ほとりワーク (original) (raw)
法定労働時間
・1週間40時間
・1日8時間(休憩時間を除く)
※所定労働時間(会社が決めたもの)は法定労働時間を超えてはならない
法定休日
・1週間1日
月 火 水 木 金
8 8 8 8 8
月~金まで8時間ずつ働いたとする
→8時間×5日=40時間(法定労働時間に達する)
→残りの2日は休日にしなければならない(法定休日と所定休日になる)
月 火 水 木 金 土
7 7 7 7 7 5
月~金まで7時間ずつ働き、土曜は5時間働いたとする
→7時間×5日=35時間 + 5時間 → 40時間(法定労働時間に達する)
→休日は1日だけでよい(法定休日どおり)
🍀🍀🍀🍀🍀
1週間とは?
→就労規則などで定めていない場合、暦週(日~土)になる
→就労規則などで定めれば「月曜日からカウント」などOK
1日とは?
→暦日24時間になる(真夜中の0時から始まる)※午前0時~午後12時
※夜勤など、日付をまたぐ場合は
始業時刻がある日の労働がそのまま続いているものとする(日を分けたりしない)
日給、時間給、**出来高制、請負制**の場合、最低賃金保障額がある。
算定事由発生日以前3か月(算定期間中)の賃金(総額)を
労働日数で割り、(※暦日ではなくなる)
それをさらに60%したものが
最低賃金保障額になる。
→ただし、原則で計算された平均賃金のほうが高い場合は、原則どおりになる。
※基本的に月給なのだけど、
一部分だけ日給や時給などになっている労働者の場合、
平均賃金はどのように計算される?
↓
①月給部分を原則どおりに計算
算定事由発生日以前3か月の賃金(総額)を暦日で割る
②日給や時給部分を以下のように計算
算定事由発生日以前3か月の賃金(総額)を労働日数で割って60%
→ ①と②を足したものが、**最低賃金保障額**となる
③月給部分と日給や時給部分をすべて足して、原則どおりに計算
算定事由発生日以前3か月の賃金(総額)を暦日で割る
→→③を上で計算した**最低賃金保障額**と比較
→→高いほうを平均賃金とする
ちょっと複雑💦
平均賃金は
算定事由発生日以前3か月(算定期間中)の賃金(総額)を
暦日で割って計算される
↓
そのまま計算したら不公平になるよね?ってことで
これは期間や賃金に含めない、というものがある(控除)
【算定期間に含めないもの】
・業務上負傷または疾病し、療養のため休業した期間
※私傷病、通勤災害のための休業は算定期間に含まれる
・産前産後の女性が休業した期間
・使用者の責めに帰すべき事由により休業した期間
※部分休業(部分的には働いた場合)も算定期間に含めない
・育児休業または介護休業した期間
※看護休暇、介護休暇は算定期間に含まれる(休業ではなく休暇なので)
・試用期間
※有給をとっている期間は、算定期間に含まれる
解雇制限と似ている部分がある💦(ごちゃごちゃにならないように)
【賃金の総額に含めないもの】
・臨時に支払われた賃金
・3か月を超える期間ごとに支払われる賃金
(年4回ボーナスがある場合→3か月を超えていないので賃金総額に含まれる)
・通貨以外で支払われるもの(現物支給のもの)で一定の範囲に属さないもの
→いいかえると、 一定の範囲に属するものは賃金の総額に含める。
つまり、労働協約によって現物支給にしたものに関しては
「現物支給されたこのモノは〇〇円の賃金とする」として、賃金の総額に含める。
→→労働協約で決めていないものは**都道府県**労働局長が評価額を決める。
(労働協約での評価額が不適当とされる場合においても**都道府県**労働局長)
※6か月ごとに渡している通勤乗車定期券→賃金の総額に含める
(毎月の通勤手当をまとめて支払っているにすぎないので、
3か月を超える期間ごとに支払われるものにはならない)
※雇われてから3か月経っていない労働者は?
→3か月満たない部分の平均賃金でOK
※ただし、3か月満たない部分すべての日数ではなく
直前の給料日にさかのぼり、「その給料日以前」の平均賃金になる。
※試用期間中に算定事由が発生したら?
