避難小屋 (南アルプス) (original) (raw)
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旅の間、毎日日記を書いていたのですが、この9月8日はこんな書き出しから始まっていました。
「現在19時。日記を書き始めたがこれから書くことが全てこの一日で起こったことだというのが信じられない…。」
この先ゴールまでの約1か月、毎日そんな思いをすることになるのですが、本当に毎日が充実した濃いものでした。美しい風景や人との出会い、全てが刺激的で驚きにあふれていて、ペンを持ち日記帳に向かうたびに「ああ今日もいい一日だった」と一人つぶやき、心地よい疲労を感じながら寝袋の中で眠りに落ちているのでした。
これ以上の幸せがあるだろうか。
(↑聖岳への道のり)
東側が開けていて正面に富士山を見ることができる茶臼小屋。
朝焼けに浮かぶ富士山を拝み、「旅の成功を祈っているよ」とご主人から暖かい言葉を頂いて出発。風の冷たい日でした。
上河内岳を経由して聖岳へと向かいます。上河内岳は大きくなだらかな稜線を持ちとても優しい印象の山でした。大好きな山です。
聖岳までアップダウンを繰り返して進みます。
東や南を向いた斜面にはお花畑も多く、特に目立つのは紫色のトリカブト。きれいだな~なんて思って歩いているとシカ除けネットを発見。
南アルプスでもシカによる食害被害が大きいそうで、固有の貴重な植物を守るためのネットがところどころに立てられていました。
そしてシカにも「好き嫌い」があり、シカの「嫌い」な植物であるトリカブトは、それ故にネットで守られずとも食べられることなく残っていたのでした。
のん気に「きれいな紫だ~」なんて思いながらトリカブトの花を楽しんでいましたが、そこからシカの増加という問題に行き当たるとは。
それにしても、人間は本当に自分勝手なものです。
そもそもシカが増えたのは、天敵のオオカミがいなくなったことや人間による狩猟が行われなくなったことなどが要因のはず。大規模な開発によってオオカミの住処を奪ったのも人間なのだから、シカの増加は人間が自ら招いた事態。
それなのにシカを迷惑者扱いして花の周りにはネットを巡らしているのです。花は守るがシカは「駆除」の対象。
もちろん貴重な植物を守る必要はありますが、生命に「優劣」をつけ、「守る生命と守らない生命」の勝手な線引きをすることが、どうにも納得し難いのでした。
(↑聖岳山頂から茶臼岳方面を振り返る)
聖岳を越えて兎岳の避難小屋に到着。最近手が加えられたようでとてもきれいで快適な小屋。しばし休憩したのち、山頂へ。
そこで目にしたのは360°の大展望。思わず目頭が熱くなるほどの感動...。
翌日に歩く赤石岳への稜線が美しく、ずっと先には仙丈ケ岳や甲斐駒ケ岳の姿も見えます。
これから歩く山々の連なりを目にして、ワクワクとヤレヤレが同時にやってきました(ワクワク98%)。
夕日が遠く西空に沈むのを見送り、兎岳避難小屋でおやすみなさい。