→事由発生日の前日からカウントして平均賃金とする。
→→ 試用期間が終了して賃金が上がったあとで算定事由が発生した場合は
試用期間中の賃金を計算に入れてしまうと平均賃金が下がってしまうので
賃金が上がったあと(正規の給与が決まったあと)の期間で計算する
※日雇い労働者の平均賃金は?
→**厚生労働大臣**が定める
🌸🌸🌸
(補足)
使用者の責めに帰すべき事由により休業
金 土 日 月 火 の5日間、仕事を休んだとする。
(休業)(休日)(休日)(休業)(休業)
土、日、はもともと休日なので
休業したのは 金、月、火の3日だけ、ということになる。
→休日も含めて休業した期間として取り扱う。
(この場合、5日間が休業期間となる)
平均賃金は、
算定すべき事由の発生した日(算定事由発生日)以前3か月間に
労働者に支払われた賃金の総額を、
その期間の総日数(暦日)で除した(割り算で割った)金額をいう。
平均賃金の算出が必要となるのは次の場合。(かっこ内は算定事由発生日)
・解雇予告手当(解雇を通告した日)
・休業手当(休業をさせた日)※2日以上休業させたときは初日
・有休中の賃金(有休を取得した日)※2日以上の有給とる場合は初日
・減給の制裁の限度額(減給の制裁の意思表示が労働者に到達した日)
・災害補償(事故発生日、疾病の発生が確定した日)
※災害補償については、労災補償として支払われることになる(待機日を除いて)
→のちに学習
● 算定事由発生日以前3か月
→ 発生日は含めない(ことばとしては「以前」を使う)
以前なんだから、日本語としておかしいじゃないか!
となるかもしれないけど
発生日を含めてしまうと実務上ややこしくなるから、ってこと。
→実際は、直近の賃金締切日(給料日)にさかのぼって
それ以前3か月とされる
※算定事由発生日と給料日が同じになってしまった場合は、
それよりも前の給料日にさかのぼって3か月をカウントする
(当日は含まない)
※給料日とボーナス支給日など、賃金締切日が異なる場合は、
それぞれの支給日にさかのぼって3か月をカウントする
(給料日以前3か月、ボーナス支給日以前3か月)
● その期間の総日数
→暦日数になる。(労働日数ではない)
【A社】
会社側の理由で タクシー運転手が解雇された
↓
タクシー運転手は解雇されたことに納得いかない
↓
裁判で争い
↓
解雇が無効になった
裁判で争っていた期間の賃金はどうなるの? という問題
🌸🌸🌸
解雇が無効になったので、
裁判で争っていた期間において
タクシー運転手はA社に在籍していたことになる。
→会社側の責任(重大な過失)で働けなくなった、ということ。
→賃金100%の支払請求ができる(民法の規定による)
※ここは労働基準法の休業手当(賃金の60%以上)ではない
ただ、今回の事例においては、
タクシー運転手は 裁判で争っていた期間に、B社でアルバイトをしていた。
→A社は、本来支払うべき賃金100%ではなく、そこから 控除した額の支払でよい。
【計算例1】
A社に勤めていたら、もらえるはずだった賃金=300万円
B社のアルバイトでもらった賃金=200万円
→A社は 差額100万円を支払えばよい、ということにはならない。
控除できるのは、平均賃金の60%を超える部分
300万円→60%(180万円)→必ず支払う
→残り40%の部分( 120万円)→控除できる
※アルバイト代200万円と控除(相殺)できるけど、
120万のほうが額が小さいので、そのまま控除される
【計算例2】
A社に勤めていたらもらえるはずだった→賃金300万円+賞与140万円
B社のアルバイトでもらった→賃金200万円
という場合は?
賃金300万円→控除できるのは 残り40%の部分→ 120万円
賞与140万円→100%控除できる→ 140万円
120万円+140万円=260万円 →控除できる全額になる
↓
この控除額 260万円とB社のアルバイト代200万円を相殺できる、ということ。
相殺すると、260万円-200万円=60万円
これと、180万円(賃金300万円の60%)を合わせたものが
A社が支払う金額になる。
60万円+180万円=240万円→A社がタクシー運転手に支払う額
(ポイント)
100%支払いというのが前提だけど
他での収入があったなら控除される。(相殺できる)
ただし賃金60%の部分は控除できないので、控除額を計算するところから外される。
(控除の計算のときは賃金40%の部分だけでやる)
賞与は(賃金ではないから)そのままの額を控除するときの計算に用いてよい。
というかんじ。
ちょっと複雑💦
ボーナスが入ると、控除額が大きくなるから
結局のところ、アルバイト代のすべてが控除できる(相殺できる)
という場合が多いのかな?と思ったり・・・
【休業手当】
使用者の責に帰すべき事由(使用者の都合)によって休業
→労働者に平均賃金の60%以上を支払う
※罰則をもって支払いを強制
※未払いの場合は付加金の対象(裁判所が裁量により支払を命じる)
※所定休日、法定休日には支払う必要はない
使用者の責に帰すべき事由とは?
・経営不振による休業
・設備の不備や検査による休業
・資材や資金不足による休業
・人員不足による休業
・監督官庁の要請による休業
など
使用者の責に帰すべき事由にならないもの(不可抗力とされる)
・天災地変などで休業(台風、地震などの自然災害)
・公共交通機関の利用ができないため休業
・正当な争議行為による休業(労働者のストライキ)
・代休付与命令による休業
・労働安全衛生法の健康診断結果に基づく休業(労働者側の健康状態が原因)
・休電による休業(計画停電)
など
→休業手当の支払はされない
(補足)
使用者の責に帰すべき事由・・・**民法と労働基準法**とでは異なる部分がある
・民法
→使用者の責となる事由の範囲が狭い(故意、過失)=罰則が重い
→労働者が訴えれば平均賃金の100%の支払、ということもある
→使用者の責となる事由の範囲が広い
→労働者が訴えなくても休業手当(平均賃金の60%以上)の支払は必ずある
※休業手当は賃金債権を全額確保している民法の規定を排除するものではない
→労働基準法で休業手当もらったら、
民法での全額支払い請求ができなくなるよ、
ということではない。
🌸🌸🌸🌸🌸🌸
【具体例1】
使用者側の都合で一部の時間だけ休業することになってしまった場合は?
→平均賃金の60%以上に満たない部分を支払う
・平均賃金 10000円のところ、2000円分は労働した
→平均賃金の 60%は6000円
6000-2000=4000円→休業手当は4000円以上
・平均賃金 10000円のところ、6000円分は労働した
→既に平均賃金の60%以上を支払っていることになるので
休業手当の支払いは不要
🌸🌸🌸
【具体例2】派遣先の会社の都合で休業になってしまった場合は?
派遣先で何か起きて働けなくなったとしても
派遣元の会社が手配して別のところで働かせることだってできるでしょ?
ということで
派遣元の使用者の責に帰すべき事由かどうかで判断される
→派遣元が休業手当を支払う
🌸🌸🌸
【具体例3】
内定が決まっている学生などが、会社の都合で入社時期が遅れてしまった場合は?
4月入社だったのに、会社側の都合で3か月間待機となった
→その分の休業手当が支払われる
出産、疾病、災害、その他非常の場合の費用にあてるため
労働者が請求した場合
→使用者は賃金を支払わなければならない
※支払日の前であっても支払う
※既往の労働に対しての賃金を支払う(既に働いた分に限る)
→「先月、働いた分の10万円うち、5万円だけください」
と労働者が請求したら、その分だけ払う
【非常の場合とは?】※6つある
・労働者本人
・労働者の収入によって生計を維持する者
※扶養義務のある親族だけでなく、同居人でも
労働者の収入によって生計を維持している者であれば該当する
↓
1. 出産
2. 疾病(業務上、業務外どちらにおいても)※私傷病も含む
3. 災害(洪水、火災も含む)
4. 結婚
5. 死亡
6.やむを得ない事由による1週間以上の帰郷
家族の病気、災害などで急な出費が生じたとき、
その費用をつくりだすのが難しいことが多い
→「賃金の一定期日払の原則」の特例として認められている